第2295話 「カタ研」無人島サバイバル 総括 2
家に帰ると、子どもたちと「カタ研」の連中がうちにいて、みんなで食事をしていた。
大量の食材を出して、みんなでバーべキューをしていた。
「「「タカさん!」」」
「石神さん!」
「よう! みんな大変だったみたいだな!」
「カタ研」のメンバーたちも俺の前に来て、口々に怖かったと言った。
みんなでロボのお陰で助かったのだと言う。
大勢に撫でられて飽きていたロボが、俺の所へ駆けて来る。
「まあ、みんなゆっくりしてくれよ。亜紀ちゃん、食材は大丈夫か?」
「はい! あ、明日にでもちゃんと買い足しますから」
「まあ、気にしないで一杯食べろよ」
「はい! あ、タカさんも御一緒に」
「そうか、じゃあちょっと頂くかな」
「カタ研」のみんなが喜んで俺に椅子を用意してくれた。
焼いたものをどんどん持って来てくれる。
食べながら、またみんなの話を聞いた。
パレボレがみんなから褒め讃えられていた。
水も食糧も無い中、パレボレが念のためにと持って行った水とナンがみんなの命を繋いだ。
水は50リットル、ナンは50枚もあったそうだ。
無駄になるかもしれないものを、パレボレは持って行った。
大した奴だ。
こいつは100点だ。
「お前らよ、サバイバルだなんて言っておきながら何の用意もねぇなんてどうにかしてるぞ」
ルーが反発する。
「でもさ! 現地で全部調達できるはずだったんだよ!」
「出来なかったんだから、失敗だったということだ!」
「!」
俺が怒鳴り、全員が緊張する。
食事の手が止まった。
「いいか、失敗したらそれでお前が死ぬ、仲間が死ぬ、みんなが死ぬ。そういうことがあるんだぞ! 今回は助かった。でもお前は尚言い訳をするのか!」
「ごめんなさい!」
うちの子どもらに言った。
「柳! 亜紀ちゃん! ルー! ハー! いいか、お前らはみんなを死地に引っ張ったんだ! 責任を感じろ!」
「「「「はい!」」」」
坂上が立ち上がって言った。
「石神さん! 今回のことは全員で決めたことなんです! だから柳さんたちの責任ではありません!」
「部長は柳だ。副部長的な立場も、この計画の発案もうちの連中だろう。君の言うことも分かるが、こいつらが言い出せば他の人間はほとんど反対出来ない。まあ、坂上君や上坂さんが時々止めてくれている話は聞いている。だけど、今回のことはこいつらが責任を負うべきだった。甘かったんだよ」
「でも、あんなことは誰も予測できませんでした」
坂上は尚も言った。
こいつも根性がある奴だ。
俺は少し微笑んで言った。
「それは違うぞ。最初に異様な島だと分かったはずだ」
「!」
「その時点で考えるべきだった。こいつらは自信があったんだろうが、要は勝手な思い上がりで君たちを危ない目に遭わせたんだ」
「いえ、それは僕たちも……」
俺は立ち上がって頭を下げた。
「うちのバカ共がご迷惑をお掛けしました! 本当に申し訳ありません!」
「「「「!」」」」
「「「「「「!」」」」」」
「石神さん、頭を上げてください。本当に僕たちも一緒なんです」
「申し訳ありません!」
「石神さん! 本当にどうか!」
俺は頭を下げたまま言った。
「命に係わることだった。謝って済むことじゃない。この償いはきっとする!」
「もうどうかそこまでにして下さい」
俺は頭を上げて話した。
「今更俺が言うのもなんだけど、実は一日目の「皇紀通信」が破壊された時に、もう異常事態は分かっていたんだ」
「「「「「「「「「「「「「「エェェェェーーー!」」」」」」」」」」」」」」
全員が驚く。
まあ、そうだろう。
あの特殊な通信装置は敵に鹵獲されるわけには絶対に行かない。
だから異常があればすぐに感知できるようになっている。
そういうことも敵に知られたくないので、子どもたちの中では皇紀しか知らなかったことだ。
今回は詫びも含めて俺が全て話した。
「このバカ共が真っ先に皇紀通信装置を壊されやがった。皇紀通信装置は常にアラスカの量子コンピューター《ウラノス》と相互通信をしているんだ。だからすぐに異常を予測して、アラスカからデュールゲリエが飛んできていた」
「そうだったんですか!」
柳が叫ぶ。
予想もしていなかっただろう。
デュールゲリエは上空で待機して、子どもたちには会っていない。
すぐに状況をアラスカへ送り、俺がそのまま静観させた。
「まあな。俺が状況を聞いて、救出部隊をターナーに編成させて、そのまま待機させた。自分たちで何とかするかもしれないと思ったからな。まあ、どうにもポンコツ共で出来なかったんだけどよ」
「石神さん!」
「なぜ「花岡」を使わないのかと思っていたんだけどな。状況から精神攻撃を受けていることは予測できた。それを突破すると俺は思っていたんだが、いつまでもグズってやがる。ターナーが救出隊を飛ばす直前で、ロボが行った。だからな」
ルーが叫ぶ。
「だから私がアラスカに行ったら、すぐに部隊編成して来てくれたんだ!」
「そうだよ。もうチームが待機していたからな。そういうことにも気づかなかったんだな」
「全然! だって急いでとにかく事態を知らせなきゃってことばかり……」
「みなさん、申し訳ない。こういうマヌケだ」
ルーが全員に頭を下げ、柳、亜紀ちゃん、ハーも立ち上がって頭を下げた。
「こいつらは「虎」の軍の人間だ。「カタ研」が「虎」の軍に協力してくれるのであれば、こいつらは君たちを守る責任がある。そういうことは分かって欲しい」
「石神さん、もちろん分かっています。でも、僕らも自己責任で……」
俺が手で制した。
「君たちの気持ちは本当に嬉しい。でも、責任というのは必ず発生し、必ず果たさなければならない」
「はい! 柳さんたちは私たちを必死に守ってくれました!」
上坂さんが言う。
他のメンバーもそうだったのだと言ってくれる。
「まあね。だから様子を見たんだ。こいつらが何とかすると思っていたんだけどな。でも、ボンクラだった」
「石神さん! すみません!」
「タカさん! すみませんでした!」
子どもたちが次々に謝る。
「まあいい。でもな、覚えておいてくれ。お前たちは「カタ研」のみんなを守らなきゃいけないんだ。常にそれを念頭に置いて行動しろ、今回のことが何も特別な異常事態じゃねぇ。「業」はどこまで手を伸ばすのか分からないんだ。「カタ研」が狙われたって不思議はねぇ。俺たちが大事に思っている人間たちなんだからな。あのヘンタイ野郎はそういう人間を狙うこともあるんだ。知っているだろう!」
「「「「はい!」」」」
「まあ、説教は以上だ。みんな申し訳ないが、今日の所はここまでにして飯を一杯喰って行ってくれ。いずれ必ず詫びは入れるし、君たちのことは今後も絶対に守る」
「石神さん、ありがとうございました!」
「あの、お詫びは受け取れません。僕らにも責任はあるんですから」
「そうですよ!」
みんなが口々に言う。
「まあ、そう言うな。そうだ、みんなにレッドダイヤモンドの塊をあげよう!」
「石神さん! 絶対にいりませんからね!」
真夜が慌てて言う。
他のメンバーも話を聞いているのか、全員に断られた。
「ブルーのにする?」
「「「「「「「「結構です!」」」」」」」」
みんなで笑った。
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