<精霊姿のお菓子屋さん>と名付けられました。飯も作るんだけど?

BBやっこ

第1話 巨木・振流粒

精霊の姿を見られるものが、少なくなってきた。


『以前は、精霊への信仰も妖精との付き合いを知っている者が多かったのに!』

「そんな爺さん婆さんも減って?」

『信仰心とは名ばかりのごうつくばり共しか、おらん!!』


毎回、こうやって愚痴になるんだよな。よく毎回、怒ってられるよ。

このやり取り、はたから見たらおかしいんだけどなー。


「あの鳥、デケー!」

「従魔かな?」

「あんな鳥の魔物、いたっけ。」


『魔物とは無礼なっ、吾輩は森の守護獣様だぞ!』


その声、俺以外には聞こえていまーっせん。俺はなぜだか、精霊とか妖精に気付くことができる。


特に便利と思っていない力だけど、なんか困ってたら手助けくらいはする。森に入った時、ちょっと助けた梟が精霊だとは思わないだろ?


『魔物を従える力と、精霊との契約によって力を得るのは別物である!良いか子供達よ、清い心を持っていれば精霊とに結びつきの機会が…』


「よく喋るんだよなー。」


こうなると気が済むまで喋り倒すか、気を逸らさないと止まらない。


子供達はなんだかハッスルする梟に興味が失せた様子で、行ってしまった。


「なあ、クッキー食うか?こんなのもあるぞ」


手早く、嘴にクッキーを入れて黙らせる。よっこいせとカバンから両手で出したのは、腹が減った時用の分厚い果物入りパウンドケーキ。


巨木・振流粒ジャイアンツリー・フルーツ灼き!


『そのネーミングセンスは、受け入れられぬな。』


ちゃっかり、2切れ確保しているんだよなー。くし切りの果物に生地が木の幹を輪切りしたみたいになってるぜ。こぼれないようにしっかり密な仕上がりのパンに近い生地。


このままの勢いで食べると、5秒後に咽せる筈だ。俺はそうなる未来を阻止するため、梟に果実水を用意してやった。

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