第3話(玲奈視点)

 行為を終えた後、ぐたぁと梓くんは疲れ果てて眠ってしまった。


 ふふっ、可愛いっ!

 やっぱり、梓くんなんだよね。


 もしかしたら、私、梓くんのことが好きなのかもしれない。

 そう思ったのはつい最近のことだ。

 話も合うし、私にピッタリだと思う。

 いや、きっと梓くんは私以外の女の子とは結ばれない。

 もし仮に、結ばれようとするなら、私はすぐにそな子を……殺してしまいそうだ。


 ああ、梓くんがいなくなったら、ストレスで私生きていけるかなぁ。



 次の日──。


 今日もまた、私の席の周りには人が集まっている。

 理由は簡単だ、私がスクールカーストトップに立っているから。


 全く、迷惑……可愛いからってなんでスクールカーストトップに立たなきゃならないの?

 私はそういうのには興味がないのに。


 彼、彼女たちは私といることでスクールカーストをあげたいらしい。

 全く意味がわからない、なんでそこまでしてスクールカーストを上げたいのか。

 普通じゃなダメなのか、人はみんな特別になりたい。

 それはもしかしたら私もかもしれない。

 私もいつか梓くんの特別になりたいから。


 邪魔だな……どっか行ってくれないかな。


「ねえねえ、玲ちゃん!」と一人の女子が私に声をかけてきた。


 ……誰だっけかな。


 正直、このクラスでは梓くん以外興味がない。

 

「ん、なになに〜?」


 はあ……本当の私をみんなに見せたい。

 セックスが大好きで、みんなが大嫌いな私を見せてあげたい。

 そうしたら、きっと私の周りから梓くん以外はいなくなるはずだ。


「いや〜ちょっと、ぼーっとしてたからさ〜」


 はあ……ほんと、めんどくさっ。


 私は作り笑いで。


「ごめ〜ん、で、今はなに話してるの〜」

「えーっとね、今は──」


 本当、可愛いがためにこんなめんどくさいことをしないといけないのかぁ、本当に私から梓くんがいなくなったら死にそうで怖い。



 放課後──。


 今日もまたつまらない学校生活だった。


「今日の帰り、どっか行くか?」


 と、帰り道の途中梓くんが言う。


 もちろん、今からは梓くんの家でする予定だ。

 気づけば中毒になっていた。

 毎日しなければストレスで死にそうだ。

 性欲、もしかしたら私は人一倍それが強いだけなのかもしれない。

 いや、きっとこれも全部あいつらのせいだ。


「ん〜、ゴムもあるし……特に〜」

「はあ……お前な、それしか考えてないのか」


 だって、仕方ないじゃん。

 唯一ヤってる時だけみんなを忘れられるんだから。


「ごめん、ごめん。ドーナツ屋さんとか……」

「いや、それは無理だ」

「え〜なんで〜!」

「あそこ、学生の溜まり場だ。もしかしたら、うちの学校の同学年がいて俺と玲奈を見たら多分、俺の学校生活終わり」


 本当、あいつらのせいでこうなるんだ。

 ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく。


「ごめ〜ん、私が可愛いがために……」

「いや、俺こそ自分のことを一に考えちまってごめんな」


 ううん、そんなことないよ。

 全部、あいつらが悪いだけだから。


「そういえばさ、今日なんか体調でも悪いのか?」

「え、なんで?」

「いつもよりテンション低かったからさ」

「ううん、あれはストレスかな?」

「なるほどな、あれは確かにムカつくよな」

「うんうん! 私、静かにいたいのにあいつらのせいでさ〜」


 なんで、可愛いからって私はこんな目に遭わなきゃならないのか。

 意味がわからない。


「あんま、無理すんなの。本当に人って群れで生きるのが好きだよな」

「ほんと、それ! こっちは少人数でいたいのに……二人とかっ」

「俺もだよ、学校での俺の立場譲ってやりたいよ」

「ぼっち?」

「うるせえ」

「ははっ、怒った! いいなぁ〜私も学校で一人でいたいなぁ〜」


 きっと、一人になれたらもっと自由になるんだろう。

 いつかそれを味わってみたい。


「本当、玲奈は可哀想な女の子だよ」


 そうだよね、私って可哀想だよね。

 生まれてこの方、この外見のせいで私は一人になれないのだ。

 神様がそういう呪いをかけたから。

 普通が一番いいのに。

 でも、梓くん。

 あなたがいてくれるから、私はこうやって病むこともなくて生きていられるんだよ。


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