第17話 春の雨



春の雨は冷たく

薄着で家を出たことを後悔する


いつもの散歩道

仕事でなかなか歩けなくなった道

久しぶりの休日は生憎の雨だが

雨の中を通勤するよりも良い


土を叩いて降る雨が弾けて

清らかな香りとなり

吸い込む空気が胸一杯に広がる


バタバタと傘を叩く雨の中

安物の透明の傘の下から見上げれば

山は霧の真白の世界に隠れ

時々見える緑が

春への旅立ちを喜んでいるかのよう


それは生命への誘い

山は生きている

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