第210話 学園祭の振り返り
店員のお姉さんに一通りのメニューを注文をした俺達はドリンクバーを取りに行き、再び自分達の席へと座った。
「それでこっちのレース結果はわかっていると思うけど、そっちの文化祭はどうだったんだ?」
「ものすごく楽しかったわよ。ねぇ、結衣ちゃん」
「うん。学園祭で山岡さんが大活躍だったんだ」
「委員長が!?」
委員長が活躍していたなんて意外だ。もしかしたら演劇の事を言っているのかもしれないけど。
「何よ、その反応?」
「ちょっと意外だったんだよ。委員長って裏方だろう? だから活躍するにしても、どう活躍したのか気になっただけだ」
表に出てこない委員長がどのように暗躍していたのか、それがわからない。
考えられる限りだと突発的なトラブルの対処だけど、どうなのだろう。
「風見先輩、山岡先輩はちゃんと表でも活躍していましたよ」
「そうなの?」
「はい。料理部で行われる料理の鉄人ってイベントにも、挑戦者側として出ていただきました」
「委員長が料理部のイベントに出てたの!?」
「そうよ。ここってそんなに驚くところなの?」
「そりゃあ驚くだろう。俺はてっきり紺野先輩か久遠が選ばれるものだと思っていた」
1学期に行った料理対決でも2人が登場していたので、俺は2人のどちらかが挑戦者として出場していると思っていた。
だから委員長が出場していると聞いて、ものすごく驚いている。
正直俺には彼女が料理を作るというイメージが全く湧かない。
「紺野先輩と久遠さんは葉月君と学園祭を過ごしたいって言われて、断られちゃったの」
「そうだったのか」
「紺野先輩にとっては最後の学園祭ですからね。最後ぐらい好きな人と一緒に過ごしたいと思ったのでしょう」
「なるほどな」
その話を聞いて色々と合点がいった。そういう理由なら、彼女達に断られてもしょうがないと思う。
「結衣は葉月と一緒に過ごさなかったのか?」
「私は演劇の時は一緒だったけど、それ以外は会わなかったな」
「結衣先輩は演劇や料理部のイベントの準備に忙しかったので。しょうがないですよ」
「そうか。それは残念だったな」
結衣は葉月と一緒に学園祭を過ごせなかったのか。
折角の学園祭だったのに、もったいない。
「結衣」
「何?」
「学園祭は楽しかったか?」
「うん。楽しかった。でも‥‥‥」
「でも?」
「俊介君のレースも生で見たかったなって気持ちもある」
「それはしょうがないだろう。レースは平日に行われていたから、試合が出来なかったのだろう」
一般の生徒が平日のレースを見れるはずがない。
だからこれなかりは結衣が何を言ってもしょうがないように思えた。
「でも、1週間ずれてれば風見先輩は文化祭に参加出来ましたし、結衣先輩も風見先輩のレースを見ることが出来ましたよ」
「それはたらればの話だろ? 今回はたまたまレースが重なっていたからしょうがない」
今更あれこれ言っていてもしょうがない。
学校がそう決めたのだから、俺としても受け入れるしかない。
「それよりも料理部のイベントではどっちが勝ったんだ?」
「対決は僅差で結衣ちゃんがが勝ったわ」
「僅差だったのか」
「何? 私が料理で結衣ちゃんに劣っているっていうの?」
「そう言うわけじゃないけど、結衣の料理ってプロ級だろう? それと対等に戦える相手が想像つかないんだ」
紺野先輩や久遠と対決をした時でさえ圧倒していたんだ。
そりゃ委員長が圧倒的大差で負けていてもおかしくはないだろう。
「まぁ、私が凄いというよりはアシスタントをしてくれた料理部先輩方が凄かったわね」
「そうなの?」
「えぇ。事前に打ち合わせをした時作ろうと思っているメニューを色々と話したんだけど、この料理を作るものがあるならこのおかずも入れた方がいいって提案をされたわ」
「委員長が勉強になるレベルなんて、よっぽど料理部の人達が優秀なんだな」
「そうね。献立を考える上で、色々と勉強になったわ」
委員長の話を聞いて、改めて料理部のレベルの高さを思い知った。
前にやった料理対決の時も思ったけど、レベル高すぎるだろう。
「あの出し物は先輩達も喜んでくれたから、今回の文化祭でやれてよかったな」
「ものすごく好評でしたから、きっと来年もやりますよ」
2人の様子からして、満足するものに仕上がっていたらしい。
学校で最優秀賞に選ばれるぐらいなのだから、ものすごい企画だったんだろうな。
「そういえばここでご飯を食べた後どこに行く?」
「今日はファミレスでご飯を食べるだけじゃないのか?」
「せっかくこれだけの人数が集まったんだから、どこかに遊びに来ましょう」
「まぁ、別にいいけど‥‥‥」
この後予定もないし、別にどこに行ってもいいか。
「結衣ちゃんもいいわよね?」
「うん。私は大丈夫だよ」
「そしたらどこに行きましょうか?」
「はいはいは~~い! あたし、どうしても行きたい場所があります」
「行きたい場所?」
「はい! ここは全員の親睦を深める為にカラオケに行きましょう!!」
高らかに宣言する星乃。俺はその意見を聞いて、眉をしかめてしまう。
「カラオケか‥‥‥」
「俊介君、どうしたの?」
「いや、何でもない。気にするな」
俺としてはあまりカラオケに行きたくない。
その理由は色々ある。
「いい意見ね、後輩ちゃん」
「ありがとうございます」
「そしたらご飯を食べたらカラオケに行きましょう」
委員長の宣言で全て決まってしまった。
どうやらこの後カラオケに行くことが決まったみたいだ。
「それじゃあ決定ですね」
「うん」
「カラオケなんて久しぶりだから楽しみだわ」
こうして俺達は昼食を取った後、ファミレスを出てカラオケへと向かった。
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