異世界で モフモフな ”オオカミ“ に転生した。俺には特別な進化候補があるそうなので、例え『最弱』でも『最強』を目指す。

龍神 蒼

 プロローグ

 ……ここはどこだろう?

 瞼の奥の暗闇から目覚めた瞳に映り込んだのは、黄金こがねの黄昏が差し込んだ緑の木々、更に高く遥か上の天空にはその黄金ですら隠す事の叶わなかった藍の星。

 少し顔を下ろせば天を貫く程に鋭く高い山、雲の更に上を浮く空島、砂時計を見ている様にすら思わされる天から落ちる際限ない何か。

         

 でもでも、こんな所は見た覚えも聞いた覚えも無い。

 一体いつの間にこんな所に来たのだろう? 友人のドッキリ?

 ……まぁ、そもそもドッキリにしては大掛かり過ぎてるし、そもそも心当たる友人なんて居ない。


 てか森じゃん森森!?

 野原とかなら分かるけど森じゃん! 山じゃん!

 ホワーイ!!?

 

 てかてかまずまずどうやってこんな所に来たんだ?

 えー、あー、とりあえずひとまず落ち着こう、あれ、なんか語彙力が。……深呼吸だ深呼吸。


 ……スンッ



 気持ち悪いほど気持ちが落ち着いたところで、一通り周りを見てみましょうか。

 ……あれ? …………ん?

 何だ? 上手く立ち上がれない?

 あれ……おかしいな、立ち上がろうとしても前に重心が行ってしまう。

 体育座りのポーズのまま立とうとしてるみたいな感じ。

                            

 嫌な予感がして、恐る恐る自分の手を見てみた。

 そんなまさかそんなことがあるわけ……ねぇ?


 穢れなど知らない様な、白く毛艶の良い体毛が見えた。

 ややピンクのかかった、透き通る様に美しい爪が見えた。

 -そう、現実は残酷だった。

 ……ウソだろ?

 自分の手は白く、もふもふとしている。

 明らかにヒトの手では無かった。


「オオーーーーーーーーーン!?」

 森中に悲鳴のような、仔狼の遠吠えが鳴り響いた。

 


 どうやら俺は生まれ変わってしまった様だ。

 見るからにファンタジーなもっふもふな犬っぽい何かに。


 何故!?

 どうして!?

 っていうかどうやって!??


 こういう作品はあるけど実際に自分がなるなんて誰が思うんだよ!

 こういう物話は他人事だから良いんだよ!

 

 まあどこぞの蜘蛛みたいに転生してすぐに殺されかけなくて良かったけどさ!

 


 だとしても納得出来んわ!

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