第7話 六限目
「次、出席番号十六番、吹咲」
『吹咲さん』は教師寺田を睨みつけていた。
「聞きたくないです」
『吹咲さん』はすぐ様返答した。教師寺田は『吹咲さん』の元へと歩き始めた。そして胸ポケットから高級そうな箱を取り出し、跪いてその箱を開けた。箱の中には『結婚指輪』が入っており、
「これからは先生と生徒の関係ではない。男と女の関係だ。そして、俺と結婚して欲しい」
まさかの展開に生徒全員が目を見開いた。と同時に
(ヴァカめ!罵倒されビンタでも喰らうが良い!)
そう誰しもが思っていると、『吹咲さん』は左手を挙げ
「待ってた……ずっと待ってたんだよ?着けて……もう心も体もあなたのもの。着けてよ!ここで……」
「もちろんだとも」
『堅物そうな花咲さん』のイメージが一気に崩れた。
(さっきの寺田への罵倒はなんだったのか?嫉妬か?嫉妬だったのか?それにしてもなんだその上目遣いと太ももモジモジは!)
教師寺田は指輪を『吹咲さん』に着けながら
「全く、これでお前も独身そ・つ・ぎょ・う・だっ!」
と三年間で一度も聴いたことがない声で微笑みかけ、人差し指でおデコをトンっと押した。何となくクラスメイトは拍手をせざるを得ない状況になった。拍手も8:2の割合の拍手だった。拍手も次第にバイキングクラップに近いものに変わっていった。憎しみのせいだろう。再び教壇に戻った教師寺田は『サプライズ』を続ける。
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