気がある

北「最近大学で男の人から声かけられるんですよ」

東「そうかよ」

西「まあ見た目はすっごい美人だから。気があるのかも」

北「いえ、そういうのではなく。この本読んでみない? と明らかに危ない新興宗教の雑誌を渡されたり、ちょっとだけだからと怪しいバイトの紹介をされたりします。季節の変わり目はこういうのが増えますよね」

東「やっぱり気があるじゃねぇか」

西「本当だよ」

北「ないですよ。わたしは多少鈍いとはいえ、それくらいはわかります」

東「本に雑誌、季節とかもう気しかないだろ」

西「気しかないは語弊があるよ」

北「本に雑誌はともかく季節ですか……ああ、木ですか。確かにありますね」

西「北村がここまで呆れた顔するのも中々ないよね」

東「割と普段から同レベルのこと言ってると思うけどな?」

北「わたし、自分で思っているより器が小さいのかもしれません」

東「それもまた気だな。言葉遊びが器用だな」

西「機は熟したし、私も気を言っちゃおうかな」

北「喜怒哀楽で言うなら今の感情は『怒』です」

東「声かけられるのを気にして欲しかったんか」

西「じゃあ今からちゃんと心配してあげれば『喜』になるってこと?」

北「なりません。もう知りません」

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