次元観測刀 -アナザーソード-

葵流星

次元観測刀

西暦2096年5月5日、宇宙からとある生命体が飛来して来た。

カナダに落ちた、その物体を分析したところ、その物体はシャボン玉のような輪郭線で捉えれたが、レーダーでは『観測不能』、カナダ軍はこの物体が形状を変え捕食するように動くことから生命体と断定した。


カナダ軍は、この宇宙生命体に対して既存の兵力で対抗するも効果が無く、その生命体自体も30日後に最終的に海に小さくなりながら消滅したことから、害はないとされた。


そして、その3か月後…9月22日。

アメリカ合衆国にも複数が飛来し、アメリカ軍は『ナメクジ』と名付け観察した。

この時、発生したのが『ウィリアムの牧場事件』だった。

ウィリアムの牧場に居た牛が、生命体に捕食されたが、腹からしっぽまでが存在せず。

前足のみで、その場に立っており、後ろ側から見た時には内蔵が見える状態であったが、その牛は生きていた。


その牛の内臓に直接触れることはできず、牛自体は存在しているが身体が不可視であるという自体に遭遇し、その後人が生命体に捕食され同様の事態が起き、『次元境界損傷』と名付け、物理現象として認知した。


10月になると、大量の水や物質を生命体に喰わせることでこれを解決したが、11月22日…人類は、『他の次元の人類』と戦争状態に突入した。


西暦2111年、人類はこの『ナメクジ』を利用したワープ航法を発明し、生命体発生地点に戦闘艦を置くも、敵側から局所的生命体が送られるイタチごっことなり、人類は消耗していった。




西暦2520年 宇宙戦艦 ノストラダムス


「これより、実験を開始する…。」


起動まで5秒前…そう、AIがカウントダウンを始めた。


「観測ビットからの情報を処理します…終わりました!」

「了解…実験は完了した。」


おおっという、どよめきがここには居ない軍の高官達の声をスピーカーが流した。


「この次元観測刀があれば、この次元は救われます。」

「わかった、すぐに生産を開始する…今後はこの兵器の砲弾化を行なってくれ…以上だ。直ちにその区域から退避せよ!」


次元観測刀とは、物理的にも量子力学的にも存在する刀だ。

人類が観測できなかった電子の動きが、次元の跳躍と判明し…敵である『次元人』に対して、この物理世界と次元の境界に双方で存在する…1つでありながら、観測的に二刀流である刀…それが次元観測刀だった。


「敵の数、144…すぐに退避を…。」

「いやっ、すぐに試験を行う…15式自動機動歩兵に搭載…以後、この機体を敬意を込めて、武蔵と呼称する…。」


人類の世界の奪還は、ここから始まる…。




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