3月3日 「金魚柄の流し雛」
その昔、まだ紙で作った雛人形を流す「流し雛」が一般的だった時代。1人の優しい女の子がいました。3月。女の子のお母さんは、娘の健やかな成長を祈って心を込めて紙雛を作りました。
「それなあに? 」
女の子はお母さんに尋ねました。
「これはね、あなたの身代わりなんだよ。このお雛様を川に流すことで、あなたについた悪いものを全部持っていってくれるの」
お母さんが説明してくれました。
「こんなに可愛いのに……身代わりなんてかわいそう。流れていったら、このお雛様たちはどこへ行くの? 」
「そうだね……やがて海にたどり着いて、海の底に行っちゃうのかしら」
「お雛様、溺れちゃうの?やだよそんなの」
女の子はお雛様がかわいそうでかわいそうで仕方ありませんでした。
「あなたは優しいね。でもね、お雛様を流さなければ、悪いものがあなたについたままなのよ。お母さん、それは嫌だな」
女の子はせめて、どうしたらお雛様が川を流れた後、溺れずに済むのかをずーっと考えていました。そんな姿を見て、お母さんは棚の中から一枚の紙を取り出し、女の子に渡しました。それはなんとも素敵な、金魚の柄がついた千代紙でした。
「少し聴いたことがあるんだけどね。江戸の方ではお雛様を飾るんですって。その時に一緒に金魚さんも飾るみたいなの。金魚さん、きっとお雛様のことが好きだから、これで着物を作ってあげれば、金魚さんがお雛様のことを守ってくれるかもしれないわ」
それを聞いた女の子は大喜び。お母さんと一緒にお雛様に着せる着物を作ってあげました。
その次の日の夜。お母さんと女の子は近くの川にいました。お雛様を作った船に乗せて流します。
「金魚さん、どうかお雛様を守ってね」
流し雛はどこまでもどこまでも流れていきます。女の子はその姿をいつまでもいつまでも見つめていました。
3月3日「今日は何の日?」
桃の節句
ひなまつり
耳の日
耳かきの日
民放ラジオの日
平和の日
女のゼネストの日
金魚の日
結納の日
サルサの日
ジグソーパズルの日
三の日
三十三観音の日
桃の日
闘鶏の日 など
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