第10話 九限目

「いよいよ終盤だな。出席番号十九番、目白」


「はい!」


先程の美談の勢いを消したくないのか、『目白さん』の返事は今日一番の大きさだった。


「目白、お前、国語の教科書に載ってる作者の顔、全部消えてたろ」


「はい……」


「あれ俺な」


「アンタだったのか!」


「あと生物の教科書の生き物、名前全部修正液で消されて全部『ゾウリムシ』になってたろ、あれ俺な」


「ああ、あれか!」


「あと、シャーペンについてる消しゴム、もれなく全部減ってたろ。あれ俺が使ってた」


「あれもか!」


「それと、自転車のチェーン外れてたのが直ってた事が度々あったろ。直してたの俺な」


「先生ぃ……♡」


『目白さんは』頬に手を当てて少し惚れた様な表情をしていた。

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