第42話 フローラ視点 ※胸クソ?注意
時間がちょっと前に戻ります。
―――――――――――――――
ヤコブの子供を妊娠した。
最初はあのムカつく婚約者が毒を入れたんだと思った。
何を食べても吐いちゃうし、すぐに気持ち悪くなったから。
ヤコブと体の関係がある事はナイショだったから、医者にはかかれなかった。
そのうち吐き気は無くなったけど、今度はすぐにお腹が空くようになった。
我慢すると気持ち悪くなるから、常に側にはお菓子が置いてあった。
学園祭のパーティー用にドレスを作ってくれるとヤコブが言うので、仕立て屋を呼んでヤコブとお揃いのステキなのを注文した。
「本当に作るのですか?」
何度も確認してくる仕立て屋。
私が子爵令嬢だからなめてんの?
「王太子が良いって言ってんだから、アンタは黙って作れば良いのよ!」
怒鳴りつけたら、それ以上は何も言わなかった。
おかしいと思い始めたのは、学園祭の時。
ピッタリサイズに作ったはずなのに、ドレスがキツくなってたから。
コルセットを着けるとなおさら下っ腹が盛り上がるから、みっともなくて着けられなかった。
どっかのおばさんにドレスが破れてるって言われて、何で?ってなったのよ。
下っ腹だけ太ったの?
そして、月のモノが最近ない事に気付いたのよ。
ヤコブに言ったら、すんごく喜んでくれた。
でも妊娠してお腹が大きくなったら学園に通えないよ?と言ったら、一旦休学して子供を産んでから復学すれば良いんだって教えてくれた。
子供を産む前に、教会に婚姻届も出さなきゃいけないんだって。
なんか子供が王子になれないんだって。
王族って面倒だわ。
学園を休んで王宮に常にいるようになったから、王様と王妃様にも妊娠の事を話した。
医者にも見てもらって、卒業式の後くらいに生まれるはずって言われた。
だから、婚姻届はヤコブが卒業したらすぐに出す事になった。
実家の許可は、王宮に上がる時に結婚の意思の確認があるから大丈夫なんだって。
良かった。
両親とは王宮に上がる時に喧嘩したから、会いたくなかったのよね。
侯爵家の侍女見習いをクビになったからって、すんごい怒られたから。
そのお陰で王宮に上がれたんだから、むしろ褒められても良くない?
ヤコブが卒業して、婚姻届も提出した。
しかも側妃じゃなくて正妃だって!
凄いよね、私。
今の婚約者は、そのまま側妃にするんだって。
なんか『うしろだて』が無いと、今後困るからとか言ってた。
子供を産んだ。
男の子だったから、後継者になるんだって。
私の正妃としての立場は安泰だってヤコブが言ってた。
王様も、ヤコブの誕生日パーティーで結婚と後継者の事を発表するって言ってた。
でも、今の私は子供ばかりをチヤホヤする周りに、ちょっと……ううん、大分ムカついてた。
まず、痛い思いして頑張って産んだ私を褒め称えなさいよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます