言葉の代わりにリナリアを
撫子
第1話
朝起きて身支度をするために洗面所は向かう。
リビングではお母さんが朝ご飯を作っているところだった。
『おはよう、千春。』
『おはよう、お母さん。』
私は耳が聞こえないから家で話すときは基本的に手話で話している。
一応補聴器はつけているがほぼ飾りみたいなものだ。
『今日は明日香ちゃんたちは迎えに来るの?』
『うん、今日から新学期だから一緒に行こうって。』
『そう、じゃあ早めに準備しなくちゃね。』
『今からやるよ。』
一応唇の動きで何を言ってるかわかるけど疲れるから外に出る時しか使わない。
学校に行く準備をして明日香たちが来るまで待っていて母親と話していると
『千春、明日香ちゃんたち来たよ。気をつけていってらっしゃい。』
『わかった、行ってきます!』
明日香たちが来たことを教えてもらい玄関を出た。
『おはよう明日香、璃緒。』
『おはよう!千春!』
『おはよー。』
2人は私の親友の明日香と璃緒。
「『今日から学校だって~、しんどくない?』」
2人は耳も聞こえる人だからできるだけ手話を混ぜて話をしてくれる。
どうしても手話がわからないときは 「この手話ってどうやるの?」と聞いてきてくれたりもする。
「『てかうちらも今年で華のセブンティーンだよ?そろそろ春来てほしいよね。』」
「『まあね、でも私はまだいいかな。人と付き合うのめんどくさいし。』」
「もう璃緒はそんなこと言う。『千春はどう?好きな人とかできてないの?』」
『うーん、私もまだいいかな。』
「『そっかー、あ、学校ついたね。クラス替えのやつ見に行こ!』」
私と璃緒は明日香に手を引かれ学校の中へと入っていく。
明日香の問いかけに私はたぶん恋なんかできずに一生独身なんだろうなと思ったが、それと同時にこの2人と一生友達ならそれでもいいかなと思う気持ちが出てきた。
だがこの心配は後々いらない心配だったなと思うのはもう少し先のことだった。
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