第6話 この日までは楽しい思い出
侑名はキレかけていた。侑名を通して会話を伝えて来るからだ。
「なぁ、侑名~。」
「何?拓真。」
「これ、四人で行こうぜ。」
「三人で行ってきなよ。」私は冷たくあしらう。
「侑名ちゃん。付いてきてお願い。」(可愛いけど、あざとく思えてきた。)
「光もこう言ってるんだから行こう。」(高橋くんもウザいな。)
「あ~あ!私はお前らの母親か!」
「いい歳をした奴らがいちいち頼んで来るな!」キレた。
「そりゃ言いすぎだろ。侑名。」
「そうだぞ。辻占。」
「ごめんなさい。侑名ちゃん。」目をうるうるさせてる。
(お前ら、仲良いじゃん!私が悪者になってるし。)
「分かりましたよ。行きますから、光ちゃんは泣かないで。」
「やはり!持つべきは幼馴染だな。」
(拓真~。都合良すぎだよ。)
「そうだな、良いヤツだな。」
(高橋くんは私の何?)
「侑名ちゃんと親友なれて良かったよ。」
(光ちゃんはカワイイから許すけどね。)
(変な奴らになつかれたな、これは。)
それからは四人で行くという行動が当たり前みたいになっていた。
友達って考えれば、問題無い。
ただ、三人は私がいないとお互いに話もできない連中なんだ。
(いや、普通、逆だよ!男子が女子に話しかけるのが恥ずかしくて緊張するという行動。なのにあの三人とも私だけに打ち解けてる………私って確か女の子だよね。)
「高橋くん。」
「どうしたんだ、辻占?」
「私って女子だよね。普通、異性と話すの緊張するよね?」
「あ~あ。緊張するよ。辻占以外ならな。」
「どうして私は緊張しないの?」
「恋愛の目をしてこないからかな。」
「性別で見てこないって事?」
「そんなところだ。辻占の良いところは女子なのに表裏が無い。誰にでも同じように接しているだろう。俺を見た目だけで判断していない。今川がいなければお前が好きだったかもしれないな。」
(私は高橋くんが好きランキングの上位なんだ。納得。)
「侑名って呼んでいいよ。友達みたいなもんなんだから。」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
(また、友達ができた…嬉しい。)
「侑名ちゃん。」
「光ちゃん。どうしたの。」
「本当は嫌なのに付いてきてくれてありがとう。」
「いいよ。私、役に立たなくてごめんね。」
「ううん。拓真くんは直接話してくれないけど、侑名ちゃんがいるから一緒にいれるんだから、それだけで幸せだよ。」
「拓真は、女の子を追うの止めたっぽいから、そのうち仲良くできるよ。」
「本当に?」
「あとは、光ちゃんの努力しだいだよ。」
「侑名ちゃん。僕、がんばるよ。」
「うん。親友として応援してるよ。」
「侑名~。」
「寄るな、拓真。」
「俺に冷たくないか?」
「私は拓真が嫌い。それは変わらないよ。」
「なんでだよ~。幼馴染じゃないか~。」
「まあ、心を入れ換えたのなら、頑張りなさいよ。」
(こいつは適当にあしらうで構わないわ。)
結局、なんの進展も無しで今日は解散となった。
ただ、楽しいと感じるのは今日までだった…。
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