最古とは曰く⑥
途方もない距離を走り出していってもそれで見えてくる景色というのは変わり映えのないこと。つまらないと吐き捨てられたらどれだけ楽だろうかとも考えてもしまうが………………だとしても結局あるのは地表にだけの結末。
「たったこれだけの時間で何が理解できるのか。困難しかないよ」
だがそこにへと建設されている施設というのが凄まじい威容を放つ巨大なそれであるという問題があるだけなのだが。どうやって対応をさせていくのか、自分への試練とはこのようなことをいうのだろうか。
遠すぎるとは考えても今のあたしには隣に誰かしらがいてくれる。つまらない者ではないことを祈るしかないが、殴り合った後のためにそんなことは一切ない。相手の本性も実力もその憂いも大体朧気ながらも把握しているのでなぁ。
だとしても眼前にへと打ちつけられているのは巨大な尖塔である。白亜の塔というのはこういうのをいうのだろう。だがそれでも巨大が過ぎるのではないか。まるで空まで突き抜けていくが如くである。バベルの塔とするには建てられた場所がそもそもとして違うのを忘れてはいけない。
あなたの声を聴きたいと願って手を伸ばしていくのであれば近づくのにそこまでの困難を要することのないようにとするべきだ。流石にこんな寒い世界にへと建ててしまうのであれば無意味に過ぎる。使えないのであれば一切無用の産物でしかない悲しい物品だ。置く場所も限られているが、どうせこれを主に使うのはその土地の権力者等である。己の権力の誇示などにはこれ以上ない要素だろう。だとしてもバベルの塔はバッドコミュニケーションでぶち壊された結果が僅かに残されているのみだが。
それで言い出してしまえば今自分たちがどうするべきか。目の前に聳え立つ塔が何の目的で置かれたのかというので明確に動き方も変わってくる。
「まぁ世界の心配なんてしているよりは真っ直ぐに自分たちの我が儘を通していくのがいいんだろうけれど」
「そっちにどんな目的があろうとも大体のことは実現可能なのではないか。それで出来ないとなれば………………俺は君によっぽどの期待をしているらしい。俺よりも更に強いのだと信じさせてくれよ」
ティオヒア・ブラウンからのその言葉というのにはたった一回であるというのに信頼が感じられる。だがそれよりも隊長とやらを信奉していてそれに裏切られたらしいので信じやすいとはまた違うのだろう。誰かを強く縋っていなければ精神を保っていられずに近くにそれを自然と崩壊させてしまう未熟者。多分、生きていられるのかと言われてしまえば、それは難しいだろう。だから誰でもよかったはずだ。あたしである必要もない。
「………………さてと、だったらどこから侵入しましょうかねぇ」
軽く周囲を見渡してみればそこらにウジャウジャといる自動機械が目に入ってしまう。それらへの対応というのもあるが、まずはそれらに見つからないように気を付けなければいけない。こういう工作員じみたコソコソとするのは絶対にあたしの担当する分野ではないと思うのだけれど。だとしても出来ないわけではないのが実は一番に嘆くべきことだったのだろうか。
出来なければそもそも早々に引き上げているはずだ。あたしの性格としてできるだけの安全マージンを取ろうとするが今までの傾向としてある。
というか周辺を徘徊している自動機械というのが大小さまざまであるのだ。いくら何でも大きすぎやないかという40mクラスの高さまである像がいくつか確認できてしまうのだがそれはまさか動くのではないかという考えすらある。下手な想像をしても無駄な体力を消耗するだけ、それで何もないところに構えていても仕方ないだろう。
更に小さいちょこまかと動き出している、膝くらいの大きさの自動で走り回っている怪物というのがどうしても気になるところ。いくら全身金属で固められているとしても怖くなる。脚から這い上がってくるのではないかとか、もしや集団でワラワラ集まってきたかと思えば新たな形を造りだすのではないかとか好き勝手ないろんなことがいえる。
「それもこれも相手の正体なんてわかるわけがない現状が一番自由に動けるのが悪いんだよ。相手を見てしまえばそれに合わせての行動を自身の心にへと確かに重く圧し掛かってくるのが人間の信条だ。だったら」
「だったら俺はもう先にいく。止まってもいられない。死んだも同然なら元気にこの想いでも燃え尽きるまで正面からぶつかっていくのが」
ティオヒア・ブラウンが立ち上がってそこまで真っ直ぐに飛び出していこうとしていだのだが、
「待ってよ。正面から正々堂々というのであればいっそのこともっと楽に済ませる方法がある。そしてあたしもあなたもそれを取るだけの手段はしっかりとある」
「正面から行くのに他に幾つもあるというのであればそれは正々堂々とは言わないんじゃあないのか。まさか飛んでいったらいいなんて山登りを冒瀆することでもやるつもりなのか。だったらそれで勝利を取っても………………」
こうまで言ったところで頷いてやるのが
「更に言えばどうせ飛んでいったとしても結界でも展開されているのが常套だ。それとも誰かに相乗りでもしてみせるという方法もあったりする。気軽に打てる手ではないモノの転移や透明化、それとも高速移動でも可能であれば挑戦してみる価値はあると思うわけ」
そこまでのところで人差し指を立てて吻の前にへと持っていくティオヒア・ブラウンだ。それがどういう意味なのか。現代日本での主流な解釈で見ればそれは黙っていろということになるのか。だがこうしてまで声を出すなというのならどこかで異変があったのだろう。そこで立ち上がっている人差し指にどこか力が入っているいるようにも見受けられる。筋肉が強張っているようにも、風が吹けば多少目立ってくる。
まさかと思い咄嗟に上空にまで視線を移していく。そこにあるのは碧い薔薇の意匠のある人型の機械兵器であったか。それがここまで我が物顔で飛んできている。実際に我が物なのだろう。この周辺を徘徊している兵器群とはどこか一線を画す脅威の強さをその空を飛んでいるロボットに感じてしまう。
そしてそのロボットが誰かしらを抱えているのが望遠レンズを使えば何とか確認をすることが出来てしまった。それがどこかで見たことのあるような気もする男であるのだが………………。
「あれっ?」
ここでティオヒア・ブラウンが何をしているのかといえば面倒になったのか。そこらに転がっていた一機を捕まえてきてそれの分解を試みていた。どうしてこうなるのか、その音というのがやたら大きく鳴り響いているのがどうしても気になってくる。
黙っていろと示してきたのはどっちだったのか。だというのにこのようなことをされてしまえば予定が狂う。そもそも相手をよく知らない段階にて戦っているのであれば仕方ないとも思うが、だとしても納得なんていうのはしてやれる気がしない。
多分生涯にわたって根に持っていくという確信すらある。だがそんなことよりも優先するべきは、ガチャガチャとばらしているせいで音が立ってこの周囲にへと機械とも、人形ともいえる存在に囲まれてしまっていることだ。
「フニャ――ッ‼」
こうまでなってしまえればもはやというか他にやることはなく、やけくそだ。
「一発で終わらせて『白骨式・布武』ッデ」
今の場面で恐らく少し選択肢というのを間違ってしまったであろう
この『白骨式・布武』とは自身のエネルギーが解放されたことで行使可能になる覇気を運用した一つの
だが望んだだけではないというのにこれとは思いもしなかった。氷の上にへとゴロゴロと転がり落ちていくのが鋼鉄の集団である。それをばらしていこうなんていうつもりはない。じりじりと火花が散っているところを見ればそんな余裕などあるはずもないから。
「勝手なことをして。だが何も言わずにというのなら俺も同じか」
そんなつぶやきがティオヒア・ブラウンから聞こえてきたのだが、そのすぐ後に高い位置にまで登って手招きをしているので問題でもない。それを信じて素直に従ってやるだけ。
「それであのロボットってどこに向かっていたんですか。どうせそれを追いかけていこうとしていたのよね。そうでなければ怒るわよ。それともただの好奇心によるものなら………………言葉は出ないわよ」
この時のあたしはかなり怒っていた気もする。狭い足場にてゆっくりと指さして顔を詰めていくのだから間違いない。
「………………たった短い時間で期待をし過ぎでハナイか。確かにここで装置をどうにか工作してやろうかとも思ったが時間だっても足りるはずがない。出来たのは結局やたらと発光するだけの玩具だ」
そしてティオヒア・ブラウンが出してきたのは四角い箱で、その角がやたら眩しく点滅しているそれである。確かにこれでは玩具だ。というか無茶を言ったのはあたしではあるけれども、どうして本当に何かしらが出来上がっているのか。その工作能力を買われてのことで隊長とやらに拾われたのか。
軽く渡されて見せられればそれをグルグルと回して覗いていったりする。それで見つけられるモノなどもとくには無い。配線とかが繋がっていたりとはあるが素人では理解も、知識が無ければできるはずもないか。そこでしばらくして気づいてしまったのだ。
「これだけ何かありそうな顔をしておいて本当に光るためだけなんてハッタリにはこれ以上ないわね」
「そうだろうそうだろう。そう言ってくれると思って豪華に揃えて見せたぞ」
そんなんで出してきたのは同様のモノがいくつもである。どうしてあれだけの時間でばらして用意が出来るのか。回路を取り出してそれで同じ目的としてつけられているのを見つけてかき集めるなんてどうかしているとしか………………。
何を言わずに返してやればそれも懐に仕舞っていってくれる。そして彼は、ティオヒア・ブラウンはどこか目を瞑ることをした。それはどこかにへと耳を澄ませているような。
「あっちだ」
それで何かしらに呼ばれているが如く動きを変えてきたのが面白いところだ。脚を向けていけばその先にあるのは、そこの宙にあるのは白い雲であった。
「あなたの言った通りに相乗りの方で行きましょう。それの方が都合がいい気がするから」
この言葉にはどうしても不思議な違和感を覚える。何か言っていないこと超常的な第六感でも使用してのことであれば他人に説明をするなどそれこそ難しい。
「わかった。じゃあまずはさぁ」
そして周囲を軽く見渡してみる。そこにいるのは先ほどやりも圧倒的なまでの数として揃えてきていた機械兵器の集団である。数えるのは気の遠くなること。
だがそれでも勝てそうな気もしてくるが、だがここで
更にさっきとは違って隣はもう戦い気らしいし。
「じゃあそちら側は任せたわよッ」
ここで『白骨式・布武』を行使して一方向にへと集まってきている集団を蹴散らしていく。その際にどこか生理的に響いてきている感覚というのがあったが、それは今は関係ないものとして強引に無視する。そしてティオヒア・ブラウンにへと指示された方向にへと全力で走っていく。覇気としてが本来のそれであるために移動をするだけで、通り去った後に残るのは機械兵器の残骸でしかない。それも今は先ほどの者よりも更に破壊の痕を強くしている。そして高速での移動をしていけばティオヒア・ブラウンの示した方角にへと突き進むことになる。
本人が追いついていないではないかとかはいってはいけない。どうせすぐに追いついてくるはず。それで信じてみればいい。そして何とかたどり着いてくれた。どこからか生身の人間を抱えてきていたそのロボットの後ろを拝むことには叶った。
だがそれでも後が距離として遠すぎる。地下施設にへの侵入なのか。まるでそんな気配のない氷ばかりの空間だというのにどこに持ち込んでいくのか。そもそも殺さずに抱えているのならばその身を利用したいという思考が透けて見える。
それで更に後ろから気配が来ていたのでそれは何だろうかと思って探ってみればそれはティオヒア・ブラウンのそれであった。つまりはちゃんとついてきているということだ。
そこから視界の中央にある碧い薔薇の意匠を有するそのロボットというのは、まさか何もないはずの空間にへと侵入をしていったのだ。
「へッア⁉」
流石にこれは予想外である。出来れば出入りの際に透明化の解除というのはしてくれると思いきやそんなのも一切ないんだもんなぁ。
呼吸を整えながらもゆっくりとそのロボットが侵入をしていった途というのを自然に辿っていく。そうすればやはり変わり映えのしない、というか一切転移などもしてくれない景色だ。ふと考えてエコーでも出してみればそれでも結果は同じである。それのせいであちらこちらからバタバタ集まってくる警備ロボットというのには困ってしまうがそれは自分のしたことの結果としては当然なので。
で、ポロリと胸からガサゴソと揺れ動いている一品があるのに気づいてしまう。それは先ほどティオヒア・ブラウンがすたこら用意していた回路が一つである。
確かに返したはずなのにどうしてなんても言ってられない。ならばと戦闘中にはなるのだが、集まってきているロボットたちの対処は後にするか。
「どうせ後で全部止まる。これとかで」
そして
大空にへと高く打ち上がっていくそれはここから景色を眺めて居られて面白く笑みが零れてしまうことになるのだから。そして
それで歩を進めていけば素直にたどり着いてくれるのだから恐ろしい。ここがどこなのか。乳白色の壁をしている通路ということなのか。それで言えばあれだけの大きさのロボットというのが既に姿を消しているのが一番に恐怖するべきことかもしれない。
更に怯えるべきことに後頭部からカチャリという銃口を突き付けられた音が響いてきたことがある。
もう面倒になってしまって咄嗟に振り返っていけばそれの顔を拝むことが出来た。
だがそれにまさかという印象を憶える。同僚である
だとしても今は攻撃の意思のある敵でしかない。なのでそういう対処の仕方をするしかない。突き付けられているその銃を掴んでいけば手首にへと手刀をぶつけてしまう。それで手放してくれたらその直後にてすぐさま銃を奪ってしまう。これが見た目とは大違いに重量があるのでガツンと脚から沈んでしまう。
(ナッなんで⁉)
そして彼の者が行っていくのは、その銃からの魔法陣の展開である。この系統の術は見覚えがある。
「どこまでも他人をッ⁉」
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