終焉など来ない⑧

 ベッドにでも寝かされてしまっていた地海王ちかいおうくろうはどうにかその倦怠感を振り切るようにしてでも起き上がっていく。だがそれで何もかもが関係ないとばかりの動きが出来るわけでもない。気合で誤魔化せる限界というのはどうしても詰まりがあって不甲斐ないと嘆きも苛立ちを覚える。下らないと吐き捨てられるようであればどれだけよかっただろうか。

「だが、だけれどもそれでも皆が必死になってこの時間を稼いでいる中での状況であるのだから」

 立ち上がろうともしてもそれで体調の優れぬ状態で強引にでも動き出そうともすれば躰が崩壊してしまいそうにもなるがそれの警告としてその全てに激痛が走るので未だ壊れ切っていないと信じられる。だがまぁ、その警告を振り切ろうとも動き出す大馬鹿である自分という存在があることに非常に申し訳なく感じてしまう。

 当然のように全身包帯でも巻いている姿で食堂まで向かっていく。そこでは皆が集まってでも色々な話題でも上げて会議でもやっているかとか思ったら少し視線を逸らせばそこではバクバク黙々と丼を平らげている美しくも可愛らしい姿があったりしていた。それもこれも皆自分の同僚だと思うとなぁ。

「鼻が高いよ」

「いや、今回のことに関してはアンタが悪くなくても縁としてそてはアンタからズルズル繋がってきてしまったやつでしょうが」

 青木あおき后河こうがからの文句でも飛んできてしまったがそれには一切の反論など出来ようもないということ。地獄の様相ということにでもあるのはこの夢にでも思い浮かべたSFみたいな世界にあるくだらないこの光景。こんなバラバラと死ばかりが転がる戦場にま彼女たちを連れてきてしまったことは事実だ。

「それでこれだけ寝れば元気になりましたか。そうでもないでしょ。たったこれだけの時間にしかなっていないというのであればもう少し寝ていた方がいいのではないですか」

「そんな時間はないし気持ちに余裕も持てる状態でもない。焦ってばかりであるということを自覚してしまってもいますけれども」

 御影餡手からの心配する声がかかるがそれを反芻してみてもどうにかその通りであるのだと納得することしかできていない。別に反論なんていうのはするつもりもないし。

 そして席にでも座っていけばそこの前にまで滑ってくる丼。そこにあるのは美しくも黄金に輝くカツ丼であったか。そこにでも載せられている箸でも取ってその丼というのを搔っ込んでいくことをしていく地海王ちかいおうくろうである。

「………………ごちそうさまでした」

 全身フラフラにでもなって気がするがこうして腹いっぱいにでも満たしてやればこうして元気になるモノかと感心をしてしまった。自分がこれだけ安上がりであるとはなんて………………。

「まぁそれは今まで散々に経験してきた事ですよね」

 これで気分も好調。元気にでもなってまだ戦えるとの確信は得られたが、それで決着がするなんてこともないとは知っている。何度も戦場にまで出て来てしまっただけの理由も、それが多くも見てきてしまったことの経験。

「くだらないと吐き捨てるだけの結果などない。これで気分だけでも元気でいられるというのなら私はまたここから出ていける」

「………………確かに意思の獲得した個人を相手にダメとか言えないわね。戦場に大きくも派手な光景でも見せようなんて考えずに結果のみをなんていうこともしないところ。クロウがちゃんと一緒に帰ってくれるように願うばかりですよ」

 どうにか気合を入れていったというのに咲乃深礼が心配する声というのが耳に強くも入ってきてしまった。兵士というのはゲンを担いでいきたい生き物だ。であればこういう心配することを口にされてしまえばどうしてもフラグでも立ってしまった気がしてならない。というか咲乃深礼だってそれを不安に思ってしまったからこその言葉なのだろう。だがそういうのはよくも悪くも思ってしまっただけで完成されてしまう危険があるということ。それは口に出せば更に大きくも影響されてしまう気がしている。………………そう、全部が気のせいで済ませられてしまうだけなんだよ。

「気にしないのが一番なんでしょうけれども。わたくしだってもただ平穏にでも過ごしていきたいと願うのは決して悪いことでもないはずだ。だけれど、それで何もしないで平穏という結果が周囲から取り除かれてしまうのであればわたくしは動くことをやめるつもりはありません」

 とかなんとかのたまっても、いくら水道水でも飲んでいっても吐き気が収まらないことを気にしてはいけないのだろう。ここまで悲惨に他人が死に絶える場所にでも誰かに委ねてしまうことをせずに自分の意思で闘わなければいけないなんてそう多くはないはずだから。少なくともわたくしはその類の覚えがない。

わたくしがたった一人で出撃なんてしても勝てる手段というのを持ち合わせているなんて傲慢なことは思っていない。だからこそわたくしわたくしが代わってしまった彼の意地でも引き継いでいかなければなんて」

「そんな馬鹿なことでも」

「馬鹿でもそうやってでも戦っていきたいとでも願うのがわたくしなんですよそれが悪いですかッ‼わたくしが代わった後も今まで彼にばかり責任を圧しつけてしまって私は碌に何もしてこなくてッ‼だけれど今はもうそれすらしてくれなくなってッ!あれだけ強情な野郎が返事でもしてくれなくなって、というか私に対して何か答えてくれたことはないけれどそれでもずっと私にと応えてくれていたからこその今の私があってッ⁉」

 こんなただ水道水でも飲んではそれを吐いてしまっている地海王ちかいおうくろうだったがそれを平手どころか拳でぶったたいていく女性というのがいた。

「いや、そこまで叫んでいられるというのならとっとと出撃でもしてくれたまえよ。どうせ君はそうやって叫んでいても出ていってしまうことにでもなってしまう習性だというのは今まで見てきたからこそ信じられる。そういう信頼があるからこそ私の諦めの悪さというのがあっても一緒についていくことをしていってやらないだけの理由になる。深礼が言っていたように君と元気にステージに立てることを祈っているからね」

 あぁその言葉は日を跨がないうちに骨身に染みて理解することだろう。だがそれでも流石に思うことがあるのだ。

「そう思っているのでも、怪我人で済まない相手にへと向けての威力ではないと思うのですけれども」

 頬を擦りながらもどうにかゆっくりと立ち上がっていく地海王ちかいおうくろう。ぶん殴られてしまって吹っ飛んでいってもどうにか動いていけることに気づいてしまった地海王ちかいおうくろう。それに不安にでもあったがおかしいとでも思ってしまったことがある。いや、別にこれをおかしいとでも考える必要もないのだがそれはそれとして意識しなければおかしいとでも思わなかったであろうか気のせいで誤魔化せる程度のこと。

「なんでこんなに動いていけるのか。完全に回復というわけにもいかないけれど痛みは………………いてててててんッ」

 苦しいなんて考えている余裕もない。だけれどこれだけ普段以上にでも動ける気がしてくるのであれば………………これこそ人一倍の働きが出来る気がしてくる。

「人一倍では済まないほどの、百人力といえるだけの過程を望んでやれる気がしてくるから」

 そこでモニターの方にへと呼び出しというのがかかってきていた。それが何かと思えば普通に用がいるからということなのだろう。その理由というのも特もおかしなことでもあったわけでもなし。整備班からの方であるのか。ここしばらくは機械音声くらいしかならないようにもなっていたはずだが、それもまた誰かしらが入れば他人の事が届いてくるということ。

 それでその応答の操作をしていけばその声というのが届いてくれる。フィーダスとかいうエビフライの模型でも持ち歩いているおかしな人間の声が。

『さっきは強引なことして悪かったな。これでも結構な誇りをもってやってる仕事人のつもりだからその仕事というのを満足にでもさせてもらえない不満っていうのはどうしても上がってきてさぁ。それで大局に影響してしまうのは本末転倒でどんな罵倒でも受ける覚悟はあるが………………まぁそれはうまく結果が乗っていったとしても受けてやれるがそれはどこ吹く風という奴だ。自分が出来ることは全て完了させたつもりだ。整備不良があればいくらでも指摘してくれ。飛び出していってでもそこを調整しにでも飛び出して行ってやるから』

「ご迷惑なんで勘弁してください。機体への不調があれば搭乗しているわたくしがどうにかしますから」

 そしてそれを聞いた途端に口角があがってしまう地海王ちかいおうくろうであったか。この、ずっと待っていた時というのが来れば気合が入ってつい嬉しくもなってしまうのはおかしくもないことのはずだ。

「どれもこれもこれだけ待たされてしまえば否が応でも願うものだ。自分の武器があるというだけで、それが振るえるというこの万能感に勝るものなし」

 地海王ちかいおうくろうがここから勢い良くも元気に飛び出していってしまえばここから全力での風が吹き出してしまうことになってしまった。この食堂の中にでも吹いたとしてもこれで大きくも者が吹き飛んでしまうことになってしまうことにならなかっただけましか。

「とんでもない勢いだから。どうしてこうなってしまうのか。せめて落ち着きというのを取り戻して欲しいとか思うけれども」

 御影餡手のその心配してしまう声があるがそれで周囲の反応というのは頷いてしまうこともいるのが多いので今更という奴か。下らないと吐き捨ててしまうられるはずもない個人の感情。そんなのなんてここの誰もが経験して抱えてきたことだ。

「いくら無事であると信じたくてもそうならない可能性が大きい不安定なことばかりで。あらゆる事象に対しての警戒なんてしてし過ぎるということはない。それで他にリソースを割けなくなってしまうのは困りものだけれど」

 兇頭わると乃蒼のあのいうことはもっともだといえる。これだけ幼い少女が口にするには物騒な事柄ではあるが。様々な奇怪な現象にでもぶち当たってきた結果に今の彼女があるわけだ。

「ここから向かいあう戦場というのは、それをする必要がないのがない分だけに気に入らない。私のすることなんてどうせそこまで派手なことではないから。というかそれを言えば他の皆だって」

「ちょっと、それはおかしいという考えが私にはあると思いますッ」

 とかなんとかはきはき挙手までしてくるリグネア・ワスピーターである。それはつまり自分の魔力やら魔法によっぽどの自信があるということ。だがそれでもはっきりとした声なのに飛んできた言葉の内容がこうはっきりもしないことがあるのだろうかとか思う。

「私たちが揃えば出来ないことなんて」

「それがわかっていても尚あれなんだろう。どうせなんて吐き捨てることなど出来ようもないが、だからなんだという話にでもなるけれど。そこまでする必要もないだけとか思っているのだろうし、それを無理にでもやろうとすればただの隙にでもなってしまうのは目に見えている。だからこそ、戦場には必要な分の戦力を必要な分だけ分配していかなければいけないことだから」

 どうにか声を上げていたリグネア・ワスピーターを遮るようにと呟いていく瓜丘うりおか亞婁螺あるらであったか。それが何を意味するのかなんていう話にもなってくる。ただ冷静に戦局というのを判断して行動できなければ位置取りが悪くて死に絶えてしまうことになる。だが結局はやれることなんてそれぞれ戦略とか作戦とか戦術とかのどれかに得意不得意が偏ってしまってもおかしくのないこと。とかいうのはここにいる者達だって当然それに当てはまる。

「………………無事に帰ってこれるとの信頼はあっても、あのロボットの扱いでもしてしまわないことを祈るけれど。あれでうっかりフラフラ揺れて操作ミスなんてしてしまって誰かに迷惑でも掛けてしまわないか心配で」

「そこまで心配でもしている余裕なんてないのはない。どうせアドレナリンが結構でてしまっていてフラフラ揺れ動いてしまう余裕もそれこそないでしょう。目の前にいて相手している存在をしてそれを撃破するのに周囲に誰かが立ちいっていくだけの物騒な勇気を有している存在などいやしないと………………信じていたいけれど」

 思わず心配を洩らしてしまう藤樹とうき礼那らいなである。それを安心させようともしているのかエンドミル・昭矩が他人事みたいなことばかりを呟いている様子だ。

「でも、それでも私たちは友人の身を案じることしか出来ない。せめてこの艦が彼女の武器として振り回せるのであればいいが」

『できるぞ』

 うっかり馬鹿なことを口にしたと撤回しようとしたオルトリンデ・アントであったがまさかそれを可能だとする答えが飛んでくるとは思いもしていなかった。どうして今更とか考えてはいけないのだろう。というか以前にも同様のやり取りをしていたような気がしてくる。それを忘れてしまっていれば………………あぁ。

「忘れたくないことばかりをこうやって胸にでもつっかえた気分で不安に揺さぶられてしまうのはとてもとても嫌なことだ」


 だが、だとしてもこの艦がブンブン振り回されるとなれば普通に載せられている者達は非常に揺さぶられてしまうことにでもなってしまう。たったこれだけであれば別に無重力である宇宙空間でやられてしまうにはまだましなのだろう。しっかりと固定でもしていればこそだが。

「だったらこの艦にでもどうにか振り回していけばどうにでもなりそうだけど。確かに今回それが必要なのかということにもなってくるわけか。確かにクロウならあれだけであればもう万全に勝利が………………せめて話の一かいでもできればいいのだけれど。そんなことが出来る余裕なんてあの戦場になんてもうない」

 青木あおき后河こうがの不安というのはどうしても終わることのないことだ。だがそれでこの心配というのが和らいでくれれば………………和らいでいるとは言わないだろこの状態を。


 バタバタと走りだしていけば格納庫までかなりの勢いで近づいていくことにもなるが、それでたどり着いていく前にもすれ違ってしまう女性の姿というのがあった。だがそれで見つけてしまえば咄嗟にでも腕を掴まれてしまうことにでもなってしまう。

「何ですか。これでも急いでいるのが見てわかりませんか」

「あぁ、わかっている。だからこそ一言………………いいや、必要ないな。今更君に何かをなんていうのは贅沢なことだ」

 はぁ、それって一体どういうことだ。歳だってそう自分と変わらない程度の女性から説教でも垂れるのを聴かされるのは、色々余裕のある時ならいいが急いでいる今に相手をすることではない。掴まれていたその腕というのを振りほどいていけばすぐさま自分の使う愛機の元にへと向かっていく地海王ちかいおうくろう

 それでようやく見えてきたかと思えばそこの前に立ち塞がっているのがフィーダスであったか。彼は仁王立ちでもしてその行く道を遮っている。

「何なんだよあの機体は。無茶苦茶にもほどがあるだろ。もう少し簡潔な理論にまでまとめて欲しいものだがマニュアルというのは。だというのにこいつは小難しいことばかりで重要なことを読み取るのにどれだけの苦労をさせるのか。これでかなりの濃度で学習をさせてくる意図があったんじゃないかと運命でも恨んでしまっているところで」

「だったらそのまま運命でも恨んでいてください。私はずっとこれでやってきたので別に今更ですから。これだけの時間で済ませられたのなら技術者としての貴方の矜持を尊敬します」

 とか述べていた地海王ちかいおうくろうだったが脚を踏みしめて飛び跳ねていけばフィーダスの頭を踏み台にしていってそのコックピットハッチにまで関節でも使って向かっていく。それで開けていけばそのままに入って席にでも座っていくことをする。

 システムを叩き起こしていけばそれでモニター画面に映る表示には何度もみたそれである。これをみればどうしても安心というか落ち着いてくるというか。

「揺り籠と呼ぶにはとても悲しくなってくる感動。私の始まりなんてクレーターの中央に置かれていて、いいやもう少し後のことに置くべきか。であればわたくしのいるべき戦場というのに飛び立っていくしかないとか」

 出撃のためにカタパルトでも使っていく方法もある。別に使わなくもいいが利用できるのならしてしまえばいいか。燃料も温存しておきたいし………………ね。

「別にこれはピーキーが過ぎて離陸にもそれなりに負担がかかってしまうくらいだからね」

(そうでもないか。特段ではないが僅かな差で負けたくない意地だこっちは)

 カタパルトにでも乗ってしまえばそこから一気に射出されてしまう地海王ちかいおうくろうであったとさ。ちゃんと自身の愛機にでも乗って。

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