閻魔大王様の依頼

あそう海

第1話 普通の日と別れ

朝5時起床、両親と祖父母は爆睡中だ

台所へ朝食の丼のTKGを胃袋に収める。

愛車の125ccをセルモーターで起動させ、5分の暖気を済ませて農学校に向かう。

県境を越えて1時間は長い気もするが育成科の作業が頭の中で回り始めた。


牛豚鶏を育成して市場に出さず、近隣生活者に提供することでトラブル対策とした。

四季折々の新鮮野菜とA4の牛肉や安全な鶏卵を格安で提供される、口を塞げば何も言わない。

農業は、臭いと農薬と肥料との戦争で1年が終る。

兎に角、農学校の周囲500m以内に住む人々の胃袋を掴み、春野菜、夏の果物、秋の米と野菜、冬の肉と七草粥まで不平を言わない大人対応と甘々な関係を保つことが出来ていた。

猪が出るまでは大きな問題が無かった。

昨年秋、猪の足跡と糞が見つけ農学校の罠に捕らえられた。

幾何学模様や縦横上下の簡単な障害に猪は対応できずに罠に嵌まる。

動物愛護法の対象なのか中身は分からないが県の教育委員会と保健所に市役所からお伺いをした結果、餌を与えていれば動物愛護法に該当するので◯せない、罠から出しても動物愛護法、駆除申請が出ていたので殺処分は可能だがプラズマ系の寄生虫で生食は❌となりました。

豚や鶏は入巣や入厩した段階でワクチン接種で問題ない。

後は育成期間の消化で肉とか卵となり食卓に並ぶ。

猪は野生でもプラズマ系の虫を体内に抱えて居るため味噌漬け何ヵ月とかカツにして300℃に近い温度を要求される。

守らずプラズマ系虫が胃袋や小腸で暴れた場合、飲食店は最悪免許取り消しまで処分されるのが実態なのだが園芸科の教員と生徒がやらかした、肝臓の一部を切り取り生食を行い事故を起こし学校自体が廃校にされた。


1年生は近隣の農業高校にお願いして転校生となり2年生は先に卒業した3年生より成績が良かった生徒を卒業させ、事故を起こした2年生を放校させる訳にも行かず転校生として北日本にある系列某農学校に押し付けた。


俺は育成科の学業優秀者として卒業したが勤め先が見つからず2カ月間アルバイトに明け暮れ、資金が出来たので日本一周の旅に出ると家族に話すと親父が

『俺の玩具(おもちゃ)で行け❗』と

大型自動二輪は嬉しかったのだが爺ちゃんのV4の250を希望したらアッサリ鍵を投げてくれた。

加速より最高速を選択それでも燃費は変わらない不思議な250ccを手に入れニタニタする。

「爺ちゃんありがとうね。」

『お前の125の鍵を置いていけよ。』

俺も爺ちゃんの前に静かに鍵を置いた

お袋が

『何かあったら電話を頂戴ね。』

「うん、わかった今からでかけるね。」

両親と祖父母は炬燵から出ないで言う

『お遍路さんが先だぞ』の声を貰う


四国八十八ヶ所を周り終わったときスマホがうなる出て見たら!

出るとお袋が泣きながら

『爺ちゃん長く無いんって!』

「今から戻る。」

30分の距離だったが間に合わなかった


7日詰めを終え、今度は祖母の容態が怪しい、両親と相談出発を一月遅らせたのは正解で爺ちゃんの祥月命日に旅立つ

膵臓ガンの発見が遅れ痛いと言わずに亡なる気丈な祖母は最後まで俺になぜか謝り続けた

涙が止まらず出発も遅れに遅れた日本一周を諦めようか悩むなか親父が

『一度口にしたのだから行ってこい!』

の一言で再スタート!


広島を西に向かい九州に入る大分で農学校の先生と再会して鶏舎を見学、教えのままにブロイラーを生産していた

ワクチンだけで薬品投入せず丈夫に育てでいるのには驚いた。

オープン施設でインフルエンザは大丈夫なのか?

インフルエンザが来たら諦めるさと笑われたギャンブルとして楽しんでいた。

渡り鳥を寄せない為の方策は勉強になる


鹿児島からフェリーで奄美大島→沖縄→鹿児島に戻り熊本→長崎→佐賀→福岡→本州に入り山口→島根→鳥取→兵庫→京都→福井

→石川→富山→長野→新潟→山形→秋田

→青森→北海道→青森→岩手→宮城→福島

→茨城→栃木→群馬→埼玉→茨城→千葉

→東京→神奈川→山梨→静岡→愛知→岐阜

→滋賀→三重→奈良→和歌山→大阪→兵庫

→岡山→愛媛に戻った

因みに北海道は函館に一時間少々立ち寄り

通過しただけ、後は高速道路を走り回る。

予定半年が1ヶ月の暴走族に近い一周だった

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