102.フィーの進化
先に討伐を開始していたフィーやエリザたちではなく、俺の方がレベル100になってしまった。
まあ、俺はレベルバッタの行動パターンを全て頭に叩き込んでいたからあっという間に終わらせることができたわけだが。
「さ、さすがです、レヴォ様!」
「んもー! コツがあるなら教えてくれませんかー、レヴォさーん!」
「フィーもー!」
エリザたちだけなら頑張れ、の一言で終わらせてもよかったんだが、フィーにまで言われてしまうと手伝わないわけにはいかないか。
というわけで、俺はレベルバッタの行動パターンを一から十まで全てを口にしていった。
いいや、正確には伝えようとしていたの方が正しいか。
「ちょ、ちょっと待ったー!」
「さ、さすがはレヴォ様です! そのようなこと、私たちには無理です!」
「レヴォさんって、それを全部覚えているんですかー?」
「……当然だろう」
「当然じゃないからー!」
うーむ、エリザは褒めてくれているが、結局は二人とも俺の言葉を理解できない、という話で落ち着いてしまった。
「……フィーは理解できたのー!」
「「えぇっ!?」」
「おぉっ! さすがはフィーだな!」
「ご主人様の思考がフィーの中に伝わったのー! 教えてくれるって念じてくれたらわかったのー!」
さすがは俺の霊獣だな! ……ん? ということは、フィーにだけ教えるということであれば、言葉にすることもなかったってことか。
「……難儀したな」
「ひどーい! 私たちも必至なのにー!」
「ですが、全てを理解できなくても少しは実践できると思いませんか、リンさん!」
「いやまあ、そうだけどさー」
「頑張りましょう! 目指せレベル100です!」
よしよし、やる気になってくれて何よりである。
この調子だと、先にフィーがレベル70に到達するだろうし、そうしたら進化をさせて、さらにレベル100を目指してもらおう。
それからしばらく、俺は見学というなの暇を持て余すことになったが、思考が伝わってくれたこともありフィーは早速レベル70に到達してくれた。
「やったのー! フィー、進化可能になったのー!」
「よくやったな、フィー!」
「おめでとうなのにゃー!」
「えへへー、ありがとうなのー!」
俺とニャーチが褒めると、フィーは恥ずかしそうに照れていた。
そして、そのままフィーのステータス画面を開くと、望んでいた表示を確認して思わず微笑んでしまう。
「進化可能の表示だ! いいか、フィー?」
「はいなのー!」
俺は表示に従って進化の表示をクリックする。
すると、フィーの体から眩い光が放たれ始めた。
その光にエリザとリンも振り返っていたが、フィーの進化が始まったのだとわかるとすぐにレベルバッタの討伐に集中していく。
まあ、あとから復帰したフィーにレベル100到達を先取りされたら、ランカーの立つ瀬がなくなるってものか。
さて、二人は置いておくとして、俺はそのままフィーの進化を見届けるとしよう。
光の中に見える影が徐々に大きくなり、手のひらサイズから、子供の幼児くらいの大きさに変わっていく。
これでは頭に乗せることはできなくなるが……まあ、場所は新しくフィーが決めてくれるだろう。
そんなことを考えているとフィーの進化が終わり、光が徐々に消えていく。そして――
「……進化したのー!」
「お疲れ様、フィー。さらに可愛くなったんじゃないか?」
「えへへなのー! ありがとうなの、ご主人様!」
フィーの頭を撫でながらステータスを確認する。
……ほほう。これは予想以上に、ステータスが上がってくれたな。
ステータスポイントを割り振って……よし、こんなもんか!
■名前:フィー ■レベル70
■霊獣:上級の風精霊(伝説級)
■HP790/790
■MP1040/1040
■筋力99 ■敏捷300
■知能235 ■体力114
■精神力164
■ステータスポイント0
■スキルポイント42
■アクティブスキル
・エアバレット 消費魔力5(風の弾丸を飛ばして攻撃する)
・エアスラッシュ 消費魔力10(風の刃を飛ばして攻撃する)
・エアヴェール 消費魔力10(対象の敏捷を5%上昇させる。効果時間5分)
・エアストーム 消費魔力20(自らを中心に風の刃の渦を作り攻撃する)
・エアバースト 消費魔力20(風の魔力を放出して前方扇状に攻撃する)
・エアウォール 消費魔力5(風の壁を作り出し攻撃を遮断する。耐久値100)
・エアドーム 消費魔力10(ドーム型の風の結界を作り出す。耐久値100)
■パッシブスキル
・敏捷上昇(30%)
・知能上昇(25%)
伝説級になったことでトータル270もの能力値が上昇した。
さらにスキルも獲得しており、敏捷上昇と知能上昇がそれぞれ5%ずつ、そしてエアストームという魔法を獲得している。
敏捷を切りよく300にして、あとは知能へ全振りした。
「よーし、フィー! ここからレベル100を目指すぞ!」
「はいなのー!」
こうしてフィーは再びレベルバッタ討伐へ向かった。
――結局、フィーがレベル100へ早く到達し、エリザたちは悔しがりながら残りの討伐を続けたのだった。
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