ルガーデ殲滅戦④

【勇者視点】

 峡谷が崩れ行く中、大穴へ一人の男が向かっていった。


 何をする気だ?

 この敵の数、僕以外に処理できる奴などいないと思うけどな。

 自殺行為だよ。



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【ゲルハルト少佐視点】



 俺は何もできなかった。

 地下への潜入のときも、俺は怯えて地上に残っていた。


 ーそれでも、まだやれることがある。


 弱気なフリッツは食われながらも敵を道連れにした。

 陽気なフランクは勇者を庇って死んだ。

 なら、臆病者の俺は......


 目の前に写るのは大量の蛇。


 だが、決して怯むわけにはいかない。


「ボディ...... ファイア......」


 そっと呟き、全身を炎で覆う。


 その一歩は勇ましく。


 迫りくる蛇を退けていた。


「ファイア......ランニング......」


 燃え盛る勢いのまま大穴へ突っ走る。


 そして、大穴の真上へと到着した。


 大量の蛇が炎の壁を突破して噛みつく。

 しかし、鍛え抜かれた筋肉にはなかなか歯が通らない。


「ファイア......ボム!」


 大穴から這い出る蛇を吹き飛ばす。


 そして、空いた大穴の内部へと侵入した。


「ファイア......タッチ!」


 大穴の壁を蹴って下に加速する。


 だが、内部にも蛇は大量に存在する。

 それらは容赦なく攻撃した。


 蛇は腕を貫き、足に噛みつく。

 そして最深部にいる本体、巨大な蛇は口から闇魔法の波動を出そうとしていた。



(やっぱり、死ぬのは怖いな。だって、自我も感覚も、全てこの世界から消え失せるということだから。でも、それでも)


 思い出していたのは、この前のこと。


「そういえば、ゲルハルトの技の名前ってなんかダサくなかった?」


「じゃあ、なんかカッコいいの考えようぜ!」


 ったく、別にダサくはねぇだろ。


「え、えーっと、じゃあまずは、『カオス』とかよくない?」


 と、フリッツが言った。




 身体に纏わりつく蛇を振り払う。


「カオス..................」



「いや、ダサいかはともかく、炎なんだしファイアは外せないだろ」


 と、俺が言った。




 再び壁を蹴って、最後の加速をする。


「ファイア..................」




「よし、じゃあ最後はこれにしよう!」


 と、フランクが最後の一単語を口にした。




 やっぱり死ぬのは怖い。でも、折角なら最期まで見栄を張ってやる。



「イン、フェルノォォォォォォ!」


 闇魔法が発動されるのと同時に、最後の魔法は炸裂した。



 ー少しの間だったけど、楽しかったよ。


 そして、大穴の最深部にて、四天王と共にゲルハルトは爆発した。


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【勇者視点】


 地獄の業火とはまあ、大きく出たな。

 あーあ、せっかく全て潰せそうだったんだけどな。


 まあいいさ。今回はこれで終わりだ。





「勝った......のか」


 辺りは静かに、勝利の喜びを嚙み締めた。


 人類の勝利は、それでも四天王の消滅から一目瞭然だろう。





 さてと、帰るか。







 There were many sacrifices from this war.........

 But the fight continues............

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