KAC20228 “私だけのヒーロー”
-財界天皇- 猫田
父親が、日野啓三の愛読者であったことから、その名を付けられたという
その政治的手腕は、
その大国から甘い汁を
黒い繋がりを巧みに操り、歴代総理や天皇家を思い道理に動かせたという
そんな猫田が、吾人と知り合ったのは、意外な場所でした
『吉夫家1号店』 すき焼き丼のチェーン店 (
「日本人なら、『すき焼き』を食べよう!
苦しいときも、悲しい時も、楽しい時も、嬉しいときも!」
という、フレーズで御馴染みの『吉夫家1号店』 (大事なので、2度も言いました)
その店は、猫田さんのお気に入りのひとつ―――
あぶない取引に、よく使っていた場所だったそうです
猫田が『すき焼き丼』に紅ショウガを添えようとしたときに、
吾人が相席で「それは 何か? 」と訊ねたのが、切っ掛けでしたね
「おぉ、これか? 関西で有名な ショウガの梅酢漬けぜよ
関東では、まんだ、あまり知られてないからのぉ」
猫田は、豪快な笑顔を吾人に向けてきましたな
「食欲をそそられる色ですな」
「おッ! 分かってくれるか?
ここの店主に置くように勧めたんは、なんせ、おいぜよ!」
そう言って、握手を求めてきましたな……
あの日が、まるで昨日の事のように思い起こせますよ
このときより、猫田さんは “私だけの
◇
まさか――
こんな老いぼれた2人が、あのような事件に巻き込まれてしまうとは……
苦労なんぞ、したくはなかったのですがねぇ……
了
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