2022/02/20
戦争は嫌だな。本当に嫌だ。世の中、風が吹けば桶屋が儲かるのである。ヨーロッパの戦火がこちらに飛び火して来ないとも限らない。日本人は何故か忘れているようだが、ロシアは日本の隣国である。北方領土にはミサイル基地もある。日本の動きが気に入らなければ相応の行動を起こす可能性はそうそう低くはない。これは遠い海の向こうの話ではないのだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領が演説でロシアばかりか欧米まで批判したと報じられているが、当たり前の話だ。もちろんゼレンスキー氏は幼稚であり、国家元首の器でないことは事実と言える。しかし、欧米はNATOに加盟させてくれというウクライナの要請を聞き入れず、かといってロシア軍から守ってくれる訳でもない。「武器を分けてやるから頑張れ」と言うだけである。相手はロシアだぞ、頑張れる訳なかろう。敵ではないが味方とも呼べない。ウクライナから見た欧米はそんな立場だ。文句くらい言いたくなる。彼らは助けを求めているのに、世界中にこれだけ沢山国家が存在しながら、助けてやるぞと言ってくれる国は1つもない。絶望的な現実である。これが日本の未来の姿でないと誰が言い切れるだろう。
ウクライナに迫る脅威を目の前にして、日本もまた何もできずにいる。しかしそのことを責める野党がいない。「日本もグズグズせず、ロシアの脅威に備えよ」と政権を叩く野党があってもよさそうに思うのだが、みな知らん顔である。これもまた、絶望的な現実だ。国会議員に緊張感も切迫感もない。おそらくは国民以上に「海の向こうの話だから」とでも思っているのだろう。まあロシアの脅威を煽れば憲法改正と国防予算の引き上げは避けることができないから、党利党略で知らん顔をしている連中もいるのだろうが。それはそれで、さらに絶望的と言える。
日本の国会は、ウクライナに迫るロシアに対して、あるいは中国の人権状況に対しても、非難決議っぽいものを出してはいる。だが、あくまで「っぽいもの」に過ぎない。名指しで具体的に強い言葉で非難するということができない。こんな国会に国民生活を守る決定ができるのだろうか。極めて疑問である。
時事通信の世論調査では内閣支持率は43.4%、毎日新聞の調査では45%だったらしい。だいたい同じくらいだ。どちらも前月から低下している。イヤらしい言い方になるが、現在の混迷する世界情勢は岸田首相にとって支持率を上向かせるチャンスである。これが安倍氏であれば、状況を上手く使って政権の延命を図ったろう。しかし岸田氏にはそれすらできないのではないか。ウクライナに世界の注目が集まれば東アジアはガラ空きになる。その危険性に首相は果たして気付いているのか。気付いているのなら、相応の態度を表明すべきであろう。無理なのか。
ウクライナ問題で「オリンピックが終われば戦争」説は随分と前から出ていた話であり、メディアが知らないはずはないのだが、虫けらが見ている範囲では現在そんな報道はない。不用意に煽ってはいけないと自重しているのだろうか。日本のメディアに理性があったとは知らなかった。オリンピックの方がニュースバリューがあると判断したので、とかいう理由でないことを祈るばかり。本来なら政府が自重しろと言っても国民に伝えるべきことを伝えるのがメディアの役割ではないかと思うのだが、日本では違うのだろうな。
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