第2話
次の日。
私は制服を着てリビングに行く。
「起きるのが遅いんですね」
「2個目の目覚ましで起きちゃって」
「まったく……。遅刻しないようにしてくださいね? あなたと同じ高校なので私にも被害が及びます」
ひなのちゃんはそう言うと足元に置いている荷物を持って「ごちそうさまでした。では行ってきます」と言って家を出る。
私も早く食べて学校に行こ。
教室に行くと陽キャとギャルが騒がしい。
『俺、彼女作ったんだ! 』とか『私、彼氏できたの! 』とかとか。
そんなに大きな声で言うと振られたときに噂が広がりやすくなるよ? 本当かどうかは知らないけど。
そんなことを思っていると「すみれちゃんおはよ! 」と濃い青色の長い髪をツーサイドアップにしている女の子・
「かしわちゃんおはよ」
「うん! 今日はいい天気だね! 今日もがんばろ! 」
えいえいおー! と可愛いしぐさをする。
すると胸がぽよよんと動く。
ちなみにかしわちゃんは中学1年生の頃からの付き合いで私の数少ない親友。
「すみれちゃん、膝の上に座ってもいい? 」
「かしわちゃん、そんなことしていいの? 彼女、いるんでしょ? 」
そうなのだ。
かしわちゃんはかしわちゃんのお姉さんと付き合っている。
しかも家族公認。
高校を卒業したら結婚式を挙げるんだと。
「あ〜、お姉ちゃんがさ『裸になったり、手を繋いだり組んだりしたらアウト』だって言ってたよ」
「なら今しようとしていることはアウトなんじゃないの? 」
「そうなの? 」
「手を繋いだり組んだりするのがダメならアウトでしょ?! 」
「そっかぁ」
かしわちゃんはスマホをいじる。
数分後、「私を乗せるのはダメだけどすみれちゃんが乗るならオッケーだって! 」と嬉しそうに言う。
なんじゃそりゃ。
「というわけで、私の膝の上に座ってね♪ すみれちゃん♪ 」
私は言われた通りに膝の上に座ると2つの柔らかい感触を背中に感じながら朝休みを過ごした。
同日の昼休み。
私とかしわちゃんはお弁当を持って屋上に向かう。
その途中でひなのちゃんとすれ違う。
すれ違いざまに舌打ちされた。
なんで?!
なんで私がひなのちゃんに舌打ちされたの?!
意味がわからない!
そんなことを思いながら歩く。
屋上に到着するとかしわちゃんが「じゃあお昼ご飯食べよ♪ 」と可愛く言う。
というわけでランチタイム。
かしわちゃんのお弁当はいつも通りお姉さん手作りのサンドウィッチだ。
私はと言うと野菜とお肉が入ったお弁当。冷凍食品99パーセント使用。
食べ終わると「ひなのちゃんに悪いことしちゃったな……」と呟く。
「どうゆうこと? 」
「私からは言えないよ」
「なんで? 」
「なんでも」
チャイムが鳴るまで聞いても教えてくれなかった。
午後の授業が終わって放課後。
玄関に行くと私の下駄箱の前にひなのちゃんがいた。
「お母さんから一緒に帰ってくるようにとメールが送られてきたので待ってました」
「それなら私にもメールが送られてくるはずだよね? でも私には来てないよ」
「2人に送るのがめんどくさかったんじゃないですか? では帰りましょう」
「ちょっと待ってよ~!! 私まだ靴履いてない! 」
私がそう言うと「仕方ないですね。待ってますから早く靴を履いてください」と言って待ってくれた。
会話はしなかったけど、久しぶりに一緒に帰れて嬉しかった。
家に帰るとお母さんは出かけて家にいなかった。
「すみません。昔のメールと混同してました」
ひなのちゃんはそう言って自室に戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます