続・虫の日記 ウクライナ関連抜粋

柚緒駆

2022/01/16

 今日始めて知ったのだが、軍事用語に「偽旗作戦」という言葉があるらしい。この場合の旗とは国旗、つまり自国以外の偽の国旗を揚げた集団が誰かを攻撃する作戦である。と書いてもイマイチわかりにくいので具体例を挙げれば、ウクライナにはロシア系住民がいる。このロシア系住民が、ウクライナ国旗を身につけた軍隊に攻撃されたとする。するとロシア軍が動き出すのだ。「ロシア系住民を守れ」という建前で。しかし、ロシア系住民を攻撃した連中の正体は、ロシア軍の特殊部隊。つまり軍事侵攻するための理由を自作自演で作り出す作戦、これが偽旗作戦の典型例である。


 典型例と書いたが、これはまったく架空の話ではない。ロシアがいま実際にこの作戦をやろうとしていると、アメリカの諜報機関が報告を上げている。ウクライナ政府も声明を出し、警戒を強めている。クリミア半島を強奪した際もロシアはこの手を使っているし、よほど自信があるのだろう。アメリカやEUがロシアの主張を信用しないことなど、どうでもいいのだ。もちろんそんなことをすればロシアはまた経済制裁を受けるのだが、いまでも制裁されているしな、たいして変わらんという判断なのではないか。いわば「無敵の国」である。いまのアメリカに果たして打つ手があるかどうか。


 ウクライナに侵攻するロシア軍の最終目標は、ウクライナ全土の制圧であり、ロシア政府の目標は、ウクライナを領土として飲み込むことであろう。その後も少しずつ東ヨーロッパや中央アジアの国に触手を伸ばし、ソビエトの復活を目論むのではないか。無論、完全復活はもうさすがに無理だろうが。ただこの再拡大政策を取る限り、いずれ中国と利害が衝突するのは目に見えているのだが、そのときにロシアはどうする気なのだろうか。中国としても一帯一路を維持しようとする限り、必ずロシアとぶつかることくらいわかっていると思うのだが、そこまで考えているのかな。アメリカはその辺を見越しているだろうから高みの見物を決め込むのだろうけど、問題はそれまで日本が無事で居られる保証がないことだ。ああ気分が暗くなる。

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