誰も救われない?今現にあるじゃないかリアルで

@blueJ

戦争―誰も救われない。

私の名前はアリーナ・アバーエフ。ロシアの戦闘機パイロットだ

我々軍人の仕事は敵と戦う。それだけなのだ。

我々は何も考えずに戦えばいい。そう思っていた。

今日までは・・・


「くそっ、あのsu27、なんて機動だ!!su35に追いつくなんて、背中を取られた、うわああ!!」


「α1がやられた!!α2、ミサイルアラート!」


「ぐぬう!」


私は愛機のsu35を横滑りさせる。ミサイルは翼端をかすめる。


「死神ボルィリュブ・シュヴェーツィめ!!」


大声で管制官が叫ぶのが聞こえる。


ボルィリュブ・シュヴェーツィ


ウクライナ空軍のエースパイロット。

7機撃墜、パーソナルマークは青と黄色の稲妻が交差している。

戦果の高さによってウクライナで英雄視され、世界中のニュースで報道される。

もちろんこの話はロシアにも届いた。

テレビの画面の前で私は驚きの声を発する。


「ボ…ルィリュ…ブ?」



彼は私の恋人だった。




「お互いにミサイルは打ち尽くしたか…」

私の迷いのせいで隊長が死んだ。仲間も死んだ。

ここでやらなければ私もやられる…‼


私は覚悟を決め、操縦桿を握り直す。


二機の鳥は白い雲を引きながら、お互いの後ろを取ろうと回り続ける。


―後ろにつかれた!やられる!―


私は直感的に操縦桿を限界まで引く。


―コブラ機動―


水平機動中に進行方向、および高度を変えずに機体の迎角を90度近く取り、そのまま水平に機体を戻す機動。急激に減速する。


相手は私の機体の前に飛び出す。


カチ


操縦桿に付いた機関砲の引き金を引く。


「ボルィリュブ…?」


私はすぐに引き金を戻した。だがもう遅い。

弾はボルィリュブの機体に吸い込まれるように命中

ボルィリュブの機体は爆発四散した。

脱出したと思いたかった。しかしその思いは叶わない。



彼とはデートもした。一緒に手もつないだ。たくさん話して、たくさん笑った。



「敵機の撃墜を確認。帰投せよ」


「了…解…帰投する」


帰投してからは彼女は自らの部屋にこもった。次の作戦まで時間はあるのだ。

自らの部屋で彼女は考えた。なぜ我々は戦っている?なんのため?誰のため?


10時間ほどして彼女は答えを見つけた。


何も考えなければいい。そうすれば、悲しくもない、つらくもない。


今日も彼女は何も考えず、ただ敵を撃つ。

それが戦車だとしても、

それが泣きじゃくる子供だとしても、

たとえ彼との思い出の場所だとしても。


彼女は、ただ壊れた機械のように指定されたものを撃つ。



そんな中、一人でそれを眺める少女がいた。そして首を真後ろに動かす。

「戦争―誰も救われない。誰が得をするのか?このまま続けばどうなる?

悪いのは誰?その眼で見て感じればいい。

何か思うことがあるなら行動すればいい。」

そういったあと、間をおいて、

「本当ニ損スルノハアナタタチナノニネ…ニンゲン」







この小説はフィクションです。







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