#117 答えの出し方
「なっ……
「それで
「愚かな。カエルレウス、やはり瞳閉じた氏族よ……」
飛び交う言葉の多くは、否定的なものだった。
それも無理はない、巨人族からしてみれば小鬼族(および人類)などちっぽけな存在でしかない。いかに
ある種、予想通りの反応を受けて、小魔導師は決然と踏み出した。
「侮るな! これら幻獣を従えし小鬼族は、我らに引けを取るものではない! さらにここにあるは、穢れの獣とて幾度も倒してきた勇者であるぞ!!」
「瞳そらすか! そのような戯言を!」
騒然とした空気の中、大きく声を張り上げたのはアーテル氏族の巨人であった。五眼位の巨人が小魔導師に詰めより、頭上より傲然と見下ろす。
「所詮、小さき者は小さき者か。カエルレウスよ、これ以上恥をさらす前にその瞳、
「アーテル氏族よ、先走るな。まだ問いに答えを得ておらぬ」
五眼位の巨人が手を伸ばす。その時、小魔導師との間にフラーウム氏族の
「フラーウム氏族よ……否、いずれであろうとも! そも問いを啓くことが無益であるのだ。挙げ句に小鬼族で数を合わせようなどと。そのような言葉、よくも認めたものだ!」
五眼位の巨人はそのまま、矛先をフラーウム氏族の魔導師へと変えた。互いの言葉をもってにらみ合う。
フラーウム氏族の魔導師の陰に隠れながら、小魔導師はそっと周囲を見回した。
諸氏族は同意の声こそ上げないが、どちらかといえばアーテル氏族の意見に頷いている。カエルレウス氏族の生存に飛空船団の登場。どれも衝撃的ではあったが、巨人族の認識そのものを変えるには至らない。
そのためには“前提条件”そのものを変える必要があるのだ――。
小魔導師は決意すると振り返り、頼みを口にしようとして。ほぼ同時に、隣に幻晶騎士が並んだ。
「戦士ディーよ」
「前衛は交代だ。どうにもここは、攻撃に出る場面らしいからね」
グゥエラリンデはひとつ頷くと、巨人たちを見据える。多数の目を持つ巨人たち。しかし視線はひとつとして彼らに向いていない。あくまでも巨人たちの内側しか見ていないのだ。まずはそれを動かす必要があった。
ディートリヒは咳払いと共に拡声器の出力を上げて。
「どうにも、巨人というのは目の数ばかり多く、遠くはよく見えないらしい」
彼のとった手段は極めて単純であった。同時に、ひどく効果的でもある。
速やかにざわめきが引いてゆく。射るような鋭さで、第二中隊へと巨人の視線が集中した。
「……なんだと」
五眼位の巨人が動く。ゆっくりとした足取りで進み、第二中隊の前に立った。
「小鬼族よ、黙っていれば寛容の瞳にて見つめようかと思ったが。しかしその言葉、見過ごすわけにはいかぬぞ」
「それは願ってもない! 耳のほうはまともなようで、助かったよ」
五眼位の表情が、怒りに歪んでゆく。彼だけではない。諸氏族の中にも、剣呑な雰囲気が広がっていった。
フラーウム氏族の魔導師は、興味深げに事の成り行きを見守っている。
「小鬼族の幻獣。そのような紛い物で、我らに並んだつもりか。所詮は小物の浅知恵よ」
「巨人族は図体こそ立派だが、まともな判断が下せないらしい。それでは獣と大差ないな。安心しろ、私たちは獣を狩るのは得意なんだ」
互いの間で、戦いの気配が濃密になってゆく。
「我らに逆らうか、小鬼族ごときが。愚かしい……どいつもこいつも見誤ったことだ。すぐに真が見えよう!」
五眼位の巨人の全身に、力が満ちる。拳は強く握りしめられ、それはふとしたきっかけで振るわれることだろう。
その前に、小魔導師が声を上げた。
「アーテル氏族よ! 疑問があるのならば百眼に見定めていただくがいい。我らはここに問う! 小鬼族は真、共にあるに足らぬか!?」
「なに?」
アーテル氏族の五眼位の巨人が呆気にとられ、立ち止まる。諸氏族にざわめきが戻った。
「おお……問いは、放たれた」
「百眼の御前である。証しを立てるか、カエルレウスよ。ならば我らも見定めよう」
小魔導師の放った問いは、諸氏族に受け入れられていった。そんな中で、納得がいかないのがアーテル氏族だ。五眼位の巨人が吼える。
「笑止! 問うまでもない、カエルレウス! お前たちの間違い、今ここで我が明らかにしてくれよう!」
「そりゃ何よりだな。さあて、どのみち後は自らの力で証明するしかないわけだ」
ディートリヒもまた凶暴な笑みを浮かべて頷き返す。
その時、上空に漂うカササギから場違いにのんびりとした声が聞こえてきた。
「やはり、こうなりましたか。なんだか勇者さんと出会った時を思い出しますね」
「うむ、
小魔導師が頷くのを見て、エルはこっそりとため息を漏らす。
カエルレウス氏族との出会いでも、彼は力を示して仲間に迎えられた。まったく余計な戦いであるが、通過儀礼とでも考えるしかないようだ。
「ではひと暴れしてこよう。エルネスティ、ここは私が……」
「ちょーっと待ったディータイチョ! そこは俺にやらせてくれよ!」
グゥエラリンデが一歩を踏み出しかけたところで、割って入る声がある。第二中隊のうち一人が、ずいと前に出てきた。
「頼むぜ。巨人ってーのがどこまでやるか、かーなり興味あるんで!」
「む。言うからには何か、勝算はあるのかい」
「殴り倒す!」
「……騎士団長、何か言ってやってくれ」
「頑張ってくださいね」
グゥエラリンデが器用に頭を抱える。その横を、団長の許可を得た隊員が嬉々として進んでいった。
「エルネスティ。ここで下手を引くと話が変にこじれるのだがね」
「その時はその時です。ダメそうなら最悪、上空から法撃を降らせて説得しましょう」
「それは説得と言わない」
背後でかわされる不穏極まりない会話はさておき。
カラングゥールが、力強く大地を踏みしめ胸を張る。立ちはだかるは、アーテル氏族の五眼位の巨人。
身の丈だけで言えば巨人が勝っている。躯体に赤い十字を描いた鋼の人形を前に、彼は不快気に瞳をゆがめた。
「小鬼族風情が、我らの真似をしたところで何の意味があろう」
「ただの真似かは自分の目で確かめてみるといいさ。そんだけいっぱいあるんだしよー」
巨人の額に、血管が浮き上がる。
「愚か者め。もはや貴様が見る明日はないと知れ」
「はっ! 上等だ。じゃあよぅ……」
直後、カラングゥールが思いがけない行動に出た。
手に持ち腰に提げていた武器を降ろす。さらに補助腕にもった背面武装も離し、
ひどく身軽になったカラングゥールが、素手となった拳を固めて構えをとった。
「力ぁ見せるんだ、武器はなし! てめぇの拳と身体だけで戦う。異存はあるか!?」
「ない! よかろう、その幻獣ごと叩き潰してくれる!!」
五眼位の巨人もまた武器を放り投げ、牙を剥き出しに吼えた。みしりみしりと、巨体を支える筋肉がうねる。
始まりの合図もなく。二体の“巨人”は互いに拳を固めると、大地をえぐる勢いで駆けだした。
五眼位の巨人が、背丈を生かして上から殴り下ろす。暴風渦巻かせて迫りくる拳をかわし、カラングゥールの躯体が間合いの内側へと滑り込んだ。
そのまま勢いを乗せて腹へと拳を打ち込む――だがそれは、五眼位の巨人が身をひねったことにより不発に終わった。
膝を跳ね上げて反撃を繰り出す巨人に、カラングゥールが飛び退って間合いを取る。
「おしそこだ! 行け! ぶちかませ!」
「つうかアイツ、なぜ幻晶騎士で殴り合いを選んだよ」
「武器を無くした時のために、格闘の練習してたとか」
「何やってんだよ。普通に剣の訓練しろよ……」
「いいや剣よりも棍のほうが便利だね。重装甲もイチコロさ」
「お前らわかってないなぁ。斧はいいぞ、叩きつけるんだ」
「そこは槍だろ。間合いは重要だぞ」
「君らちょっとうるさい」
やんやと囃し立てる第二中隊のありがたい声援を背負い、カラングゥールが再び踏み出した。
しかし五眼位の振るう拳に押し返され、なかなか間合いに入れないでいる。
躯体そのものを武器とする格闘において、体が大きいことは大きな利点となる。単純に間合いが広いうえに、大きな躯体は大きな膂力にもつながる。巨人の攻撃を受ければ幻晶騎士とて無事には済まないだろう。
対するカラングゥールも、幻晶騎士のなかでは出力に優れた機種である。
互いに相手を倒すだけの力を秘めているのだ。
巨人たちの歓声が沸き上がる中、生身の巨人と鋼の巨人が拳をぶつけ合う。
「幻獣を操ろうと、しょせんは小鬼族! その程度で問いの答えを得ようなどと、思い上がりも甚だしい!」
「そいつはどうだかな!」
豪風と共に、五眼位の巨人の腕が宙を薙ぐ。機敏な動きで攻撃を避けたカラングゥールが、相手の顔面を狙って拳を突き出した。
五眼位の巨人は上半身を振ってかわす。そのまま腕を広げ、カラングゥールへと掴みかかった。
「んなろぉ!」
避けきれないと悟ったカラングゥールは、むしろ正面から応じた。互いの拳を掴みあい、二体の巨人が組み合う。筋肉が膨張し、全力を注ぎこむ。
五眼位の巨人はさらに、上背を生かして相手へと体重をかけた。カラングゥールにかかる荷重が増し、結晶筋肉が軋みを上げる。その足は地面にめり込み、かけられた力の激しさを物語っていた。しかし、五眼位の巨人の膂力と重量を受けても、まだ耐えている。
押し合う二体の巨人を前に、諸氏族の間にどよめきが起こった。
「なんと、五眼位に抗しているだと」
「あれが小鬼族の幻獣。眼上に並ぶだと。それではまるで、勇者ではないか」
巨人族はおおむね、眼位が上がるほどに身体が大きく、身体能力も高くなる傾向にある。五眼位ともなれば、素の能力だけでも極めて高くなるのだ。
それに抗して見せるカラングゥールの姿を見て、巨人たちは見る目を新たにしつつあった。
「ぐぅぅ、押し込めぬ……!?」
「きばれぇ、カラングゥール! 今こそ全力を振り絞れっ!!」
吸排気音が激しくなり、魔力転換炉がさらに出力を上げる。全身に淡い光が走り、強化魔法が活性化した。じわりじわりと、カラングゥールが巨人を押し返してゆく。
五眼位の巨人が、初めて焦りを含む表情をみせた。小鬼族の作り出した偽物の巨人が、五眼位である己に匹敵する力を発揮するなど思いもしなかったのだ。いや、むしろ。
「小癪な! そのようなこと、あってはならぬ!!」
五眼位の巨人にとって、周囲の反応は気に食わない。さりとて、小鬼族の玩具は思いのほか粘り強い相手だった。
「所詮は真なる巨人に非ず。力で抗した程度で、調子にのりおって!」
五眼位の巨人はそこで、加えていた力を一気に緩めた。全力で対抗していたカラングゥールが、支えを失ってつんのめる。
狙い通りだ、巨人は再び一歩を踏み込むとともに、大きく弧を描きながら拳を振り下ろした。
「まずい! かわせっ!」
ディートリヒが叫ぶ。しかし、カラングゥールは姿勢が崩れ、逃げ切れない。真上から叩きつけられた拳が、カラングゥールの肩を捉えた。
衝撃のあまり装甲がひしゃげ、陥没する。内部の結晶筋肉が割れ砕け、破片が周囲に舞い散った。衝撃は骨格に達し、関節がねじきれる。左腕はもげかけており、もはや使い物にならなくなっていた。
「フン! 終わりをくれてやろう、小鬼族よ!!」
片腕を砕かれ、カラングゥールの躯体が大きく傾く。あまりにも大きな損傷だ、誰もが五眼位の巨人の勝利を確信した。その中で、ただ一人だけ闘志を失わない者がいる。
「はっ、片腕持っていったくらいで油断しやがって! でっけぇ隙ができてるぜぇ!!」
幻晶騎士は、機械である。たとえ片腕が破壊されようとも、痛覚もなければ残る部分への影響も少ない。生物と機械、その根本的な違いを巨人族は理解して居なかった。
受けた攻撃の反動を利用して、カラングゥールが身を沈める。覆いかぶさった状態にある五眼位の巨人めがけ、飛びあがるように右拳を突き出した。狙うは、無防備な胴体。拳が、巨人の脇腹へと突き刺さる。
巨人とて胴部は魔獣の鎧で守っている。カラングゥールの拳が、自らの威力によって圧壊した。しかしそれによって、衝撃は鎧の内部へと浸透してゆく。
「おんごっ、がぁっ!?」
臓腑を貫く衝撃を受け、たまらずに五眼位の巨人が身体を折った。いかに強靭であるとはいえ生物である以上、内臓への衝撃に耐えることなどできない。
「オッラァ! 拳が潰れたくらいでなぁ!!」
カラングゥールが、その場でぐるりと回転する。そうして姿勢の崩れた五眼位の巨人へとめがけて、渾身の回し蹴りを繰り出した。
――回し蹴り。長い幻晶騎士の歴史上でも、このような攻撃がおこなわれたのは初めてのことではないだろうか。
遠心力がのった脚部装甲が、きれいに巨人の側頭部を捉えた。威力の全てが余さず伝わり、巨人が頭から吹っ飛ぶ。のけぞるように体が宙に浮き、勢いよく地面へと突っ込んだ。土煙が舞い上がり、五眼位の巨人の姿を覆い隠す。
「…………」
決着は一瞬で、あまりにも意外であった。諸氏族は静まり返り、呆然と流れる土煙を眺めている。
やがて露わになった景色の中。五眼位の巨人は、倒れたままピクリとも動かないでいた。
アーテル氏族の巨人たちが慌てた様子で駆け寄り、恐る恐る覗きこむ。悲痛な叫びが上がった、五眼位の巨人は白目を剥いて気を失っていたのだ。
「見たか! 俺の勝ちだぁっ!!」
カラングゥールが、残った腕を振り上げる。僅かに遅れて、諸氏族がそろって雄たけびを上げた。
すぐに、小魔導師が諸氏族に向かって宣言する。
「ここに、問いは答えを得た!! 小鬼族よ、彼らは真に勇者なり! 百眼よ、ご照覧あれ!!」
「おおおっ!! 百眼よ、ご照覧あれ!!」
諸氏族もそろって跪き、彼らの神へと祈りを捧げている。
そんな興奮のただ中にあって、アーテル氏族の巨人たちは慌て困惑していた。
「五眼位よ! 何ということだ、小鬼族ごときに倒されるなど……」
「しかしもはや、答えは出てしまった。百眼がお認めになってしまったのだ。このままでは……」
彼らは気を失ったままの五眼位の巨人を抱えると、そそくさとその場を離れていったのである。
「……やれやれ、なんとかなったか。まったく危ないことだ」
隊員の勝利を見て、第二中隊は臨戦態勢をとく。勝利への確信などまったくなかった。最悪に備え、彼らはもう一暴れを覚悟していたところである。
「おうおう。カラングゥール、見事にぶっ壊しちまったな」
「親方にどやされっぞ。ひっひっひ」
「なんのそれしき。勝ちゃあ勲章よ、勲章!」
片腕がもげかけた状態で胸を張る隊員に、周りは呆れたように溜め息をついた。
確かに殴り込み中隊である第二中隊にとって、機体の損傷などいつものこと。だからこそ即座に反撃に出ることができたのだともいえる。
彼らなりに勝利をねぎらっていると、小魔導師が戻ってきた。背後には諸氏族が並んでいる。
「戦士たちよ。お前たちは幻獣もて、諸氏族に並ぶに値すると。皆それを理解した。空にあるものたちが、穢れの獣と戦いうることも……。百眼が、お認めになったのだ」
小魔導師は空を見上げる。そこには、
彼女は知っている。それらがいかに強力な力を秘めているかを。高速で飛翔し、
振り向き、諸氏族と向かい合う。
「改めて、我らは諸氏族に問おう。ルーベル氏族はすでに動き出している、安息の時は終わったのだ。百眼が、再び我らを試されようとしている」
密やかな言葉がさざめきあい、諸氏族は心を決めた。彼らの意思を受け、フラーウム氏族の魔導師が前に出る。
「カエルレウス氏族と、その新たなる友よ。お前たちの持つ、空を進む大いなるものが、穢れの獣を退ける力となる。我らは友を信じ、共に試練に臨もう」
いかに多くの氏族が集まろうとも、ルーベル氏族が穢れの獣を操っている限り彼らに勝ち目はなかった。空を舞台に戦うことのできる戦力は、巨人たちの状況を劇的に変えるだろう。
虹色の光とともに、カササギが降りてくる。
「ルーベル氏族の元にいる小鬼族も、自由を望み僕たちの力になると約束してくれました。上手くいけば、穢れの獣が問いの邪魔をすることはないでしょう。そこからどのような答えを得るかは、あなた方しだいです」
居並ぶ巨人たちが、雄たけびを上げる。
「いまこそ、真眼の乱の過ちを正す時!」
「小さきものの背を見るなど、巨人族の心に悖る! 百眼の御前で、かような無様は見せられぬぞ!!」
「我らが問いを放つのだ! いまこそ征かん!」
巨人たちは腕を振り上げ、それぞれに動き出した。小魔導師と銀鳳騎士団は彼らを見送り、頷きあったのだった。
カエルレウス氏族の巨人たちは、小魔導師の後を追って西へと向かっていた。カササギと共に空を進んだ彼女とは違い、彼らは徒歩である。大きく遅れるのは仕方がないところだろう。
「……何か、くるぞ」
その途中のことである。彼らは、どこからか響いてくる地鳴りを感じて歩みを止めた。
「獣ではないな……これは、響きが大きすぎる」
「この感じ。まさか」
地鳴りは徐々に強さを増し、もはや地震に近くなりつつある。長くこの森で暮らしてきた彼らにとっても、なかなか経験のない規模だ。
だが、これと同じ状況が過去に一度だけあった。それは、普く氏族が集い戦った、かの時の――。
「おお……これは!?」
木々の向こうに広がる景色を目にして、カエルレウス氏族の勇者は目を見開く。
鬱蒼と茂る木々の間にはためく、色とりどりの印。魔獣の毛を織って作られた印は、巨人たちの属する氏族を示している。
「
これほどの印が集まったのは、真眼の乱以来なかったことだ。カエルレウス氏族は言葉を失い、立ち尽くす。
そんな彼らの元へと、虹色の光が降りてきた。カササギに抱えられた小魔導師が、彼らを見つけて手を振っている。
「勇者よ! 我は役目を果たしたぞ!」
「おお……。小魔導師よ、小鬼族の勇者よ! よくぞ、よくぞ成し遂げた! ならばあとは百眼に問うまで」
三眼位の勇者は歓喜の雄叫びを上げる。
ついに、諸氏族はここにひとつとなった。森を鳴動させ、東を目指す巨人たち。かくして魔の森は再び、戦乱のただなかへと向かってゆくのである。
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