魔王と勇者の二刀流

プロローグにしてエピローグ

　僕は二刀流の勇者であり、二刀流の魔王である。

　元々魔王として異世界に召喚された俺がその数日後に勇者として同じ世界に存在する王国に僕として召喚された。

　別に多重人格というわけではない。

　魔王としての俺、勇者としての僕を演じ分けているだけだ。

　二刀流っていうのはそういう意味で、別に戦闘方法が二刀流による剣術ってわけではない。

　いや、別に二刀流くらい余裕でできるけどね？

　それくらいできないと魔王なんて務まらないし、勇者だって務まらない。

　魔王召喚をした理由は、人類が召喚することになる勇者の対抗措置として

　勇者召喚をした理由は、魔王が現れるという占い結果からの魔王への対抗措置として。

　他人任せもどうかと思うが、それで同一人物を呼ぶとかこの世界の知的生命体って本当にどうしようもないと思う。

　それでも勇者としての僕は世界を救う為日夜魔物と戦闘していずれ魔王を倒す為世界平和を目指している。

　一方で魔王としての俺は勇者を殺す為に日夜召喚された時に得た創造魔法で魔物を量産していずれ勇者を倒して世界滅亡を目指している。

　どちらとしての自分も自分を殺すために行動しているなんて不思議に思うだろう？

　でも、そんなことはない。

　何故なら何事も本気でなければ仲間にバレるかもしれないからだ。

　俺が魔王であり僕が勇者であるということを知っている人間は自分以外に存在しない。

　彼これ俺として一年、僕としても同じく一年争いは続いているし、時たまいつも味方相手に戦うような時もある。

　それでもバレないのだから自分の演技力ってすごいよね？

　もっとも、魔王の場合はほとんど部屋ん中で魔物を量産したり、時たま部下である女幹部としっぽりするくらいしかやることがないから成立していることで、俺としての魔王が前線に出るようなハメになればすぐにボロがでてバレるだろうけど。

　そうなってしまうまでは、勇者である僕として聖女や王女に女性聖騎士団団長などとしっぽり夜の運動を楽しみ、魔王である俺としてサキュバスの女王や吸血姫の始祖と夜の大運動会を楽しみまくるつもりだ。

　勝手に召喚したのはそっちなんだし、騙されるくらいで文句言われる筋合いはない。

　良くいうだろ？　騙されるほうが悪いってさ。

　まあ精々勇者と魔王の二刀流である俺であり僕の掌の上で踊ればいい。

　いずれその事実が発覚するその日まで。

　その日が来るかは、神のみぞ知るってね？