ゾンビ災害で都市が死んだ!俺は災害と同じ力が使えるみたいだけど、 最凶彼女(偽)と幸せになりたいだけだから!たとえ君が壊れていも。

NOSK

終わりの日

第1話 紅い記憶

 この日が俺、堀田浩治ほりだこうじの運命を決定づけた。


 どうしてこうなった?


 何が起きてる?


 目の前に迫る危機は、考える時間を俺に与えてくれない。


「舞依!手を、早く……」


「コウちゃんだけでも逃げて!」


「馬鹿野郎っざけんな!一緒にいようってさっき言ったろ!」


 涙を流し彼女は深く頷く、俺も励ます為に微笑む。


「……コウちゃんっ、後ろっ!」


 気づかなかった。後ろにそれが迫っていることに。


「うあああああああ」


 純粋な恐怖。『噛まれる』そう思った。


「コウちゃん! あっ━━」


 彼女の手が離れてしまった。


「クソッ、どけっ、舞依舞依!」


 俺は人を殴り飛ばす。いや、か。


 どう見てもゾンビ。どこから見てもゾンビ。そんな奴らがそこら中にいる。


 ドボンッ


 殴り倒したゾンビも赤い水に沈む。どうでもいい、そんなことより


「まいぃ…………どこまで流された? 早く、早く助けに行かなきゃ」


 クリスマスイルミネーションで彩られたはずの公園は見る影もなく、高台に逃げた人はゾンビに襲われ、下に居た人たちは流された。


 時折、赤い水の中からゾンビが立ち上がってくる。どうなっているかは知らないがあの水が全ての原因だろう。


 とにかく俺は下流へ走る。


 下流の方では銃声が鳴り響いていた。それも1つ2つではない。けたたましい連続した機銃の音だ。


「うああああああ」


「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないわ。死んで……死んで! みんな死になさい!」


 銃器を持った沢山の兵士達が何かと戦っていた。


「女の人?」


 ボロボロになった女性が手をかざせば赤い水が意思を持ったように蠢いた。


「怯むなああああ。撃て! 撃てええええええ」


 ドドドドドドドドド。


 女性に向かって一斉に弾丸が襲いかかるがカーテンのようになった水が全ての弾丸を飲み込む。そのまま濁流となって押し寄せる水は兵士達を飲み込まんとする。


「ひぃいいいい」


「助けてくれぇえええええええ」


 逃げようとする者は水の中から生えてきた無数の手に捕らわれた。


「なんだよ……あれ」


 ゲームなら死神や怨霊みたいなラスボスだ。明らかに人類の味方ではないだろう。


 次々と飲み込まれ刺されて倒れていく兵士達。半分以上がたった1人の女性に無力化されてしまった。


「てっ撤退だ!」


 部隊長と思わしき人の声とともに、兵士達は銃撃をしつつ後退していく。


「……逃がさない……」


 女の周囲から先ほどと同じように無数の手が伸びる。その手は兵士達を円形に囲むように追い込み……


「嘘……だ」


 先ほど水に呑まれた兵士達がゾンビのようになって無数の手の中から出てきた。


 女の攻撃とゾンビ兵による一斉射撃。兵士達は逃げ惑う者、懸命に応戦する者に別れたが、もはや戦闘ではなく蹂躙だった。


 銃声が止むころには、女1人だけが立っていた。


 逃げることも忘れ、見ていた俺は女性の近くに見知った顔が流れ着いたことにくづく。


「舞依!」


 彼女は辛うじて目を開けると俺に向け手を伸ばした。


「コウ……ちゃ……」


 舞依の所に駆け出そうとしたが、瞬く間に彼女は無数の手に引きずり込まれた。


 女が俺を認識し、行く手を阻む無数の手とゾンビ達が俺に襲いかかってきた。


「ひぃっ」


 俺はその瞬間、


 逃げ出した。


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 ~じかいよこく~

 血の海に佇むのは俺の彼女! 舞依さんだー! 赤い月は生者を嗤い、血の海は死へと誘う。


 愛する彼女が可愛すぎてハートを貫かれた俺。ああが止まらないよ!


 次回 貴方のハートにロックオン! お楽しみに

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