努力する男と出来る男
NOTTI
第1話:挑戦の時
2022年春。颯太とブライアンはある企業の記者発表会に呼ばれた。
この企業とは日本に本社がある“マーク・ワールド・マネジメント”といって、海外の商社や個人事業主と契約を結び、事業支援等を行う商社だ。
実はこの会社の社長は川野・マーク・慎太朗というアメリカ生まれで、ブライアンとは3歳の時からの友達で、颯太は小学2年生の時に父親の転勤でアメリカに行った時に初めて知り合い、同じ学校の同級生として5年間一緒に過ごし、その後日本に帰ってからも定期的に会う友達だった。
彼の会社は15歳で起業し、25歳の時には世界30カ国に支社を持つまでに成長していた。
2人はまさか彼にオファーをされるとは思ってもみず、この日のために川野社長が仕立ててくれたスーツに袖を通してその時を待っていた。
楓太は現在、大手商社に勤めているため、今回の事業に参加することが正式に決まると彼の会社の就業規則では副業や兼務を認めていないため、今勤めている商社を退職し、川野社長の会社の外部役員として再スタートをする事になる。
また、ブライアンもアメリカ企業の日本法人に勤めているが、こちらは兼業が認められており、最終的な判断はブライアンに委ねられることになっていた。
そして、時間になり、ブライアン・川野社長・楓太の3人が会社内にあるプレスルームに姿を現すと無数のフラッシュが光り始めた。
そして、川野社長がプロジェクトを発表すると会場がどよめいた。
そのプロジェクトというのは“未来の起業家を探せ”という大きなプロジェクトだった。
このプロジェクトはこれから新しく事業を始めたいと思う子供たちに向けたプロジェクトから若手起業家を育てるというプロジェクトまで3パターンのプロジェクトだった。
その後、参加者を募集し、1000人の応募者が集まった。
全員の応募書類に目を通し、オンラインで全員と面接をして、合格者と研修生に分けた。
そして、50人の合格者を本社の会議室に集め、今後のスケジュールなどを話した。
その時、楓太は2人小学生に注目していた。
1人は小学5年生の松崎圭吾といって、今回の若手起業家育成プロジェクトの首席合格者で現在は“ケイゴ”という小説家と会社の社長という二足のわらじを履いて活動している子だ。
もう1人は6年生の黒谷すみれという全国小学生起業家発掘プロジェクトで2年連続グランプリを取った“若手起業家のホープ”であり、ジュニアモデルとしても有名ブランドのファッションモデルに抜擢されるなど起業家としてもモデルとしても“ブレイク候補”だ。
そんな2人の共通点というのは“小学生離れをした発想力”だ。
実は昨年の全国小学生起業家発掘プロジェクトの小学生の部で黒谷がグランプリ、松崎が審査員特別賞を受賞、今年は黒谷がグランプリ、松崎が準グランプリと2人が競い合っていた。
そのため、楓太はこの2人が他の合格者に彼らの発想力とプレゼンテーション力を真似してもらいたいと思っていたのは言うまでもないだろう。
そして、ブライアンはアメリカ出身のマッケイ、メリア、ローズに注目していて、この3人はアメリカ代表として小学3年生でさまざまな国にいる子ども起業家との交流会に参加していた過去があり、現在はローズが米系企業とスポンサー提携して、経営学を学んでいるし、メリアもローズと同じ学校で学んでいる。
マッケイはホームスクール出身のため、学校には通っていないが、彼の発想力と構想力の高さを買われて大手米系企業を含めた企業スポンサーが複数社付き、州政府が特別指定人材として認定されるなど彼の構想が多方面で採用されるなど活躍の場を広げている今アメリカでは注目されている起業家の1人だ。
ただ、彼としてはアメリカではない別の国でも自分のスキルを磨きたいと思い、今回のプロジェクトへの参加を決めたのだ。
今回50人いる合格者の最年長は18歳、最年少が8歳と幅広い年齢の子供たちが集まり、そのメンバーもモデルや子役を兼業している子ども、社長の子息や令嬢など将来的には親の会社を引き継ぐ子どももいて、将来の夢もほとんどの子供たちは2つ以上の夢を持っており、これが上手くいくと子供たちは社長と夢の二刀流を達成することになるのだ。
そんな子供たちを前にして川野と楓太は為す術がなかった。
なぜなら、自分たちがやってきたビジネスと彼らがやりたいビジネスが共通項を持っていなかったため、彼らがやりたいビジネスを自分たちで学び、その道の専門家に師を仰がなくては行けない状況になっていたのだ。
努力する男と出来る男 NOTTI @masa_notti
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