第5話 体調
「おぉ、結構動かせるようになったかも!」
先日教えてもらったリハビリのおかげか、1週間ほどでギプスも外れ陽太の腕は回復傾向にあるようだ。
「良かったね、陽ちゃん。…ゴホッゴホッ」
「月ちゃん大丈夫?」
喜ぶ彼をみて月夜は嬉しそうに微笑んだ。
しかし体調がよくないのか咳き込んでしまう。
彼女の様子をみた陽太は心配そうに声をかける。
「…うん、よくあることだから。…ゴホッゴホッ、少し休むね。」
「分かった。」
月夜はそういうとゆっくりと横になった。
顔色もあまり良くないようだ。
そして陽太も彼女の体調を気遣ったように、同じく横になる。
しばらく静かにしていたが、どうしても月夜の容態が気になるのか落ち着かない様子で横を見つめる陽太。
そこへ巡回にきた看護師さんが訪ねてきた。
「二人とも調子はどう?」
「俺は大丈夫です。けど月ちゃん、具合がよくないみたいで…」
看護師がくると陽太はゆっくりと起き上がり、心配そうに話した。
彼の言葉に彼女も月夜の近くに行き、容態を確認する。
「あまり顔色が良くないわね。」
「ん…」
看護師が確認をしていると、触れられたことに気づいたのか月夜が目を覚ました。
「ごめんね、月ちゃん。起こしてしまって」
「いえ。少し良くなったので。」
「そう?無理しないでいいのよ、咳止めの薬ここに置いておくからね。」
起き上がった彼女を見て看護師は心配そうに話すと、安静にさせる為もう一度寝かせた。
それから薬を近くの机に置き次の病室へと向かって行ったようだ。
陽太はそんな様子を見ていて、月夜に聞いた最初の話を思い出す。
今まで普通に話をしていたが、ほとんど学校に行けていないというのは外見では分からない重い病気があるからだと彼は考えたのだ。
その為自身も迷惑にならないようにと、そっと布団の中に潜り込んだのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます