#42 全ての結末
アーキッドとアデルトルートが、銅牙騎士団に奪われたテレスターレを撃破するときより、多少時間はさかのぼる。
最後の1機となったテレスターレの操縦席で、銅牙騎士団員は己の体の震えを止める術を知らず、喉の奥がひりつくような焦燥を覚えていた。
この場で立って動くものは彼と、敵である朱兎騎士団の機体だけである。もはやこの場に彼の味方はいない。
彼は額を流れるねばつく汗を拭い、震える手足を叱咤しながらこけおどしの気勢を張る。その努力に反するように操縦桿を通して機体へと伝わったかすかな震えが、テレスターレの手脚を僅かに泳がせていた。
互角と思われていた戦いの均衡が崩れ去ったのは、一体いつのことだったのか。
自問する間でもなく、彼はその答えをわかっている。それは戦場に“蒼い死神”が現れた、あの時に他ならない。
銅牙騎士団の長である、ケルヒルトと数名の部下が襲撃の主目的たる新型機の奪取に成功してカザドシュ砦から離脱した後も、それ以外の銅牙騎士団員達はその場に残り、戦い続けていた。
彼らと相対するのは朱兎騎士団が操るカルダトア部隊。
そのどれもが自分達の拠点を荒らしまわる襲撃者への怒りに煮えたぎり、強い殲滅の意志を持って攻めかかってくる。
それらに対して背を向けるなど自殺行為も同然だ、たちまち背中に無数の剣が突き立つことだろう。彼らに応戦以外の選択肢はなかった。
彼らと朱兎騎士団との戦いは、意外なことにほとんど互角の状態となった。
銅牙騎士団が朱兎騎士団の勢いに抗することが出来たのは、言うまでもなくこの場に残った2機の新型機のおかげだ。
操りづらいことこの上ない機体だが、その性能の高さは欠点を補ってあまりあるほどのものだった。
それもつい先ほどまでのことだった。
変化は一瞬のこと、全く前触れなく戦場に現れた蒼い死神が、凄まじい勢いで銅牙騎士団へと致命的な攻撃をくわえていったのだ。
ある機体は脚を壊され、ある機体は頭部を壊された。動きを止められ、あるいは視界を失った機体は酷くたやすく朱兎騎士団に討ち倒されてゆく。元々ギリギリの均衡の上にあった戦場である、一度傾いたバランスが元に戻ることは無かった。
この場に残るは、彼とテレスターレが1機だけだ。
彼の機体を包囲するように布陣する朱兎騎士団のうち、一際大柄な機体――騎士団長専用機・ハイマウォートに乗るモルテン・フレドホルムが奇妙にゆっくりと響く、唸りのように低い声で投げやりに告げた。
「もう諦めたらどうだ?」
それは降伏勧告とは少し毛色が異なっている。もう無駄だ、という厳然たる事実を伝えるだけの確認作業と言える。
テレスターレはその言葉には反応しなかった。団員は操縦席で震えを押さえながら、ただ“その時”に対して身構え続ける。
朱兎騎士団のカルダトアに包囲されたテレスターレ。それに乗る彼は朱兎騎士団と言う“わかりやすい”脅威に怯えているわけではない。
単にこの戦いに敗れるのならば、彼は悔やみ怒ることはしても恐れることはしない、最後まで抵抗するだけだろう。
彼が恐れるのは、抗うことすら許されない、蒼い刃。
瞬く間に彼らのカルダトアを沈め、もう1機のテレスターレすら行動不能とした死神。
いつか来るその攻撃に備え、彼は小さく震える手脚に、それでも力をこめているのだ。
そして蒼い死神こと
死角である頭上から、暗闇に湧き出すように現れたモートルビートが、
「こんばんは、賊の方。貴方が、最後の一人ですよ」
緊張と警戒の極みにいた団員は突然、
炎の照り返しでも塗りつぶせない蒼い装甲と、歪なバランスの手脚を持つ死神騎士が、逆さまに覗き込むようにして映っている。つまり、既に死神の刃は彼の喉元に添えられていると言う事だ。
もはや彼は自身が何を叫んでいるのかを理解していない。ただ視界にうつる死神を排除すべく、本能的な行動で機体の腕を振り上げていた。
人間の5倍以上の大きさを持つ巨人の鋼の拳が死神へと辿り着く前に、大写しになった死神の手のひらがホロモニターを埋め尽くす。
しかし現実に、モートルビートは眼球水晶に触れんばかりの位置へと手を伸ばしている。
幻晶甲冑の大きさは
焦点が合わないほど近づけられ、ぼやけた手のひらに魔法現象に特有の淡い輝きが起こる。顕現するは炎の魔法、
いかに幻晶騎士が強固な鎧を身に纏っているとは言え、その内部を直に攻撃されてはひとたまりもなかった。
紅蓮に渦巻く炎が一瞬、視界の全てを埋め尽くし、それを最期にホロモニターが光を失う。眼球水晶が破壊されたのだ。光源を失い、密閉された操縦席は即座に闇に包まれていった。
戦いにおいて極めて重要な要素である視界を失い、銅牙騎士団員の表情が絶望に染まる。
直後に頭部に伸ばされた機体の拳には何の手ごたえもなかった。死神は健在で、自分はもはや相手の姿が見えない。
手元も見えない闇の中で、俄かに恐慌状態に陥った彼は、とにかく纏わりつく死神を振り払うべくがむしゃらに機体を暴れさせる。
やはり手ごたえは無い。
もはや半ば以上自棄を起こし、彼は
暴れる機体をいなしながら、トドメの方法に悩んでいた
縋りつくような団員の祈りも空しく、ここに居るのはテレスターレの発案者にして誰よりもその機能・構造に詳しい者である。それを逆手に取る方法などいくらでも思いついてしまう。
エルは器用にバランスを取りながら素早く肩へ移動すると、
補助腕の“手”にあたる部分だけ破壊し、内部の
エルはモートルビートを器用に操りながら、幻晶甲冑の全高を越える長さを持つ魔導兵装を全力でぐるりと振り回した。
その切っ先が残るもう一本の魔導兵装と接するようにして、そのまま固定する。
機体の上で大惨事が用意されているなど、視界を失った銅牙騎士団員にわかろうはずもなく。
背面武装を展開した彼は、胸中の焦燥が命ずるままに、迷うことなく操縦桿のトリガーを押し込んだ。
十分な
眼前で大爆発を起こしたテレスターレはその反動で殴り飛ばされるようにぶっ飛んで行き、地面に突っ込んだ後、動きを止めた。
「たーまやー」
その肩にいたはずの死神は、愉しげな感想を漏らしながら華麗に宙返りを決め、何事も無かったかのように地面へと着地していた。
モルテンは襲撃者に奪われた最後のテレスターレが倒れてゆく様を眺めながら、多量の呆れを含んだ吐息を抑えることができないでいた。
自分達は、あの機体を相手にてこずっていたはずなのだ。それが冗談のような気安さで、無茶苦茶な方法で倒されていく。しかも見た事も無い小型の幻晶騎士モドキに、だ。
それを馬鹿馬鹿しいと思わずしてどうしようか。彼には他に適当な言葉を思い浮かべることができなかった。
そうしてギリギリでなんとか耐えていたモルテンだが、蒼い鎧の下から出てきた人物を見たときついに盛大に天を仰ぐことになる。
「……エルネスティ、だったな」
モルテンは、声に呆れを含めないために随分と気合を入れる破目になっていた。
幻晶甲冑・モートルビートの装甲を展開したエルネスティ・エチェバルリアは、恐ろしいことに、実に恐ろしいことに、炎の照り返しを受けて赤みの差す顔に、一仕事を終えた満足の表情を浮かべていた。
「はい、騎士団長殿。助勢遅くなり申し訳ありません。機体の調達に手間取ってしまいまして」
問題はそこじゃない、と喉までせり上がって来た言葉を、モルテンは精神力だけで飲み込む。
「……いや、まずは厄介な敵への助力、感謝しよう。色々と聞きたい事はあるが、それは後回しにする。
ともあれ、ここが片付いたからには逃げた輩を追わねばならんが、悔しいが間に合わぬかも知れんなぁ」
綺麗に刈りそろえた、自慢の髭を撫でさすりながらモルテンが腕を組んだ。
賊の一部が逃走してから結構な時間が経過している。既に手の届かないところまで逃げていると考えるのが自然だろう。
「それについて、騎士団長殿にお伝えしたいことがあります。
先ほどライヒアラよりやってきた学生が偶然、逃走したテレスターレと遭遇したそうです。彼らが不審に思って誰何したところ攻撃され、そのまま交戦状態に入ったとか。
そこでかなりの時間を食っているはず、賊らはまだ十分に離れていない可能性があります」
エルからは見えないが、モルテンは再び猛獣のごとく獰猛な笑みを取り戻していた。それは正しく、獲物を追い詰める狩人のものだ。
ハイマウォートが、残るカルダトアへと振り向く。
「聞いての通りだ、俺はこれより逃げた賊を追う。
だがこれだけの被害を受けた砦を放置するわけにはいかん、お前達はここに残っての防衛を命ずる」
最大で3個中隊を保持していた朱兎騎士団の戦力は、もはや2割程度しか残っていなかった。敵の撃破が自軍の戦力を減らすことになる、襲撃者の策のもっとも嫌らしい部分がこれだ。
この場に残る数少ない、しかも損傷を負ったカルダトアでは戦力的に不安が残る。ならばそれを砦の防護に回し、最大戦力であるハイマウォートが追撃に当たる。彼らにも余裕がない。
「さてエルネスティ、見ての通りこちらは人手不足でな。その妙ちきりんな鎧と共に、案内を頼もうか」
「ええ勿論、ご案内も助力もいたしますとも」
敬礼を返すカルダトアにこの場を任せ、恐るべき勢いでハイマウォートとモートルビートが街道へと走り出していった。
遠くより微かに響いていた、鋼を打ち合うような音が止んだ。
ディートリヒ・クーニッツは、心にわきあがる不安と期待が半ばで混じった感情に押されて、僅かにその端正な眉を吊り上げていた。
彼はより強く
鋼の巨人が打ち鳴らす足音に、時折歪んだ装甲が引っ掻きあう、悲鳴じみた音が混じっている。
よく見れば紅の鎧はあちこちが歪んでおり、動くたび擦れあった装甲が火花を散らす部分すらある有様だった。
森へと入る前、彼と彼が操る幻晶騎士グゥエールは襲撃者の一人が操るテレスターレによる捨て身の行動で、大きく足止めをくらっていた。
出力的にはほぼ互角の機体であるテレスターレに組み付かれたグゥエールは、それを振り払うことが出来ずに押さえ込まれてしまったのだ。
業を煮やしたディートリヒは、自らのダメージも覚悟した上で背面武装を使用して、一度は自由を得ることに成功する。その時点でテレスターレは半壊状態だったはずだが、呆れたことに敵はそれでもグゥエールへの足止めを止めなかった。
死に体でありながらなお果敢に向かってくるテレスターレの執念に、グゥエールは予想以上の手間を取られることになる。損傷自体はたいした事はないが、その時間の浪費を考えるとしてやられた格好だ。
てこずりながらも完全にテレスターレを行動不能にした後、彼は逃げたテレスターレとそれを追うアールカンバーの追跡にとりかかっていた。
アキュアールの森の所々には幻晶騎士が移動し、たまに剣を交えたと思しき荒れた跡が残っており、追跡はそう難しくはない。彼はただひたすらに道を急いでいた。
そうして走り続けていたグゥエールが、唐突に森の中にぽっかりと広がった空間へと飛び出した。
いや、よく見れば元から広がっていた空間ではない。木には斬られた跡があり、あちこちで折れ倒れている様はここで激しい戦闘があったことを示していた。
背中を這い上がる嫌な予感を振り払いながら、ディートリヒは素早く周囲へ首を巡らせる。
そこにあるのは暗い色合いの木々、斑な色合いの下草、それらを順に見回していると夜の色に満ちたホロモニターの映像の中に、森の中では場違いな純白が映りこんだ。
この場にある純白、その意味合いは一つしかない。
「エドガー! 探したぞ、テレスターレはどうなっ……」
色の持ち主に近づく、ディートリヒの言葉が尻すぼみに小さくなる。
木にもたれかかるような格好で動きを止める巨大な人影、幻晶騎士アールカンバーの姿を確認した途端、彼は思わず息を飲んでいた。
汚れ一つなかった純白の装甲は、激しい戦いにより歪み、くすんで鈍い色合いになっている。
それだけではなく、肩口から斬撃を叩き込まれたのだろう、その右腕は根元からなくなっており、周囲の胸の装甲も一部が削り取られていた。
力なく下げられた左腕には爆発や斬撃の跡が大きく残った盾がひっかかり、今もゆらゆらと揺れている。
その中でいくらかの損傷はあれど、形を残した両脚は無事と言ってもいい。それはつまり、アールカンバーが最後まで立って抵抗していたことの証左だ。
しかし、機体腹部を貫き、その身を木に縫い付けている剣が、何よりも雄弁にアールカンバーが敗北したことを物語っていた。
恐らくは相打ちに近い形になったのだろう。その腹部を刺し貫く剣には、肘の辺りから断ち斬られたテレスターレのものと思しき腕部が、握ったままの格好でぶら下がっていた。
耳を澄ませば、微動だにしない機体からはカラカラと不規則な回転音が漏れだしているのが聞こえる。
微動だにしないアールカンバーを見て、ディートリヒが焦りを隠せないまま駆け寄る。
「……ッ!? エドガー!! 返事をしろ! 無事か!?」
ディートリヒの心中を、形容しがたい感情が這いずりまわる。
幻晶騎士と
ディートリヒの絶叫に反応してか、いくらかの間を空けて、錆び付いたようなぎこちない動きでアールカンバーの首がゆっくりと動いた。
頭部を保護する面覆いは半ばまでひしゃげ、暗く開いた眼窩の奥から眼球水晶の視線が揺らめくように覗いている。
「…………う、ディー、か? すまない、テレスターレには逃げられてしまった……」
「あ、ああ、そうか。それよりも無事なのか!? 待っていろ、今砦へと運んで……」
「ディー! 俺は大丈夫だ……ディー、アールカンバーは炉を酷くやられて動けないが、即自壊するわけじゃない。
少し打ち身があるが、俺自身も大丈夫だ。それよりもまだそう時間はたっていないはずだ、お前はテレスターレを追ってくれ……!!」
束の間、ディートリヒの心中で葛藤が膨れ上がる。
明らかに重大な損傷を負ったアールカンバーを捨て置いて、このまま行ってしまっても大丈夫なのか。エドガーは無事だと言っているが、本当に無事である保証などないのだ。
騎操士学科において長く互いに競い合ってきた友の苦境が、ディートリヒにテレスターレの追撃を、いやその場を離れることを躊躇させていた。
「ディー、ここまできて逃がすわけにはいかない。頼む!」
「……わかった、任せたまえ!!」
彼を決意させたのは、やはり友の言葉だった。そこに篭もる強い意志を感じ、ディートリヒは迷いを振り払う。
アールカンバーが大破するまで戦い抜いたエドガーの意志を、無駄にすることなどできない。そして彼の友は未だ戦うことを諦めていないのだ。エドガーが諦めていないものを、ディートリヒが諦められるわけが無かった。
彼は一度、グゥエールを深く頷かせると、すぐさま振り向いて再びテレスターレを追って森の中へと分け入っていった。
遠ざかるグゥエールの足音を聞きながら、エドガーは苦しげな表情の中に無理矢理、笑みを浮かべる。
歪んだ景色を映すホロモニターは既に視界に入っておらず、彼は徐々に小さくなる足音に耳を澄ませながら、走る友の背中を幻視していた。
「頼んだぞ、ディー。俺は、もう少し、休む……」
吐息を漏らして呻き声をかみ殺したエドガーは、ゆっくりと体の力を抜く。
額に流れ落ちる紅い雫を拭う暇すらなく、彼の意識は再び闇の底へと沈んでいった。
薄暗い森の中を、風の化身と化した紅い幻晶騎士が疾駆する。
湧き上がる焦りを怒りで抑え、ディートリヒは愛機を急きたてるように前進させていた。
グゥエールの両手には既に剣が抜き放たれ、背面武装すら展開した必殺の構えをとっている。テレスターレを見つけた瞬間、怒りに赤熱した刃は嬉々として敵に引導を渡すだろう。
彼は走りながらも、森の所々に残る痕跡からテレスターレの状態が極めて悪いものであることを読み取っていた。やはりアールカンバーがテレスターレに与えたダメージは少ないものではない。グゥエールは敵に王手をかけうる位置に居る。
「この損傷なら、そう遠くまでは……! どこだっ!!」
そうして走り続けていると、戦いの中で研ぎ澄まされたディートリヒの感覚が何物かの気配を感じ取った。
森に残された痕跡が続く先、暗がりの中に蠢く影がある。
「あれは……違う、テレスターレではないのか!?」
その気配は彼が望む敵のものではない、直感はそう訴えていた。彼はその場所にもっと別の……さらには“数多くの”気配を感じ取っていた。
それらもグゥエールの接近に気付いたようで、低い唸り声を上げながら、闇の覆いの下からのそりと這い出してくる。
――魔獣、だ。
その大きさから、間違いなく決闘級(幻晶騎士1機に匹敵)以上の魔獣であった。それも群れというべき規模である。
テレスターレが逃げた痕跡は、その魔獣の群れの真っ只中へと、消え入るように続いていた。
「なんだ……なんだ、なんだこれはっ!?」
あろうことか、彼が追うべき痕跡は蠢く魔獣に踏み荒らされ、すでに判別が困難な有様となっている。限りなく王手に近づいた一手は、慮外の伏兵により一歩、届かなかった。
ディートリヒは目眩のするような怒りに、視界が赤く染まるような錯覚を覚えていた。
感情が頂点を越えた彼は気付いていない、その状況の不自然さに。
そこにいるのは多くの、それも“複数の種類”の魔獣である。“魔獣”とはただの総称であり、そこには実に多くの種類がある。本来、それらが集まって行動することなどほとんど考えられない。何故ならそれらには縄張りや巣と言ったものがあるからだ。
彼の道をふさいだのは、極め付きの“異常事態”なのである。
数匹の魔獣が、身を低くしてグゥエールを威嚇する。
それらはただ集まっているだけではなく、どれもが異様に興奮し、牙を剥き出しにして互いを威嚇している個体もいる。
そこに、怒りに染まった気配を放つ巨人が近づけばどうなるか。獣は周囲の気配には敏感だ。本能のままそれに反応した魔獣は、怒りと混乱に束の間立ち尽くした巨人を敵と見定め、狂ったように走り出していた。
ディートリヒは、致命的な隙を見せた自身の失敗を奥歯でかみ殺しながら、向かってきた魔獣へと構えを取った。
一瞬沸騰し頭の中を駆け巡った血は、今は少しばかり落ち着いている。彼の中に残った状況を把握するだけの冷静さが、滑らかに怒りを攻撃行動へと転化していった。
既に完璧な戦闘態勢を取っていたグゥエールは、十全にその戦闘能力を見せ付けていた。
力に満ちた斬撃が、踊りかかってきた炎舞虎の首を刈り取り絶命せしめ、少し遅れてやってきたもう1匹は
魔獣に止めを刺しながら、彼はある事実へとたどりつき、顔をくしゃくしゃに歪めていた。
ただでさえ逃げるテレスターレを追いかけているこの状況で、この多数の魔獣を相手にするだけの余裕はない。その上頼みの綱である痕跡は、すでに踏み荒らされ薄れてしまっている。仮に群れを無理矢理突破しても、その先で追いつける可能性は低いだろう。
ではこの群れを迂回して進めばどうか。数が多い分、魔獣は広い範囲をうろついている。これに見つからないためには一体どれほどの回り道を強いられるか、想像するのも馬鹿馬鹿しいほどだ。
さらには魔獣との戦闘は避けられたとしても、そこに追跡の手がかりは無いのである。この広大な森を当てもなく彷徨って、都合よく目的のものに出会えると思うほど、彼は楽天家ではなかった。
――逃げられたのか。
ディートリヒの心中を、酷く冷めた認識が過ぎる。同時に彼は、胸のうちをささくれ立った何物かが這い回るような感覚を味わっていた。
この場面で、よりにもよって魔獣の群れに邪魔されるという“偶然”を、彼は心の底から呪った。
いくら頭に血の上ったディートリヒと言えども、いきなり魔獣の群れに突っ込むような真似はしなかったが、状況は勝手に前へと進み始めていた。
彼が立ち尽くしている間に、先ほど倒した魔獣から流れ出た血の匂いが周囲へと広がってゆく。他の魔獣たちにも届いた匂いは、それらを更なる興奮状態へと誘っていた。
それらは血の匂いを辿り、動く。結果としてその先にいるのは紅の騎士だ。
森の奥から次々に現れはじめた魔獣の姿に、ディートリヒは呪詛に満ちた呻き声を上げた。
彼は悔しさに歯噛みしながらもグゥエールを後退させるが、それは遅きに失した行動だった。もはや選択肢は失われている。
鎧熊が、炎舞虎がグゥエールに迫り来る。
逃げ切れない。どこかで戦わねばならないが数が多い、一度に襲われてはいかな新型グゥエールとて危険である。彼は後退を続けながら、慎重に迎撃のタイミングを計っていた。
グゥエールよりも四足で走る魔獣のほうが動きが素早く、ついにはその間合いへと捕らえられる。背後から襲い掛かられそうになったところでグゥエールは脚を止め、そのまま竜巻のように回転しながら斬撃を繰り出した。
新型機の特徴たる溢れるほどのパワーが、斬撃の一つ一つを致命的な威力へと昇華する。跳ね飛ばされるように空中で打ち落とされた炎舞虎を一顧だにせず、グゥエールはそのまま
衝撃の中でもつれ合い、魔獣が混乱しだしたのを見たグゥエールは、再び後退へと転じ余裕を稼ごうとしていた。
しかし突如として強烈な力で腕を引っ張られ、その行動を中止させられる。見れば、横合いから近づいていた鈍竜がその左腕に噛み付いていた。パワーだけならば並みの幻晶騎士では打ち勝てない、
痛恨の失態。その間にも、立ち直った魔獣が迫ってくる。
ディートリヒは昔に戻ったように気難しげな唸り声を上げた。接近されるまでに何匹を魔導兵装で倒せるか、彼は悩む。ついた吐息は、諦めよりも戦意が勝っていた。
その時、何かが高速で飛翔する唸りが、連続してグゥエールの頭上を通り過ぎた。
狙いよりも、数こそが力なのだと言わんばかりに続々と飛来する槍のような大型の
数匹の魔獣が悶絶しながら倒れてゆくのを見たディートリヒは、その隙に左腕に噛み付く鈍竜の首を斬り飛ばしていた。
危ないところで自由を取り戻したグゥエールは、僅かな余裕の間に木の上にいる大柄な鎧を発見する。
そこにいるのは2機の幻晶甲冑。彼の記憶では、それをまともに操ることができるのは3人しかおらず、彼と共に来たのはそのうち2人だ。
「ディーさん! 援護すっから一旦下がって!!」
「どうしてこんなに魔獣がいるのよ! あーもう邪魔!」
その2人、キッドとアディの双子は、集り来る魔獣の多さにうんざりした様子を隠しもせず、構えた携行型攻城弩砲から盛大に槍矢をばら撒いていた。
“
「あー、ディーさん、ごめん。今ので“売り切れ”だ。この間に逃げてくれ」
「……十分だ、助かったよ。君らこそ先に下がりたまえ」
ここに至るまでに、テレスターレとの戦いで大盤振る舞いを見せていた彼らの物資は残り少なく、最後の活躍を見せて底を突いていた。
ディートリヒはゆっくりと、大きく深呼吸する。後輩からの援護は、彼の度を越えて熱くなった気持ちを今度こそ冷却し、状況を俯瞰するだけの冷静さを呼び戻していた。
グゥエールが油断なく後退を再開する。それは、キッドからはさほど急いでいるようには見えなかった。
「もっと急がないと、追いつかれるぜ!」
「ああ、そうなのだけどね。困った事に、この先でエドガーが倒れていることを思い出してね。戻りすぎると彼を巻き込んでしまう。
どうやら、その手前でこれを倒さないといけないようだね」
「エドガーさんが!? ちょっと、そんなの駄目よ! 私たちも手伝うわ!!」
意気込むが、彼らに残された武器はツーハンデッドソードだけだ。キッド機に至っては、ワイヤーアンカーすら壊れている。どちらにせよ、数多ひしめく魔獣の群れを相手にしては、彼らがいても焼け石に水だろう。
「矢は切れたのだろう? 君たちのおかげで魔獣はかなりバラけている。私だけでもなんとか、するさ」
だからこそディートリヒは落ち着いて答えていた。そこには焦りも無ければ、激情的な感情も伺えない。
なかなか、簡単に逃げてしまうわけにはいかないらしい。どの道この魔獣どもは賊の追跡を阻んだ憎き障害物である。戦うしかなくなり、悩む必要がなくなったと言うものだ。彼は、いっそさばさばとした心境でいたのだった。
「だから君達はエドガーをつれて、下がってくれ。なに、ここは任せ……」
「では、代わりにここは僕がお供いたしましょう」
苦しげな表情の双子が口を開く前に、全く予想外の方向から返答が返って来た。直後に、彼らの頭上を飛び越えるようにして答えを返した本体が現れる。
襲い来る魔獣の群れの真正面に、躊躇無く立ちふさがった蒼い影。見覚えのある姿、その正体に気付いた瞬間、ディートリヒの脳裏から湿気った感傷が一気に吹き飛んだ。
彼は口元がひきつるのを止められない。上空では、キッドとアディが二人で手を叩いて歓喜の声を上げている。
背後より飛来した者――蒼い幻晶甲冑・モートルビートに乗ったエルネスティは、地響きを上げて迫り来る魔獣の群れを見て、不敵な笑みを浮かべていた。
「ついでに説明もお願いできますか? 逃げた獲も……エホン、テレスターレはどこに行ってこの獲も……ゲフン、魔獣の群れは一体なんですか?」
現れた瞬間からやる気に満ち溢れすぎたその姿に、ディートリヒの視界にかつての記憶が重なる。この少年は、誰もが絶望を抱く巨大な魔獣にすら嬉々として突撃したのだ。きっとこの場でも好き放題に暴れるのだろうし、この程度の魔獣では止められまい。
いつに間にか、彼は苦笑を浮かべていた。
「テレスターレを追っていたら、この群れに遭遇した。足跡はこの先に続いているが……もう踏み荒らされて判別出来ないね。
魔獣がなぜいるのかは知らないよ。テレスターレの足跡を踏み消した、ムカツクやつらだ。ちなみに後ろにエドガーが倒れているから、ここで食い止めたいところだね」
「なるほど。つまりまずはこれらに八つ当たりすればいいのですね?」
「ああうん、ひとまずそれでいいかな。
「承知いたしました」
迫り来る魔獣の重圧を物ともせず、モートルビートが迷い無く駆け出してゆく。進む先は群れの真っ只中。
幻晶甲冑に比べて、決闘級魔獣の大きさはいかにも巨大だ。それが群れた様は、さながら津波のようである。比べるべくも無いほど小さな蒼い鎧は、なすすべもなくそれに飲み込まれるかに見えた。
足音に炸裂音が重なり、モートルビートが急加速する。弾丸のごとき勢いを持ったそれは、魔獣同士の間隙へと滑り込むように突入してゆく。勿論ただ突入するだけではない、すれ違いざまに魔法の光が煌き、発生した炎弾が魔獣の顔面を狙い撃ちにしてゆく。鼻っ面を焼かれた魔獣が身悶えしながら暴れまわり、群れは瞬くほどの間に混乱の坩堝に叩き込まれていた。
余裕が無いのをわかっていながら、ディートリヒは手を額に当てて、天を仰ぎたい気分だった。やると思っていた、そのとおりに酷い有様だ。
その中で、彼はある事実に気がついていた。確かにモートルビートは縦横無尽に群れを引っ掻き回している。しかし裏を返せば引っ掻き回すので精々、決闘級ほどの規模の魔獣を倒しうるだけの攻撃力は持っていないのだ。
背面武装をたたき起こし、グゥエールが2本の剣を構える。ならばここで止めを刺すのは、彼の役目だ。この機会を逃すわけにはいかない。
混乱を抜け出た数匹の魔獣が、紅の騎士めがけて走る。それを迎え撃たんとした彼の横を、轟風が突き抜けた。
「ぬぅぅぅぅぅえいりゃ!!!!!!」
爆音じみた音を引き連れて振るわれた金属の塊が、猛獣の咆哮のような叫びと共に魔獣に叩き込まれる。
単にパワーだけではない、質量と勢いを重ねた必殺の一撃が、突っ込んできた魔獣をトマトを叩いたかのように潰しながら、元居た場所に送り返した。
唖然とするディートリヒを尻目に、豪快な風斬り音を伴ないながら、今しも魔獣を吹き飛ばしたハイマウォートが再びハンマーを構える。
直後にやってきた後続の魔獣は、同様の手順を経て仲良く挽き肉と化した。
「ふうむ、新型機を操るのは学生と聞いていたが、これだけの魔獣を前に一歩も退かんとはな!
その意気や見事なり。微力ながら加勢しよう!」
そう、世間話のような気軽さで話しながらも、ハイマウォートが操るハンマーが順調に魔獣を挽き肉に変えてゆく。
新型機ではないものの、ハイマウォートの堅固な装甲は乱戦じみたこの状況において非常に有効なものだ。重装ゆえの、新型機にも迫るパワーが魔獣を蹴散らす。
強力な助っ人の登場を横目に、グゥエールも呆けていたわけではない。ハイマウォートの暴風圏を盾として利用しながら、遊撃的な動きで魔獣を屠ってゆく。
この時の魔獣の群れは数十匹を数え、ダリエ村を襲った災害を上回る規模にのぼった。
それを意にも介せず、エルとキッド、アディが操る幻晶甲冑が縦横に撹乱し、分断した小集団をハイマウォートとグゥエールが倒してゆく。
彼らの勢いを止めることは誰にも出来なかったが、さすがにこれだけの数を屠るには相当な時間を要した。
この戦いが終わる頃には、東の空がうっすらと白み始めていたのだった。
モートルビートの装甲を開き、エルは周囲を見回す。戦場となった森の中は、凄惨たる有様だった。
木々は折れ倒れ、地面は荒れ、そこかしこに巨大な獣の死骸がある。数多の獣を倒したハイマウォートも、グゥエールも、全身の装甲から装備に至るまで、限界近い消耗を強いられていた。
「……砦に、戻りましょう」
エルは、その状態ですらいまだ戦闘状態を解かないグゥエールに向かって、静かに終わりを告げる。
「……やはり、無理なのか」
「追いかけるにも、時間を食いすぎました。それにこの惨状、賊が逃げた方向など到底わかりません。
僕たちの疲労もかなりのものですし、今から追いかけて見つけるのは至難の業でしょう」
「悔しいが、では他のところに助けを呼んで……」
どこか縋るようなディートリヒの言葉にも、エルは首を振る。
「カザドシュ自体の被害も甚大ですし、即座に十分な手配が出来るかどうか。
しかもこれだけの手を重ねた賊が、ただ逃げるだけとは思えません。なんらかの偽装工作を施されるとなると、もはや手に負えない。
手配は頼んでみますが、確実とは……」
その言葉に、ディートリヒは強張った手を操縦桿から引き剥がすと、静かにそれを傾けた。
悲しげな調べを奏でながら、グゥエールの背面武装が格納されてゆく。紅の騎士は両手に持つ剣も仕舞い、ゆっくりとした足取りで砦に向かって歩き始めた。
騒乱と激動の一夜を越え、夜明けが訪れる。
射し込む光が森から闇を吹き払い、それに伴ってアキュアールの森の各所には、残された破壊の跡が露となっていた。
事件に関わったものは例外なく疲れ果て、残ったのは壊滅状態の砦と、多大なる犠牲だけだ。
カザドシュ砦では僅かに残った数機のカルダトアが、疲弊の極みにある体に鞭打って作業を行っている。
一時は炎に包まれたカザドシュ砦は、砦自体は石造りであったことも幸いし、内部まで炎が届くことは無くある程度の機能が残されていた。
だが戦力は壊滅だ。人、幻晶騎士、そのどちらもが限界まで損耗している。
クヌート・ディクスゴード公爵は、上級作戦会議室で椅子に腰掛け、老いてもなお鋭さを失わない表情に皺を増やしていた。
夜を越える事件のために、彼を含めカザドシュ砦にいるものの大半は一睡もしていない。
そろそろ壮年を越え老境に差し掛かりかけている彼にとって、夜を徹しての作業は些か以上に負担が大きいはずだが、その様子、声にも全く弱弱しいところは感じられなかった。
「砦自体の被害は、城門も含め2割程度。人的被害もかなりのところだが、幻晶騎士が全滅寸前と言うのが一番の問題だな」
部下の報告をまとめ、砦の被害状況を確認していたクヌートは溜息を抑えることが出来ない様子だ。
たった一晩で、砦は事実上壊滅状態へと追い込まれていた。
「(……“賊”か。どこの手のものかは知らんが、忌々しい限り……。しかし油断があったのは我らのほうか)」
クヌートが知る限り、フレメヴィーラ王国において幻晶騎士を投入しての砦攻めなど、ここ百年以上はなかったことだ。
それはなんの益も無いからと言う以外に、オービニエ山地という地理的条件が盾となり、他国からの干渉がほとんどなかったと言うのも大きい。
政治的な意味では国内は安定しており、騒乱の気配など全くない。そのため、近年はどの領地もひたすらに魔獣の対策に力を割いてきたのである。
今回の事件ではその経験の薄さが油断となり、仇となった。人の知恵は時に魔獣よりも恐ろしい。得た教訓に対して、支払った代価もまた、大きなものとなってしまったのだ。
ノックと共に、モルテンが部屋へと入ってくる。そのまま無言で簡単に敬礼すると、彼は前置き抜きに話し始めた。
「略式で失礼します、閣下。新型機についてですが……奪われたうち4機までは奪還、もしくは破壊しましたが、1機が我々の追撃を振り切って姿を消しました」
「……逃がしてしまったか」
「追撃には、諸事情から合流したライヒアラの学生も参加していましたが……しかし途中、奇妙な点が」
「なんだ?」
「魔獣です。逃げ切った1機、その逃走路上に複数の魔獣が現れ、おかげで追跡を断念せざるを得なくなりました」
クヌートの表情に、一本ことさらに深い皺が増える。
魔獣がいること自体は不思議ではない。だがそんなに都合よく障害物になるだろうか。魔獣とは気まぐれさはあれど、彼らなりのルールに従って活動している。クヌートには、早々都合よくいくとは到底思えなかった。
「何かおかしい、私も同意見ですな。それで、詳しく調査をさせたんですがね……」
豪胆で知られるモルテンの顔に、酷く苦いものが混じる。
それは嫌悪、憤怒、侮蔑を混ぜた、どろりとした感情のうねりだ。彼は吐き捨てるような口調で、それを口に乗せた。
「魔獣が現れた場所に……“
その瞬間、それまでは静かに報告の内容を吟味していたクヌートの瞳が、驚愕と怒りに見開かれた。
“呪餌”――それは、魔獣を呼び寄せる事を目的として、特別な薬剤を調合した餌のことである。
原理としては魔獣が好む特定の臭いを放つもので、それを使えばたちまち周囲の魔獣がおびき寄せられ、その場は魔獣でひしめくことになるという代物だ。
ただし、同時におびき寄せられた魔獣が興奮状態に陥り、凶暴性を増す事も確認されている。
激昂したクヌートが椅子を蹴立てて立ち上がる。
「馬鹿な……呪餌だと!? まさか、たかが“逃げるためだけに”そんなものを使ったと言うのか!? 正気か、痴れ者め!! だとしたら……いや、やはり……」
そんなものを、ことフレメヴィーラ王国で使えばどうなるか。結果は知っての通りである。
局所的に重大な魔獣災害を起こしうるそれは、フレメヴィーラ王国では最大級の禁忌として知られていた。
当然製法は厳重に秘匿され、国内においては製造、所持はおろか少しでも取り扱えば極刑ものの刑罰が科せられる。
法律上の問題以上に、倫理的、感情的な面でも許容されるものではない。
魔獣が多く、国民の一人々々に至るまで日夜それと戦うこの国で、わざわざ魔獣を呼び寄せるような真似をする。それがどれほどおぞましく許しがたいことか、説明する要は無いだろう。
その事実が自ずと、賊の素性を示していた。
「恐らくは、他国の手の者ではないか、と……」
モルテンの言葉に、別の推測を重ねてクヌートが頷く。
呪餌の一件を別にしても、国内に今回の事件を起こすだけの動機をもつ人間は思い当たらない。前々から、彼はその可能性を薄く考慮していたが、この事実が最後の駄目押しとなった。
彼はしばし黙考する。この事件は、あまりにも様々な要素が絡みすぎている。一度状況を整理し、絡まった糸を解きほぐす必要があった。
「……モルテンは引き続き、可能な限り情報を集めよ。砦の復旧については、ある程度後回しでよい。
私は陛下へとお会いせねばならぬ……カンカネンへ急ぐ! 馬車を回せ!」
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