Switch(スイッチ)
化野生姜
「未分類・観察ログ」
「打ちつける魚雨の中で」
岩礁と大海原の広がる空間。ガラスばりの半地下。
避難所となった建物の壁に絶え間なく魚がぶつかっていく。
降りしきる雨の中、水中から宙空へと飛び出す刹那。
羽毛や触覚、節くれた手足を生やし、それらは壁めがけて衝突する。
「すごい。どの魚も瞬時に遺伝子配列が変わっていく」
驚きとも感動ともつかない声をあげるのは惑星生態学者の助手ザクロ。
大きな手には外壁と感覚を同調させた半透明のモニターディスプレイが握られ、接触して崩れていく魚のデータが瞬時に更新されていく。
「見たところ、避難しているのは昨日今日来たばかりの日雇いスタッフばかり…上の金持ち連中は未だにプレ・オープンの会場にいるようだな」
避難した面々の顔を見ながら惑星生態学者のクラハシ博士は腕を組む。
「
クラハシの質問にカメラで周囲を撮影するホタルは「うーん」と唸る。
「っていうか、あのクソ親父。この非常事態に何しているのよ!」
この場にいない身内の残した本を握りしめ、思わず宙空に吠えるホタル。
…その時、高層ホテルから一台の宇宙艇が空に飛び立つのが見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます