第57話 〔邪炎嵐(イビルストーム)〕
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〔邪炎嵐(イビルストーム)〕
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スキル名がポップアップすると同時に黒い豹炎悪魔(フラウロス)が黒い炎に包まれる。その熱量たるや触れてもいないのに肌が火傷しそうなくらいだ。
(これはヤバい!)
なるべく離れなくては!
“お兄ちゃん!”
リィナの声と共に近くの地面が光る。俺は迷わずそこへ滑り込んだ!
ドォォン!!!
〔邪炎嵐(イビルストーム)〕と名がついているが、もはや熱の嵐というよりも爆発に近い。盾では防ぎようもない攻撃だ。
(危なかった……)
俺は豹炎悪魔(フラウロス)の拳が地面に空けた穴に入って爆発をやり過ごしていた。
「フェイ、大丈夫?」
虹色の防壁からレイアが姿を現した。この防壁もリィナの力なのか?
(まだクラスも得てないのに……)
いかん! 今は豹炎悪魔(フラウロス)に集中だ!
「行くぞ、レイア!」
そう言って俺が駆け出すと、レイアは嬉しそうな笑顔を浮かべた。
(相変わらず好戦的だなぁ……)
こういうところが普段は玉に瑕なのだが、今は心強い。
(ここが攻め時……)
豹炎悪魔(フラウロス)はスキル攻撃を放ったことにより今は硬直しているハズ。つまり、絶好のチャンスなのだ。
「〔剣の舞〕!」
〔剣の舞〕はLv÷3の回数の斬撃を連続で放つ強力なスキルだ。一撃のダメージは通常の七割程度になってしまうが、今のレイアなら最大十二回の攻撃が可能になる!
ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ!
斬撃が次々とヒットするが、硬い皮膚に阻まれ、豹炎悪魔(フラウロス)にはダメージがあまり入らない……
ガキン!
しかも五発目の斬撃は硬直が解けかかった豹炎悪魔(フラウロス)の腕甲で防がれた。マズイ!
ブンッ!
その瞬間、さっき〔邪炎嵐(イビルストーム)〕からレイアを守った虹色の防壁が現れた。よし、これなら大丈夫か!
パリィン!
だが、虹色の防壁はあっさり破れ、レイアは豹炎悪魔(フラウロス)の拳で吹き飛ばされた!
(レイアッ!!!)
だが、俺が今すべきなのはレイアの心配じゃない。俺は攻撃直後の豹炎悪魔(フラウロス)目がけてギフトを放った!
「【ディバイド】ッ!」
「ガァァァッ!」
角の分断にのみ力を集約させた攻撃に豹炎悪魔(フラウロス)が今までとは違う苦しみ方を見せる。そして……
ピシ……
ピシピシピシ……
や、やったか?
パリーン!
よし、角が破壊できた!
「オ、オノレ!」
急に豹炎悪魔(フラウロス)の輪郭がぼやけ、体のあちこちから黒い炎が吹き出した。
「グ、グググ……」
だが、黒い炎は自分の意思で出ているわけではないらしく、豹炎悪魔(フラウロス)は鬱陶しそうに抑えようとしている。
“お兄ちゃん、レイアさんは大丈夫だから今のうちに!”
よしっ!
「行くぞっ!」
俺が盾を構えて突進すると、豹炎悪魔(フラウロス)は炎弾を飛ばして応戦する。
(さっきほどの熱量はないな……)
角を折る前はガードしても肌が焦げそうなほどの熱量だったが、今はさほどでもない。
(これなら……)
俺は盾を前に構えて徐々に距離を詰める。
「ッ! ナメルナ!」
近づいた俺に豹炎悪魔(フラウロス)は拳を振るう。だが、その動きも最初と比べれば雲泥の差。これなら……
「〔デュアシールドカウンター〕!」
カウンター気味に放ったスキルは本来武器破壊のためのものだが、生身でも効果を発揮する。例えば……
ガツッ!
頭部にクリティカルヒットした〔デュアシールドカウンター〕が豹炎悪魔(フラウロス)にスタンを付与した。もしやと思って使って見たのだが、やはり状態異常耐性も下がっているみたいだ。
「〔グランドクロス〕!」
縦横二回の斬撃ダメージに最後の聖属性ダメージまで綺麗に入った!
(結構削れたよな)
これくらいの攻撃で倒れるはずはないが、同じようなダメージを後一〜ニ回与えればHpが七割くらいにはなるはずだ。
(そうだ! 試してみるか)
俺はスタンから回復しつつある豹炎悪魔(フラウロス)にから距離を取り、〔超鑑定〕を発動した。
◆◆◆
豹炎悪魔(フラウロス)
Lv???
Hp 29800000/30000000
※角が破壊されたため、弱体化中。ステータス、状態異常耐性が大幅な低下したことに加え、一部のスキルが使用不可になっている。角の再生まで後287秒。
◆◆◆
な、なんだって……
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