幸福

鬼屋敷

『家』

「ねぇ、アルフレッド。幸せって何だと思う?」


 雨の音がうるさい。風の音も。それはきっと、窓ガラスを叩いてるような音がさっきから止まないからだ。それでも僕は気にせず、紅茶を飲む。何故なら、今は十五時。ティータイムだからだ。


 一方、平常心な僕とは違い、アルフレッドはさっきから縮こまっている。アルフレッドは雨と暴風、そして雷が怖いのだ。今はまだ雷は鳴ってないが、この天気だと遅かれ早かれ鳴り始めるだろう。


 が、これはいつもの事なので僕は放っておいた。だって、この家にいれば安全なのだから! ……でも一応、アルフレッドの傍に寄っておいた。


 途端、アルフレッドが僕に擦り寄ってくる。体は震え、顔を隠して何も見ないようにしていた。その体を僕は優しくさする。


「大丈夫だよ、アルフレッド。この家が僕達を守ってくれるから。雨に打たれても、風に吹かれても、雷が落ちても平気な家に住んでる僕達は幸せ者だね」


 遠くの方で、微かに雷が鳴った気がした。

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