二刀流の英雄譚
ゼパ
第1話
世界は残酷で、それでも生き続けるために繰り返す。
最悪な結末を避けるために。
これは僕らが見た世界。
どれだけ手を伸ばしたって届かない。
這い蹲って動けやしない。
けれど、物語は終わりを告げない。
―全ての結末など誰も知るはずないからな
私達はその結末を、ただ見守ることしかできない小さな存在なのよ。
―だったら、抗うまでだ
最悪な結末を創るかもしれないのに?
―世界は繰り返しているんだろ?それを避けるために
「だったら何度だって立ち上がってやるさ」
そうだったわね。それが、
命と引き換えに記憶を失い、それでも君は前を向く。
誰かが決めた結末が、終わりを告げていなかったように。
* * *
街に普段の面影はなく、あたり一面は焼け焦げていた。
建物も原型をとどめているものは殆どなく、見渡す限りの瓦礫の山が眼前に広がっていた。そして、その中央に一人の少女がいた。
銀色の髪と紅い瞳を持った少女だった。
その身体は返り血で赤く染まり、彼女の足元には何人もの死体が転がっていた。
彼女はこちらを振り向くと小さく涙を浮かべていた。
「何してるんだ、早く逃げろ!」
逃げることしかできない俺に少女は告げる。
「逃げない」
「今ならまだ助かる。君だけでも生きてくれ」
「今逃げたなら、私はずっと後悔するだろう」
その時僕は悟った。この子はきっと……僕とは違うのだと。
俺はその光景を見ながら、ただ立ち尽くしていた。
何もできなかった。ただ見ていることしかできなかった。
「大丈夫だよ、アイツは私が倒すから」
そう言うと、彼女は二本の剣を構えて敵に向かっていった。
二刀流の英雄譚 ゼパ @aaaa_xepa
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