第35話 久しぶりの蕎麦

 あやみとトーマ君が蕎麦屋の前で待っていたので一緒に蕎麦屋に入り、昨晩電話で話してはいるが簡単な自己紹介をした。


「2人と会うのは初めてね、昨日は夜分遅くに、本当にごめんなさいね。」


「いえいえ、でもさくらさんは、あの棟梁の娘さんとは思えないほど可愛らしいですね。」


「「はぁ~」」


 あやみとエレナさんが揃ってため息をついた。


「本当にトーマ君は、天然のたらしね」


「いや僕は何も間違ったことは言ってないと思いますが」


「もう、いいわ」


 さくらさんは、久しぶりに美味しいお蕎麦を食べて喜んでいた。


 エレナさんの笑顔にほんの僅かに翳りが見えたので、2人の最近の会話を鑑定して記憶した。


 この前、第一高校を訪れた時に地下に感じた違和感がこれだった。


 どうやら日本は重大な局面を迎えようとしているらしい。


「カリスト、聞こえる?」


「はい、何でしょうか」


「ちょっとこれを見て」


 時間を止めてから、さっき鑑定した2人の会話の記憶を転送した。


「なるほど、邪神転生で復活しないように、地中に封印したのですね、消滅させるといつか復活する可能性があるので、さすが須佐之男命様。」


「それで封印継続のために1000年に一度、重ね掛けをしなければならないが、誰がどのような方法でそのようなことができるのか、皆目見当がつかない。」


「それなら、トーマが封印重ね掛けすれば、いいのではないでしょうか」


「封印なんかしたことないし」


「この前、九州で派手に魔法ぶっ放しておいて、召喚獣2体も召喚した挙句、スモールワールドを創って、2体ともそこに隠れているのでしょう」


「確かに僕が作ったスモールワールドで自由に暮らしてもらってはいるけど。」


「いっそ、そのスモールワールドに邪神を封印すればいいんじゃないですか?」


「それは駄目じゃ」


「そうですよー」


2体は反対のようだ。


「万が一にもLv6666の邪神龍が復活したら、儂らなぞ一瞬で消し飛ぶわ」


「そうですよー、ゼウス様のところからLv5800の召喚獣がみんなで来てくれたら心強いけど、今の私たちはLv676ですから、話にもなりません」


「でもわざわざ人間界に封印したのは、レベルが1/10になって弱体化できるからだよね。」


「ちょっと封印を見に行ってみよう」


 

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