第2250話 《デモノイド》戦 Ⅴ

 5人で別れ、それぞれに「食材」を調達しに行った。


 「ハーイ!」


 俺は4人組のOLらしい集団に声を掛けた。

 一人ずつ声を掛けるのは非効率だ。


 「君たち、もう仕事の帰り?」

 「あー、日本語上手いですね!」

 「うん、一生懸命に勉強した」

 「アハハハハハ!」


 2メートルの身長は最初は警戒を抱かせたが、柔和な笑顔と達者な日本語でOLたちもすぐに気を許した。


 「日本人の女の子と仲良くなりたくて頑張ったんだ」

 「どこの国の人?」

 「ロシアだよ」

 「へぇー! ロシア人って初めて」

 「そう?」

 「カッコイイですね」

 「ありがとう」


 俺は笑顔を振りまいている。


 「もしよければ、一緒に食事をしない?」

 「えー、でも」

 「もちろんご馳走するよ。知り合いの店が近くにあるんだ」

 「そうなんですか!」

 「クラブなんだけど、料理も美味しいよ?」

 「どうしようかなー」


 迷っている振りはするが、彼女らの気持ちは決まっているのが分かる。

 前にナンパした時もそうだった。


 「日本のこと、いろいろ教えてよ」

 「いいですけどー」

 「ああ、友達と5人で来てるんだ。女性も2人いるけど」

 「そうなんですか!」

 

 同性がいるということで、一気に安心させた。

 俺はOLたちを連れて歩き出した。






 「セリョーガ!」


 ミーラが手を振っている。

 六本木の路地裏のクラブだった。

 地下にあるが、300平米の広い会場。

 外道会の持ち物だ。


 日本人の男女が既に30人程いる。

 俺は全員が若い男女であることを見て微笑んだ。

 みんな、「食材」の調達に成功したようだ。

 日本の「食材」は手軽に手に入っていい。


 「結構集まったな」

 「頑張ったよ。お腹空いてたからね」

 「俺もだ」


 俺が最後だったようだ。

 コースチャが入口へ行き、ドアに鋼鉄の板を嵌めた。

 誰も気付いていない。

 スラヴァとオーリャがバスタブを二つ運んで来る。

 日本人たちが、何事かと見ていた。


 「じゃあ、そろそろ食事にしようか」


 俺たちは全員服を脱いだ。

 ミーラとオーリャも脱ぐので、日本人の男たちが喜んで騒ぎ始める。


 「えー! そういうのなの?」


 女たちも騒ぐが、半分は喜んでいた。


 ミーラが男の一人の腕を引いて抱き着いた。


 「おい、いきなりかよ」


 ニヤついた男の首をミーラが手刀で斬り落とした。

 血が噴水のように上がる。


 悲鳴が上がる。

 俺たちは手近な獲物に襲い掛かった。

 絶叫が響く。

 

 胸に手刀を撃ち込んで心臓を潰す。

 腹を引き裂いて内臓を引きずり出す。

 うつぶせにして背骨を引き剥がす。

 顔面に拳を入れて粉砕する。

 指を全身に撃ち込んで少しずつ殺す。

 

 スラヴァとオーリャは幾つもの首を斬り取った噴水をバスタブに溜め込み、嬉しそうに身を沈めた。

 全員が新鮮なうちに「食事」を始めた。


 まだ残っている10人程の男女が出口に向かうが、当然鋼鉄の板は外せない。

 泣き叫んで死にたくないと言っている。


 「お前らはちゃんと「料理」してやるから待ってろ」


 スラヴァの言葉に、全員が床にへたり込む。

 何人かが失禁しているのが臭いで分かった。


 ミーラがバスタブから出て、まだ生きている男の一人の服を剥ぎ取った。

 男は逆らう意志を喪失している。

 股間で縮んでいるものをミーラが口に含んで無理矢理大きくした。

 俺たちも適当に選んで服を剥ぎ取ってファックする。

 女たちは泣きながら「助けて」と言っている。

 何をしてもいいから、命は助けてと。

 死にたく無くて、全員が服を脱いでサービスを始める。


 エクスタシーに達し、女の全身を爪で引き裂いた。

 肉と皮をタレ下げながら、女は尚も助けて欲しいと言っていた。


 ミーラが男の骨を砕きながら笑っている。

 もう殺してくれと懇願され、皮を剥きだした。

 スラヴァは女の全身をナイフで浅く切り裂きながら楽しんでいる。

 コースチャはバスタブに女の頭を突っ込みながら、死ぬ寸前で呼吸させている。

 女のアナルに突っ込みながら、大笑いだ。

 オーリャは女の腹を喰い破りながら、血だまりに顔を突っ込んで恍惚としている。


 3時間も「食事」と「料理」を楽しんで、俺たちは満足した。

 5人でシャワーを浴びてから外道会を呼んだ。

 10分で駆けつける。

 「掃除」を命じていたから近くで車を止めて待っていたのだ。

 俺たちの食材の喰い残しを見て呆然としている。


 「こりゃ……」

 「じゃあ、片づけを頼むな」

 「お前ら、無茶苦茶だ」


 リーダー格の男が呟いた。


 「なんだと?」

 「デモノイドってのは変態の集まりかよ!」


 そう言った男の首を、ミーラが潰した。

 ミーラは血と脳漿のついた手を舐めた。


 「デザートにもならないね」


 他の4人が失神しそうになる。

 俺たちはバンに乗って麻布へ向かった。






 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■






 「早乙女さん、麻布警察署から例の5人組の情報です!」


 成瀬が連絡を受けて叫んだ。


 「なんだって!」

 「110番通報で、拉致されたという連絡が入ったそうです。被害者はずっとスマホのカメラで撮影を続けたようです」

 「!」


 六本木の地下のクラブでのことだそうだ。

 被害者のスマートフォンが古い機種だったことと、場所が地下であったことから位置情報が正確に辿れなかった。

 ただ、送信され続けた映像が衝撃的な大量殺人の現場であり、麻布署で必死に探して、先ほど現場を押さえたようだ。


 「外道会の組員がいました。現場は凄惨で酷い状況です」

 「あの5人組がやったんだな!」

 「はい、間違いありません。それと、全員の名前と部隊名のような呼称も分かりました」

 「部隊名?」


 「《デモノイド》という名称のようです。セリョーガという2メートルを超える男がリーダーらしく」

 「俺も現場に行く」

 「危険では? ハンター全員を連れて行った方が!」

 「いやいい。お前たちはここの「準備」を進めておいてくれ。いつ襲撃されるのかも分からないんだからな」

 「了解しました。万一の時には、すぐにご連絡下さい」

 「分かった」


 俺は成瀬から聞いた六本木のクラブへ向かった。 

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