暗闇の中での進歩


 あれから何時間経ったのかはわからないけど、新しいスキルが生えて来た。


 暗視lv3(new)

 無音lv4(new)

 隠密lv2(new)

 危険察知lv3(new)

 精神耐性lv3(new)

 瞬発力lv2(new)

 直感lv3(new)

 空間察知lv1(new)


 これらのスキルを取っている間、ぼーっとしていた訳ではない。

 何とこの病院を探索していたのだ!

 初めはよく鉄蜘蛛に見つかっていたのだが、暗視と無音のスキルを取得した後は、何かに少し当たったり擦れたりしただけでは音が立たなくなった。

 まあ、それでも見つかるのが一割減くらいなんだけどね…

 それでも減ったことに変わりはない!


 暗視はその名の通り暗闇でも周りが見える様になる。

 これのおかげで物にぶつかる事も無くなった。


 空間察知では学校の教室位の空間の形が大まかに分かる様になった。

 具体的に言うと、見ていないのに後ろにこのくらい大きさの物が有ると分かる。

 けれどもまだ『直感』の下位互換みたいなものだ。

 自分に害意の無いものもぼや〜っと分かるけれど、ほんっとにぼや〜〜っとしか分からない。

 もっとレベルを上げればかなり使えると思う。

 今後の成長に期待かな?


 そう言えば音を立ててしまっても、危険察知、瞬発力、直感の三つでなんとか避けられる。

 この三つは使用頻度が高く、スキルレベルが高くなって来ているんだよね〜。

 何というか、こういう時には何故かスキルの入手やスキルアップが速い気がする。

 なんか、危機的状況みたいな時にスキルアップがしやすい。

 そんな気がする。

 

 前に森を散策していた時はあまりスキルレベルは上がらなかったのに、ここに来てからスキルがぐんぐん伸びて来ている。

 一番スキルレベルが上がったスキルは『無音』のスキルだ。

 やっぱりここまでにたっくさん使って来たからかな?


 

 あれ?

 こんな所にヘアゴムがある。

 やっぱり人が居たのかな?

 もしかしてここに人が居たんだな。

 やっぱりダンジョン探索隊みたいなのがきたのかな?

 

 そういえば、ここに来たのが人間だったら鉄蜘蛛に散々見つかりまくってるだろうな〜。

 何故かって?

 人間には音を吸収してくれる毛も無いし肉球も無い。更に言えば体重もまあまああるし、衣服などの衣擦れなどの音もある。火などで視界を確保出来ない。声も出せない。鉄蜘蛛との体格差がありすぎて攻撃がとても当たりづらい。

 無い無い尽くしだな。

 そんな状態ではまともに探索出来ないだろうし、仲間との意思疎通も困難だろう。


 狼で良かった……本当に。

 入り口の扉の時点で薄々察していたが、やっぱり俺は小さい様だ。

 病院内の色々な物と比較してみたが、自分の体は中型犬位の大きさの様だ。

 あんまり強そうでは無いな……。

 転生したんだからもっと強そうでチートなのがお決まりでしょ!

 もっと大型犬とかファンタジーならではのビックサイズが良かったのに!

 この病院内を歩き回るのにも、このサイズじゃものすんご〜く時間かかったぞ。


 あとそれと別に、べっつに!仲間とか、羨ましく、無いし〜〜だ!

 まっっったく羨ましくなんか無いし〜!

 仲間なんて一人もいないし真面まともに話したことが少ししか無くて寂しかったりしないしー!

 真っ暗闇を一人でもまっったく寂しく無いし〜!

 こっちは前世からボッチだったし全っ然問題ないし〜!

 友達居なくても生きていけるし〜!

 


 ……自分で言っていて虚しいな。

 そ、そんなことはさておき、探索の成果は!

 ドドン!

 病院の構成や、敵の数、種類。更に病院から出られるであろう扉の位置だ。

 

 まず、病院の構成。

 この病院は二階建ての様で、あまり大きくはないが、入り組んでいる。

 一階は病院、二階は入院室や介護施設の様だが、やはり所々がボロで壊れている。

 それと、病院内の器具はどれも現代的なんだが、電気などの動力が何処にあるのか、何故かよく分からない。

 コンセントがひとつも無いのに、テレビやランニングマシーンなどの機材は生きている物がある。

 


 敵の数はどうやらあの蜘蛛一匹の様だが、所々に音の出るトラップが設置されている。

 糸に鈴が付いているアレだ。

 音が出ても避ける事は出来るが精神的にきつく、常に集中しないといけない。

 あの鉄蜘蛛は直接攻撃よりも弱体化に優れているんだと思う。

 それでも俺には二、三発で致命傷だろうが。


 そして出口は見つけたっぽい。

 謎にドーム状の空間が有り、その奥に入ってきた時の扉のような物が有る。

 だが、明らかにその扉を守る様に配置されているいかにも動き出しそうなフル装備した鋼の鎧が2体置いてあった。


 流石に無策飛び込む事はせず、策を練ることにした。

 

 安全第一に行こう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る