#46 人馬騎士、始動

 ぐおんぐおん、と音を立て工房の天井を這うレールの上をクレーンの滑車が走り回る。

 そこから鎖で吊り下げられた、鎧の一部らしき金属塊を幻晶甲冑シルエットギアに乗った鍛冶師が押し出してゆく。勢いのついた金属塊に轢かれそうになった誰かが、一揃えの罵声をあげながらも慌しく走り去っていった。


 ライヒアラ騎操士学園にある騎操士学科の工房。

 いまや銀鳳騎士団ぎんおうきしだんの基地と化したその場所は、新型機の完成へと向けて熱気で溢れかえっていた。

 簡易な秘匿の覆いはすでに取り去られ、最新鋭の人馬型幻晶騎士シルエットナイト・ツェンドルグが工房のど真ん中を堂々と占拠している。通常の機体よりも巨大なことが災いし、完成が近づくにつれて押し込めたままの作業が困難になってきたのだ。


 巨体に比して上半身は細身で、軽量に見える。その額には突き出た一本の角が見られ、他にも伝説上の馬に関係した意匠が随所に施されていた。

 対して下半身は巨大で、重厚だ。脚部など一つ一つが幻晶騎士の胴回りほどの太さを持ち、見ただけで尋常ならざる出力のほどを知ることができよう。

 それらが接続される腰にあたる部分は、幾重にも重ねられた装甲板で覆われた巨大な塊といった見た目だ。


 実は、ツェンドルグは外見以外にも通常の幻晶騎士と異なる要素を抱えている。

 操縦席、魔力転換炉エーテルリアクタ、そして魔導演算機マギウスエンジン。それらをあわせた“心臓部”と呼ばれる部位――それらは全て、この“下半身”に搭載されているのだ。

 複座式となった操縦席、2基搭載することになった魔力転換炉、果ては容量を増やすために大型化した魔導演算機まで、もはや人型の内部に積めるものではなくなったためである。当然、ツェンドルグの大きさゆえの余裕があったからこそ成しえたことだが。

 そこで上半身と分散して積む方式にならなかったのは、主に機構の複雑化を防ぐためのものだ。結果として上半身は戦闘機能に特化しつつ、軽量なものとして仕上がっていた。


 筐体は完全に組みあがり、すでに外装アウタースキンも過半まで取り付け終わっている。さほどの時をおかずして動作試験へと入ることであろう。



 近づくことすら躊躇われそうな異様な機体を創り上げてゆく先輩たちの姿を横目に見ながら、新米鍛冶師たちは黙々と自分の作業を進めていた。

 当初は見るもの全ての珍しさに興奮し、果てはツェンドルグと対面した際には仰天のし過ぎで倒れていた彼らも、次々に課せられる訓練と作業をこなしてゆくうちにどんどんとスレ始めていた。

 最近ではさっさと幻晶甲冑の製作方法を習い覚え、自分たちが使う分は勝手に作っていたりする。慣れとは恐ろしいものである。


 彼らが作っている普及型の幻晶甲冑・モートリフトは大雑把な作りゆえ細かい作業こそ苦手だが、発する力はドワーフ族すら軽く超える。幻晶騎士の部品のような大きなものを取り扱う作業には高い適正を見せていた。

 最初は見知らぬ機械に奇異の視線を送っていた新入生たちも、しばしの時間が過ぎる頃にはその便利さにすっかりとはまっていたのだった。


 荷物を運び槌を振るい、作業に勤しむ彼らの間を縫って一人の騎操士ナイトランナーが何かを探して歩いていた。

 やや長めに広げた金髪、長身痩躯にわざわざ紅く染めた革鎧を身につけている。銀鳳騎士団2番中隊隊長ディートリヒ・クーニッツだ。

 彼は工房内を一通り見回すと、ふむ、と一息ついて近くで作業をしていた新米鍛冶師へと声をかける。


「君たち、団長エルネスティを見なかったかい?」


 ディートリヒの問いかけに、新米鍛冶師たちはそろって首を横に振った。銀鳳騎士団長、エルネスティは色々な意味で目立つ。来ればすぐに気付くはずである。


「ついでにあの双子もおらず、と。教室はもう出たようだしどこに行ったんだろうね、うちの団長様は。……何もしでかしていなければいいけどね」


 無情にも、彼の心配は的中することになる。




 人馬騎士・ツェンドルグの完成を目前にした銀鳳騎士団。鍛冶師たちはその作業にかかりきりであり、騎操士たちも自身の訓練に、後輩の指導にと多忙な日々を送っている。

 そんななか、設計を終えた騎士団長様は些か手持ち無沙汰な状況にあった。

 ここで思い出して欲しい、彼はツェンドルグの設計以外にも様々なものを作っていたということを。

 幼馴染と3人でゆっくりと作り進めてきたとある新型装置。彼はその動作試験を行うべく、こっそりと恐るべき事件を起こしていたのであった。



 晴れ渡る空と穏やかな陽射し。ピクニックに丁度良いであろうまばらな木々の合間を、重量感溢れる足音をたてて歩く巨人がいる。

 同系統でありながら周囲の深緑から浮きに浮いたヴィヴィッドなグリーンの色合い、ピンピンに突き立った刺々しい飾りをつけた鎧の形状。あまりにも怪しげな風体をしたこの巨人は実習用の幻晶騎士・ラーパラドスだ。動かしているのはエルネスティである。

 その足元をちょこちょことついて歩くのは幻晶甲冑、アーキッドとアデルトルートが動かすモートルビートだ。


 ここはライヒアラ学園街より少々の距離を離れた人気のない森の中。いくら魔獣の危険があるからといって、少々仰々しさに過ぎる装備をもって彼らは散歩を楽しんでいた。

 しばらく進むと森の中に開けた場所が見えてくる。以前は決闘級魔獣でも居たのかもしれない、ぽっかりと空いた広場がそこにあった。


 エルは抱えていた荷を降ろし、ラーパラドスに膝立ちの駐機姿勢をとらせる。キッドとアディは早速荷を広げ、中に詰め込まれた奇妙な筒状の装置をラーパラドスへと取り付けていった。

 人一人が両手で抱えるほどの太さの筒。それが数本、ラーパラドスの肩と腰周りに設置される。二人は固定器具をしっかりと組み付けたのを確認すると、操縦席に座ったエルへと手を上げた。


「エルー、取り付け終わったぜ。しかしこれはなんというかさぁ……」

「こっちも大丈夫だよー。ねぇー、なんていうかねぇ……」


 二人は作業を終えると、ラーパラドスから離れてその全身を確認していた。

 元々の無駄に刺々しい外見に、さらに謎の筒を複数生やしたラーパラドス。その姿はいっそシュールとさえいえる領域に達している。

 秘密の保持とは別の意味で、彼らはこの場所に誰もいないことを感謝していた。


「さぁてあとは仕上げを御覧じろ、少し離れていてくださいね」


 操縦席に座ったエルはそんなことを気にしていないのか、それともあえて無視しているのか。

 ともあれ彼はラーパラドスを立ち上がらせると、謎の装置を起動させていた。


 途端、“筒”の前面から大量の空気を吸い込む独特の音が響きだす。突然の奇妙な音に驚いたのか、周囲の森から鳥が一斉に逃げていった。

 離れたところからキッドとアディが見守る中、ラーパラドスは僅かに身を沈めるとそのまま走りはじめた。結晶筋肉クリスタルティシューが躍動し、全高10mにも上る巨体が軽やかに疾走する。しばしの後にはラーパラドスは十分な速度に到達していた。

 ここからが試験の本番である。エルは不敵な笑みを浮かべると、操縦桿の周りに増設したスイッチを一斉に押し込んだ。

 瞬間、世界が切り替わる。


 “筒”の内部は漏斗を二つ合わせたような形状になっている。前半には大気を圧縮する魔法術式スクリプト紋章術式エンブレム・グラフとして用意され、吸入・圧縮された大気が細くくびれた中央部分へと集められる。

 後半部では圧縮された大気の塊へと次なる魔法、爆炎の魔法がかけられる。さらに魔法術式には、それによって発現した爆発に指向性を持たせる部分が記述されている。

 圧縮大気推進エアロスラストを応用した圧縮大気の炸裂、さらに爆炎の魔法による爆発、二つを合わせて発生する高速の噴流を利用した反動推進器。それがこの筒――マギジェットスラスタの原理だ。


 最初に発生したのは眩い朱の光、機体背後に長く伸びる炎の尾。

 次に発生したのはつんざくような轟音。

 目覚めを告げられたマギジェットスラスタは全くの遅滞なく、猛然とその本性を剥き出しにした。

 すでに圧縮を経た大気の塊が連続して爆発膨張し、強烈なジェット噴流による反動がラーパラドスへと圧倒的な加速を与える。

 いやそれはすでに加速などと生易しいものではなく、“吹き飛ばした”と表現するほうが正しいような状態だった。


「お、おおおぉぉぉぉぉぉう!? フゥゥゥゥッルパァァゥワァァァァーーー!?」


 製作者であるエル自身の予測すらはるかに凌駕する激烈な推進力により、ラーパラドスが明らかに異常な加速を始める。

 エルの小柄な体へと強烈な慣性がかかり、それに対抗するために必死になるあまり彼は十分に装置を制御できていなかった。その間にもマギジェットスラスタは自身に記述された術式に忠実すぎるほどに従い、狂ったように推力を吐き出し続けてゆく。


 どこまでも続く加速の中、小さな気流の乱れが一瞬だけラーパラドスの機体を浮き上がらせた。

 少しだけ崩れた姿勢、僅かに浮き上がった体。本来ならばすぐに重力が地面へ戻してくれるはずである。しかしラーパラドスに装着された魔物は、その圧倒的な推力を以って重力に打ち勝ってしまった。


 エルは慣性の方向が僅かにずれたことに焦るが、彼の対処を待たずして機体は自由な空へと離陸を始めていた。空力的な特性など一切考慮しない、ただ爆発的な推進力のみに支えられた飛翔。

 機体が嵐にもまれる木の葉のように吹き飛びそうになるのを、エルが全力を振り絞ってなんとか制御する。ただ彼をして、空中分解しないだけで精一杯だった。

 眩い炎を引き連れて空へと向かうラーパラドスはさながら流星の逆回しである。エルの悲痛な状況とは別に、謎の感動を伴うその光景にキッドとアディはあんぐりと口を開けたまま見入っていた。


 爆発的に始まった事態はやはり突然に終了した。

 余裕のないエルに代わり、魔導演算機が自身の仕事を忠実に実行したのだ。急激な魔力マナの消費に対し、魔力貯蓄量マナ・プールが枯渇する寸前に安全装置リミッターが作動して機器への魔力供給が強制的に停止される。

 直後、ラーパラドスを持ち上げていた炎の雄叫びが唐突に停止した。同時に推進力を失った機体は、空気抵抗と重力に導かれるまま落下を始める。


「ウワァァァァァァいっぱーーーっつ!?!!!」


 皮肉にもマギジェットスラスタが停止したことによって、エルは機体を制御する余裕を取り戻していた。

 勢いはともかく、高度が上がりすぎる前に推進器が止まったことは不幸中の幸いであっただろう。瀕死の機体はなんとか分解することなく地面に帰り着く。しかしそれはただ着地しただけであり、有り余る勢いはほとんど衰えてはいなかった。

 ブレーキをかける機体の両足から猛烈な火花が舞い散り、地面がやすりのごとく外装アウタースキンを削り取る。

 このままではすぐに脚部が限界を迎える、そう悟ったエルはとっさに機体を前方へと投げ出した。前転の要領でラーパラドスが地面を転がる。ご自慢のトゲトゲ鎧がボキボキに折れ砕け、取り付けたマギジェットスラスタまで吹っ飛んでいたがエルにそんなことを気にする余裕はなかった。


 そのままおよそ数百mを転がったラーパラドスはようやく勢いを緩めると、大の字に倒れ伏して停止したのだった。


「…………エル君、生きてるかな?」

「はっ!? いや今のはまずいだろ! 助けに行くぞ!!」


 キッドとアディが正気を取り戻したのは、あたりが静けさを取り戻してから、しばらくしてのことだった。




「ゲホッ、ゲホ、だ、駄目です!! この装備は駄目です!! 駄目々々です!!!! 却下!! ……はしませんが作り直しです!!」


 目を回して気絶していたエルが、息を吹き返してまず言い放ったのがこれである。

 ラーパラドスは人型こそ留めていたものの、鎧のほとんどがひしゃげるわ飾りは折れるわと威圧的だった姿はもはや見る影も無い。足の装甲はガタガタに削れているし、摩擦熱で一部の部品が溶接してしまっている。これだけの事故を起こしてエルが気絶だけで済んだのは、偏に日頃の訓練と彼の能力の賜物であった。一般人は真似をしないでください。

 そんな彼であっても、さすがにここまで惨憺たる結果が出ては余裕など見せれるはずもなく。珍しく大荒れのエルを、幼馴染が慌ててなだめにかかっていた。


「しかし危なかったな。スラスタを止めるのがもう少し遅かったら星になってたぜ、エル」

「…………違います、“止まった”んです」

「え?」

「あまりにも魔力をドカ喰いしすぎて、魔力貯蓄量の大半を一気に燃やし尽くして、挙句勝手に止まったんです!! ええそうです、駄目です、完全に失敗です!!」

「え、エル君落ち着いて! はいはい、どうどう」


 半ば錯乱状態にあるエルを、アディが力づくで強制停止する。彼はしばらくもがいていたが、やがて静かになった。

 背後を振り返れば、そこには地面が抉れた跡が長く続いている。二人は改めて、エルとラーパラドスが無事であったことに長い安堵の吐息をついた。


「ねぇエル君、これはやめとかない? いくらなんでも危ないわよ」


 アディは心底心配といった表情を隠しもしていないが、残念なことに腕の中のエルが顔をあげたとき、彼の表情はいつもの――つまりは製作の熱意に燃えたものとなっていた。


「失敗は失敗で仕方ないとして……もう少し段階を経て実験しなければいけません。まずは術式の規模と出力の関係について検証が必要ですね。そして状況に合わせて変更できるように新たな制御機構も噛まさないと。魔力の消費も問題ですが、これはしばらくは出力と一緒に抑えることでもたせましょうか……いや、機体側で対策をしてしまえばなんとかなるかな?」


 彼の脳裏では新たな図面が出来上がりつつあるのだろう、あわや大事故を起こしかけたというのに一切躊躇しないエルの様子にキッドとアディは二人して天を仰いだ。まさに処置なしである。

 エルはしばらくはそうしてうんうんと唸っていたが、唐突にいいことを思いついたとばかりに二人へと振り返る。


「ちなみに、二人も乗ってみますか?」

「乗るかっ!!」「いーや!!」


 わかりきった答えが、森の中に木霊していった。

 その後、うっかりとズタボロになったラーパラドスに乗って戻ってきたエルをみて、銀鳳騎士団の全員がすわ敵襲かと臨戦態勢と相成ったのは余談である。




 工房の一角に、いかにも急造された感じの机と椅子が設置されている。机の上にはこれまた急ぎで作られたのだろう、乱雑な字で“騎士団長”と書き殴られた立て札が置かれていた。

 その席にちょこんと腰掛けながら、エルは恐る恐るといった感じで周囲を見回した。


「……僕はここにいなくちゃいけませんか?」

「おう、すわっとれ団長様」

「ああ、君がいたほうが気が引き締まる気がするしね」

「そうだな、団長というものはもっとこう、どっしりと構えていればいいさ」


 周りを取り囲むのは言わずもがな、いつもの面々である。

 ドワーフ族の鍛冶師と十分に体を鍛えた騎操士たちだ。彼らは威圧感を放つ仁王立ちでもって物理的にエルを席に留めていた。


「みんなして非道ひどい……」

「てめぇから目ぇ離すとまた何しでかすかわかんねぇだろが!」


 恨みがましい目つきで、エルは傍らにある機体を見上げた。

 そこにあるのはボロボロになったラーパラドスの姿だ。悲惨な大事故に見舞われたラーパラドスは自力歩行こそ可能だったが、限りなく大破に近い判定を受けて現在使用を厳禁されている。主に騎士団長に対して。

 そして動作試験といいながら幻晶騎士1機を大破に追い込んだエルは騎士団のほぼ全員から“お説教”をくらい、こうして“騎士団長のお仕事”をやることと相成っているのだ。


「大丈夫ですよ、僕だってちゃんと反省しています。ほら、こうして改善案の設計だって仕上げてありますし」

「やっかましわ! それのどこが反省してるってんだ!! しばらく大人しくしとれ!!」


 当然とばかりにどこからともなく設計書を取り出したエルに、親方がひったくるようにそれを取り上げる。

 異質な才と、溢れるほどの熱意を持つ彼らの騎士団長。魔獣に突っ込み幻晶騎士に突っかかりと基本的に常識から外れた行動しか取らない上に、これまた桁外れの能力でそれを成し遂げるものだから誰も彼を止めはしなかった。

 それが失敗したときはどうなるか――当然のように大惨事を引き起こしたエルに、全員が頭を抱えたのは言うまでもない。


「むぅ、いいですわかりました。しばらくは簡単なお手伝いをしています」


 せっかく改善案を仕上げたというのに、とエルは不満げではあったが事故を起こした手前さすがにバツが悪かったのか、大人しく手伝いを始めていた。


「……さっさとツェンドルグを仕上げるか。アレの動作調整にはいりゃあ、坊主も暇なんぞと言ってられやぁしねぇだろ」


 今のところ彼らはそれ以上の対処の方法を持っていなかった。呆れつつも親方は再び気合を入れなおすのだった。



 そうして、しばらくは何事もなく日々がすぎていた。

 最初は警戒していた団員たちも、そのうちに自らの忙しさに埋もれて注意が薄れてゆく。

 その間隙を縫うようにして、第二の事件は近づいていたのだった。


「あ、エドガーさんちょっと待ってください」

「ん?」


 いつものように後輩の訓練に向かおうとしたエドガーを呼び止める声がある。

 聞き覚えのある、鈴を鳴らすような声に振り向くとそこには予想通りエルの姿があった。

 いつもと違うのは両手で抱えるようにして大量の短剣を持っていることだ。エルはそのうち1本をついと差し出す。


「これを」

「短剣……? 珍しいな、銀製なのか」


 エドガーが受け取ったその剣は、装飾に凝った形状をした儀礼用と思われるものだった。

 刃渡りは短く、その上材質は銀製だ。銀は金属ではあるが鋼鉄よりははるかに強度に劣り、あまり武器に向いた素材ではないとされている。これも純粋な武器として使うには心もとないだろう。


「一応武器として使えなくはないですけど用途は少し違います。それで、ちょっとこちらへきてください」


 彼が疑問を差し挟む前に、エルは1機のカルダトアへと向かってゆく。

 エドガーは訝しげな様子を隠せなかったが、行けばわかるだろうとばかりに後を追った。



 たどり着いた先は何の変哲も無いカルダトアの操縦席だ。エドガーはアールカンバーを失ってからは主にカルダトアに乗っているため、彼にとってもすっかり見慣れた場所である。

 エドガーはエルの指し示すままシートに着き、手馴れた様子で機体の起動準備に取りかかった。


 固定帯を締め、操縦桿とあぶみの位置を整える。続いて休眠状態にある魔力転換炉の出力を駆動状態まで高めるため、出力調整のレバーを操作する。

 異常が起こったのは、その時だった。

 いつもならばレバーの動作にあわせて炉が発する振動の高まりが伝わってくるはずである。だが今は周囲からエーテルを取り込むための吸気機構の唸りも全く聞こえず、炉は休眠状態のままだ。

 起動の失敗、それなりに幻晶騎士を動かしてきた経験を持つエドガーにとっても初めて遭遇する異常事態だった。


 さすがの彼も焦りを感じたが、努めて冷静に起動手順を繰り返す。しかし何度やっても結果は同じだった。どうやっても炉は目覚めず、機体を動かすことができない。

 繰り返すごとに焦りが増してゆくが、そこで彼は開いたままの胸部装甲に乗ったエルが、にやにやと笑みを浮かべていることに気付いた。


「……エルネスティ、もしかしてお前が何か細工をしたのか?」


 小さく手を叩く少年の姿は、言外にそれが正解であることを伝えている。

 お叱りを受けたエルのちょっとした意趣返しである。彼はひとしきり喜んだ後、腕を組んで睨みつけるエドガーに小さく頭を下げた。


「うん、ごめんなさい。そんなに怒らないでください、いまから仕掛けを教えますから。

 足元を見てください、スリットがありますよね? そこに先ほど渡した短剣を刺し込んで下さい」


 憮然とした面持ちのまま、それでもエドガーは言われるままに短剣をスリットへ刺し込んだ。銀の短剣が根元まで埋まったときに、カキッ、という何かが噛み合った音がし、さらにいくらかの仕掛けが動作する音が続く。

 間もなく座席の下からは力強い唸りが聞こえてきた。感じ慣れた幻晶騎士の心拍音、魔力転換炉が出力を上げ、駆動状態へと移ったのだ。


「これは、炉が目覚めたのか!? 先ほどは全く動かなかったというのに……いや、待て、そうかエルネスティ。つまりこの短剣は“鍵”なんだな?」

「正解です。言いましたよね? 幻晶騎士を奪われないように仕掛けを用意すると。これがその仕掛け……名付けて紋章式認証機構パターンアイデンティフィケータです」


 クスクスと小さく笑い続けるエルを相手にエドガーは両手を上げた。


「エルネスティ……本当にびっくりしたぞ。悪戯もいいがもう少し穏やかなものにしてくれ、心臓に悪い。で、どういう仕組みだこれは。まさかどんな剣を刺し込んでも動くというわけじゃないんだろう?」

「勿論、その短剣でなければこのカルダトアはピクリとも動きませんよ。それは剣の形をしていますが、内部にはとある紋章術式を“鋳込んで”あります。

 そしてこのスリットの内部にはそれと対応する紋章術式があります。正しい組み合わせでなければ炉は目覚めず、ついでに魔導演算機も動きません」


 炉から魔力の供給が行われず、さらに動作をつかさどる魔導演算機が反応しないとなれば幻晶騎士を動かすことができない。

 さらに魔法術式を使っているのが曲者だ。実際に魔法を発生させるための術式とは違ったものなのだろう、その論理構造を推測だけで解くことは極めて困難である。

 つまりは“鍵”であるこの銀の短剣を奪われない限り、このカルダトアを奪われることはなくなるということだ。


「ちなみに鍵を銀の短剣にしたのは何か意味があるのか?」

「いえ、単に僕らが銀鳳騎士団だから、それに因んだだけです。それに紋章術式を刻むのには少し面積が必要でしたので、でもただの板では味気ないですしね。少し洒落てみました」


 エドガーが銀の短剣を抜き去ったところ再び炉が休眠状態に移行し、魔導演算機も全く反応を返さなくなる。彼は唸りながらも慎重に短剣を鞘に戻した。


 紋章式認証機構、幻晶騎士の盗難を防止するこの装置は公表されるやいなや爆発的に普及し、以後全ての幻晶騎士に導入されることになる。

 その際に“銀製の短剣を用いる”形式自体も踏襲されていき、事実上の標準として受け継がれていった。

 やがて“銀の短剣”自体が騎操士の身分を表す代名詞として定着してゆくことになるが、それはしばし後の時代の話である。




 紋章式認証機構が一通りの機体に行き渡ると、次は様々な選択装備が出来上がってきた。

 ツェンドルグの開発にめどが立ち、さらに新人たちも十分に慣れてきたことで余裕ができてきたためだ。

 エルの思いつきだけでなく鍛治師や果ては騎操士が思いついたものまで様々なものを試作したために、それを装着したカルダトア部隊はなかなかに混沌とした有様になっていた。


 ライヒアラ騎操士学園にある幻晶騎士用の訓練場では、出来上がった装備をつけた機体がそれぞれに動作試験を行っている。

 その中には、エドガーとヘルヴィの操るカルダトアの姿もあった。


「エドガー、準備はいい? それじゃあ真正面からいくわよ!」


 向かい合う両機のうち、ヘルヴィが操るカルダトアが剣を振り上げる。片手の構えであるが、真正面を捉えたきれいな姿勢だ。

 対するエドガーが操るカルダトアは頷いたのみで、その場から動こうともしていなかった。

 ヘルヴィが乗るのは素のままのカルダトアだが、エドガーの機体には見慣れぬ装備が取り付けられていた。背中から両肩の周囲までを覆う追加装甲。様々な形状の装甲板を補助腕と似た機構で組み合わせてつなげた防御装備――可動式追加装甲フレキシブルコート、その試作品である。

 飾り気のない金属を組み合わせた装備だが、元々無骨なカルダトアに合ってどこか落ち着いた雰囲気を放っている。


 了解を受けてヘルヴィ機はそのままエドガー機へと斬りかかってゆく。

 勿論、訓練用の刃引きの剣を使用している上に打ち込み自体も全力ではない。ややゆっくりとした動きの、まっすぐで素直な打ち下ろし。

 あからさまに頭部を狙った攻撃に対し、操縦席に乗るエドガーはしばらく幻像投影機ホロモニターを睨みつけていたが、十分に間合いを計ると増設されたスイッチを素早く叩き、新装備を起動させていた。

 予め登録したいくつかの動作パターンに従い、可動式追加装甲が微かな動作音とともに頭部と肩の上側を護る配置へと変形、移動する。

 ヘルヴィ機の剣がいくらかの傾斜をつけて配置された装甲に当り、火花を散らしながらその表面を滑った。強化魔法が発動している可動式追加装甲はびくともせず、その防御力を見せ付ける。


「なかなかね。次はもう少し強く打ってみる?」

「待て……ああ、結構な魔力を消費している。試作だからか? それともこれは思いのほか大喰らいだったりするのか。

 防御能力自体は十分だが使い方に癖が強いな……。ああ、待たせたな。他の方向からの打ち込みも一通り試すぞ」


 強化魔法を追加することにより防御力を得ている可動式追加装甲はどうしても魔力の消費が大きくなる。そのため攻撃を長く受け止めることよりも受け流すことを重視していた。展開のパターンも傾斜をつけた形が多くなっている。

 うまく動いていることに気をよくしたヘルヴィが再び構えを取る。いかに防御用装備を使用してのことだとはいえ、幻晶騎士同士で攻撃を打ち込むのである、聞きようによっては恐ろしい意味を含む台詞だが二人ともさして気にした風はなかった。

 エドガーもヘルヴィも、互いが“上手くやる”ことを疑ってはいない。ある種の信頼関係ともいえるだろう。

 最初は試しながら進んでいた攻撃も、しばらくの後には模擬戦さながらの打ち合いとなっていたのだった。



 打ち込みと防御を続ける2機から少し離れた場所では、紅い幻晶騎士が物言わぬ標的と対峙していた。

 紅い幻晶騎士――グゥエールは見たところ何かしらの装備を追加したように見えない。カルダトアとは違い、こちらは外付け式の装備を使っているのではない。


「さて、ではゆくぞ!」


 気合一閃、ディートリヒの操縦に従いグゥエールが殴りかかるようにしてその腕を突き出す。

 おかしなことにその拳は当てるべき標的とはまったく離れた場所で振るわれていた。腕が突如伸びるようなこともなく、当然標的まで届くことはない。先ほどの気合はなんだったのだろうか、それはただ空しく響くばかりかと思われた。


 ディートリヒは意味もなくそんな行動を取ったわけではない。

 突き出された腕が最高速に達した瞬間、拳の下側、籠手の部分に設置された金属塊が勢いよく射出される。金属塊は円錐を2つ底面で張り合わせたような形状で、拳よりはやや小さいものだ。

 最初は勢いのまま飛び出したそれは、空中で自力での加速を始める。後半部分で圧縮大気を連続で炸裂させ、その反動を利用しているのだ。よく見ればその後端からはワイヤーが伸び、籠手の内部へと続いているのがわかる。

 自力で加速する打突武器、つまりワイヤーアンカーと同様の機構を持つ装備である。

 十分な速度を持った金属塊が重い音を立てて的へと突き刺さり、簡単な金属製の覆いを被せられた標的がガクガクとゆれる。それなりの重量を持った金属塊の衝撃は小さなものではなかった。


 だがこの武器の真価はここから発揮される。

 着弾を確認したディートリヒが操縦桿に増設されたトリガーを押し込む。グゥエールの腕の内部に追加された“装置”は命令を受け、本体からの魔力の供給を受けると自身に定められた術式に従い戦術級魔法オーバード・スペルを発現させた。

 金属線と銀線神経シルバーナーヴを編みこんだワイヤー、それは魔力を伝えるとともに、通常の金属としての性質を備えている。つまりは“導電性”だ。

 発生したのは電撃魔法、天の雷に匹敵する電撃がワイヤーを通じて標的へと伝わってゆく。無理矢理に膨大な電流を通された標的が発熱し、火花が散り弾けた。

 大型化したワイヤーアンカーと魔導兵装シルエットアームズを組み合わせた直接電撃兵装――“ライトニングフレイル”それがこの武装の名前だ。


「うわぁ、なんともえげつない代物だね。中々に好みだよ」


 エルネスティが提案した選択武装、その一つであるライトニングフレイルは中でも一風変わった装備だった。

 可動式追加装甲や背面武装バックウェポンのような外付けではなく内蔵型なのである。これまでに魔導兵装を内蔵した機体は存在していない。


 その理由は魔導兵装の構成にある。

 魔導兵装とはその本体たる術式を紋章術式により構成している。たいていは銀板に術式を写したものであり耐久性に欠けている。その上、戦術級魔法に対応した紋章術式は相当に嵩張るのである。

 大型でもろい部品、そんなものを機体に内蔵したのではかなりの弱点を抱え込むことになってしまう。それは格闘兵器である幻晶騎士にとって望ましいことではなかった。

 さらには電撃系の魔法は炎系に比べて複雑になる傾向があり、つまりそれは紋章術式がより大規模になるということだ。乱暴な話をすれば撃ち出せば飛んでいく炎に比べ、電撃にはそれを敵へ誘導するための術式が必要になるからだ。


 しかるにライトニングフレイルはそれを物理的な方法で解決した。ワイヤアンカーの存在だ。導電体である金属製のワイヤーを先んじて目標に打ち込むことにより電撃を誘導する。そうして術式の中から誘導に関する部分を丸々省いたのである。

 こうして魔導兵装がいくらか小型化されたとはいえ、やはりそのまま内蔵するにはいくらかの問題があった。それを何とか為しえたのは、元々防御を重視して大型の装甲を備えたグゥエールだからこそだ。例えばカルダトアではかなり大規模な換装作業が必要になり、あまり実用的ではないだろう。


「さすがに少々腕の動きが重いが……装備を隠しておけるのは魅力だね」


 ライトニングフレイル、つまりは内蔵型装備の最大の利点は外見では判別しづらい点にある。さらには魔導兵装部分を含めて強靭な腕の装甲で守っているため、手持ち式に比べれば破壊される危険が少ない。

 格闘戦の間合いで不意を突いて発動する強力な電撃兵装。実に性質の悪い装備なのである。


 ライトニングフレイルに限らず、他にも内蔵型の装備は考案されていた。それらの多くは失敗に終わるが、そこで得た反省を踏まえて最終的に彼らは装甲と巧妙に一体化した装備群を考案するに至る。

 外に追加する武装と内部に乗せる武装。かつてテレスターレが幻晶騎士の形を大きく変えたときのように、次は魔導兵装の形も変化を迎えていくのであった。





 アーキッドとアデルトルートの双子は、狭く暗い空間にいる。

 身じろぎもできないほどではないが、自由さを感じるには足りない広さ。キッドはシートの背もたれに深く身を沈めると、閉じていた目を開いた。

 彼は前方からの薄ぼんやりとした光のなかに彼の妹の背中を確認して、問いかけた。


「炉の出力は安定……魔導演算機のとっかかりもいけてる、そっちはどうだ?」


 空間は斜め前へと細長く続いている。アディがいる場所はキッドより一段低い場所、足元の前方あたりだ。


「大丈夫、問題ないわよ。教えてもらったとおり結晶筋肉の制御、イメージして、式を当てはめて、まとめて……いけるわ」


 彼女は強く握り締めていた操縦桿を放すと、身を起こして大きく息をついた。

 キッドが座っているのは一般的な幻晶騎士で使われている背もたれのあるシートだが、アディの場所は違っている。まるで馬に乗るかのようにシートは足の間にあり背もたれがない。

 唯一馬と違っている点は、前方の左右に操縦桿が設置されているために前傾姿勢をとる必要がある点だろうか。つまりそれは、地球でいうところのバイクのライディングポジションをとっているのである。


「みんな痺れを切らしてるだろうしさ、そろそろ動かしてやろうぜ」


 キッドの言葉が終わる前に、空間に低いうなりが満ちてゆく。最初は軽いものだったが徐々に大きく、一旦は空間を揺るがすほどに高まったそれは再び収まり、ある程度のところで安定した。


「よし、確認始めるぞ。えっと、なんだ。まず出力……1番炉、2番炉出力安定。出力配分はこの目盛りだから、安全圏内ってことだな」

「魔導演算機応答よーし! 結晶筋肉のテンションも大丈夫……よし、ツェンちゃん目を開けなさーい!!」


 それに応じて彼らの前方にある淡い光を放っていた壁が眩しく発光を始める。いや、眩しく感じたのは気のせいであり、彼らの目が先ほどまでの暗闇に慣らされていたためだ。

 その壁――幻像投影機には工房内部の光景が映し出されていた。不安と期待を半々にした鍛治師たち、そして何かあったときのために待機しているカルダトア部隊まで、その詳細がはっきりと見て取れる。


「うーん、やっぱし不安そうね。でーも! いっくわよー!!」

「おう、んじゃ足回りは任せたぜ」


 アディは再び操縦桿を握り締めると、鐙に加える力を徐々に強めていった。



 “ツェンドルグ”が立ち上がる。

 2基搭載した魔力転換炉が恐るべき勢いで吸排気を繰り返し、全身の装甲が擦れあい、がしゃがしゃと騒音を立て始める。

 馬が座り込む姿勢から、結晶筋肉が収縮する甲高い音を響かせて脚が動き始める。強大な打撃にも似た重量音を立て、1本、2本と大地を踏みしめた脚が巨大な筐体を持ち上げにかかった。

 その動きは力強く、周囲の不安など歯牙にもかけない。エルネスティがくみ上げた基礎制御術式もさることながら、モートルビートを動かすことにより十分に結晶筋肉の制御方法を体得していた双子は、危なげなくそれを制御しきっていた。


 ツェンドルグの機体を固定していた鎖が、じゃらじゃらと耳障りな音を立てて外れてゆく。

 外から支えられることなく、ツェンドルグはついに4本の脚でしっかりと立ち上がりきっていた。


「おお、ガキども、やりやがったぜ……」


 その様子を見ていた親方を始めとした鍛治師の間から、感嘆の声が漏れ出でる。

 製造途中の出力の問題も大きな不安であったが、さらに人馬型という異常極まりない機体を果たして本当に制御できるものかという疑念が晴れずにいたのだ。同時に複座形という前代未聞の操縦方法への不安もあった。

 今回ばかりは双子に既存の幻晶騎士に関する知識がないことが幸いしている。エルネスティという異常な存在の常識をそのまま教わった二人は、方法さえわかれば難なくそれを為して見せたのだ。



 ツェンドルグは立ち上がってからしばらくは体を細かく動かすなどして調子を見ていたようであるが、やがて十分にバランスを取ったと見てゆっくりと歩き始めた。

 通常の機体の倍ではきかない重量を持つツェンドルグである。足音の重さも相応に凄まじい。緊張した面持ちで全員が見守る中、一歩ごとに地を揺らしてツェンドルグはゆっくりと工房の出口へと向かっていった。


 その姿が、白日の下に躍り出る。

 いまだ塗装の行われていない鈍い鉄色の筐体。4本足はなんら混乱することなく歩みを進め、上半身も時折バランスをとるだけで特に不具合は見られない。

 頭部から突き出た一本角が陽光に反射し、眩く輝いていた。



 が、感動的なまでに平和だったのはそこまでだった。突如としてツェンドルグに備え付けられた拡声器から、不穏な笑い声が漏れ出でてくる。

 それを聞いた全員の脳裏に、ふと不吉な想像が過ぎった。さらにはその予想を裏付けるように、ツェンドルグは後足で地をこする、つまりは今にも駆け出しそうな動きを見せて。


「んっふっふっふ、全速前しーん!!」

「やっぱりかバッカ野郎ちょっとは試しとか馴らしとかうぉわぁぁぁぁぁ全員退避ー!!」


 そう、双子には幻晶騎士に関する常識などないのである。

 歩けるならば走っても大丈夫だろうと、彼らはいとも簡単に決断したのだ。

 鍛治師たちが慌てて離れている間に、ツェンドルグはまさに馬そのものの走りを始め、呆気にとられる団員たちを置き去りに猛烈な勢いで走り出していた。


「もう少し丁寧に確認するつもりでしたけど、なんだか大丈夫そうですね」

「何を気楽に言いやがる!! ああ畜生、あいつらもやっぱり坊主のダチってことか!! どいつもこいつも!!」

「え? それってなんだか僕のせいのように聞こえるのですが」


 天を仰ぎ罵倒しつつも、親方の表情には隠しようもないほどの笑みが浮かぶ。それはその場にいる者の大半に共通していた。


 こうして銀鳳騎士団が最新鋭機、人馬騎士ツェンドルグは歴史の表舞台へと飛び出してゆく。

 そしてツェンドルグの名とともに銀鳳騎士団の名が広く轟くのは、これから僅かな後のことになる。

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