第16話 自警団に入団してみよう



 朝、顔を洗いに井戸へ行き、顔を洗う。今日の朝食はパンに野菜スープだ、これもうまい、食後の後の一服を吸いに外へ出る。高原の様な清々しい空気を吸い、朝焼けを体に浴びる。村の朝は早い、あちらこちらの家から炊事の煙が立ちこめ、村の一日の始まりを動物の鳴き声が奏でている。小鳥のさえずりが耳に心地いい。


煙草に火を付け、煙を燻らす。


「う~~ん、いいな、やっぱりこの煙草で正解だったな、今日の俺の行動は、まずギダユウさんに俺が自警団のお手伝いを申し出る事と、あと、村長さんとパールさんにお願いして、パールさんに魔法を教えて貰えるよう、頼みに行く事だな」


煙を燻らせ、食後の一服を味わう。この一服だけはやめられない。


「行ってきま~す」


カチュアちゃんが玄関のドアを開け、外へ出て来た。


「おや、カチュアちゃん、今日もパールさんとこかい? 」


「うん、それじゃあ行ってくるわね」


「お気を付けて」


カチュアちゃんは今日もパールさんのところへと出掛けて行くそうだ、昨日も行っていたな、一体何しに行くんだ? 煙草の煙を燻らせた後、煙草の火を消して食後の一服を済ませる。


「さて、俺も出掛けるか」


俺はミランダさんに出掛ける事を伝え、ギダユウさんが居るであろう村の中を歩く。村は静かな空気に包まれて、長閑な風景を演出している。村の朝の光景だ。早いところではもう畑仕事に精を出している村人がいる。この村に馴染む為、俺は村人に朝の挨拶をする。


「おはようございます、精が出ますね~」


「ああ、おはようございます、あんた確か、ミランダさんとこで世話になってる人だね、もう村には慣れましたかい」


「いや~、まだこの村に来て三日ですからねえ、まだまだ至らない事がありますよ」


「はっはっは、まあ、気楽に、ゆっくりのんびりやっていけばいいですよ」


「はい、それでは俺はこの辺で、あ、そうだ、ギダユウさんを見かけませんでしたか? 」


「ギダユウの悪ガキかい、その辺にうろついているんじゃないのかね」


「そうですか、どうも」


俺は村人に一礼し、ギダユウさんを捜す、村の中を歩いていればその内会えるだろう。


村ではジャガイモなどの作物を育てている、村全体でやっている畑と、各家庭で育てている作物の畑があり、それを町等で売ったお金で税金を納めているらしい、余った野菜等はそれぞれの家庭で食事として食される。あとは端野菜などを飼育している動物に与えて餌として消費されている。農業ってヤツだよな。俺にも何か手伝えるのかな。ミランダさんが言うには収穫の時に手伝って欲しいと言われているが。


そうこうしていると、道の反対側からギダユウさんがやって来た。俺は朝の挨拶をする。


「おはようございます、ギダユウさん」


「おはよう、ヨシダさん、早いねえ」


俺は改まってギダユウさんに話を持ちかける。


「ギダユウさん、実はお願いがあるのですが、」


「なんだい? 改まって、頼み事かい? 」


「はい、実はミランダさんのところでお世話になっている間だけなのですが、俺を自警団のお手伝い要員にして頂けませんか、」


「自警団に? そいつは有り難い話だが、いいのかい、自警団は時と場合によってはモンスターと戦う事だってある危険な仕事だよ、まあ、最も、基本的に村の中の見回りが主な任務だけど」


「はい、モンスターと戦うのは実はあまり自信が無いのですが、それ以外の事でしたら出来る限りの事はいたします、どうでしょうか、俺を自警団に入団させて貰えませんか? 」


ギダユウさんは少し考え、そして即決した。


「いいよ、ヨシダさんの自警団への入団を認めるよ、これからも宜しくな、ヨシダさん」


「あ、ありがとうございます、俺、出来るだけの事はします」


「はっはっは、まあ、そう意気込まなくて大丈夫、気楽に構えて、非常事態の時は緊張して事にあたればいいから、・・・そうか、ヨシダさんが自警団に入ってくれるのかい、いや~、人手が無くて困っていた事は事実だからね、俺達自警団のみんなは基本自分家の畑やらなんやらで、片手間でやっていたのさ、ヨシダさんが入ってくれた事でみんなの負担が軽くなるよ、ホント、助かる」


「いえ、俺なんかで何かの役に立つとは思っていませんが、やれるだけの事はやります」


こうして、俺は自警団への入団を許可された、モンスターと戦うのは苦手だが、なんとかやっていこう。


「そうだ、ヨシダさんが自警団に入ったのなら、何か装備品を渡さないとな、ヨシダさん、これから村長さんの所へ行って、ヨシダさんの武器や防具を用意して貰おう、行こう、ヨシダさん」


「え? あ、はい」


武器と防具? ああ、そうか、村の中にモンスターが入って来たりしたら、追い払う為に必要最低限の装備は必要って訳なのかな。そうか、村長さんって確か元冒険者だったって聞いたな、何か俺に合う武器があるのかもしれない。よし、早速行ってみよう。


俺とギダユウさんは村長さんの家へ向かう。


しばらく歩いて、村長さん家に到着した。庭を通って玄関に着き、ギダユウさんがドアを開けて大声で村長さんを呼ぶ。


「おはようございます、村長さん、居るかい」


少しして、村長さんがやって来た。


「なんじゃい、騒々しいのう、ギダユウの悪ガキじゃないか、今日はどうしたのじゃ? 」


「ああ、なんでもヨシダさんが自警団に入団してくれてね、ミランダさんのとこで世話になってる間だけど、これで人手不足も解消だよ」


「ほ~う、ヨシダさんがのう、それならばわしが昔使っておった武器が納屋にあるでの、最も、性能の良い物は奴隷のパールを買う為に殆ど売り払ってしまったがの、それでも最低限の装備品は残してある筈じゃ、おい、ギダユウ、ヨシダさんの装備を幾つか見繕ってやってくれ」


「わかったぜ、ヨシダさん、こっちだ」


俺はもう一つ、村長さんにお願いをする為、一歩前に出てお願いした。


「村長さん、実はもう一つお願いがあるのですが・・・」


「ん? なにかの? 」


「はい、そのパールさんの事なのですが、魔法を使えるとお聞きしました、実は俺に魔法を教えて貰えるように頼んで貰えませんか、俺、どうしても魔法が使いたいんです」


村長さんは顎に手を当て、思案している、断られるかな。いきなりこんなお願い事は虫が良すぎたかな。


村長さんは俺に、諭すように言葉を掛けた。


「ヨシダさん、魔法というのは教えて貰ったからといって、誰でも扱えるものではありませぬぞ、魔法使いには人には無い才能が無ければ使えますまい、それでもよろしいですかな? 」


「はい、魔法が使えなければ諦めます、どうか一つ、お願いできませんか」


「・・・わかりました、パールにはわしから伝えておきますゆえ、後ほど来て下され」


「ありがとうございます、村長さん、パールさんに宜しくお伝え下さい」


「あいわかった、しかし、本当に才能が無ければ魔法は使えませぬぞ、それだけは、解って下され」


「はい、わかりました、お願いします」


よーし、これで俺にパールさんから魔法を教わる事ができるぞ、よかった、頼んでみるもんだな。


ギダユウさんが俺を待ってくれている、もう行かなくては。


「ギダユウさん、お待たせしました、」


「話は済んだのかい、それじゃあ納屋に行こう、」


「それじゃあ、村長さん、装備品をお借りします」


「うむ、自分に合った物を選ぶとよい」


俺とギダユウさんは玄関から離れ、外の一角にある納屋の方へ向かう。そこに村長さんが冒険者時代に使っていた装備品があるそうな。俺の為に装備を貸して貰えるなんて有り難い事だ。一体どんな物があるのかな、・・・冒険者か、村長さんは一体どんな冒険をしてきたのかな。俺とギダユウさんは納屋の中へと足を運ぶのだった。




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