第41話
王と王妃の訃報が届いたのは、一週間後の昼過ぎでした。
インタレント国へと入ってすぐの森の中で、野盗に襲われたそうです。
そう。インタレント国は、安全な国などでは無いのです。
今回の同盟も我が国には何もメリットの無いものでした。
断るのすら面倒なほど、よくもこの条件で申込んで来たと感心する内容の同盟申し込みでした。
やっと内戦が終結しただけで、復興の目処も立っていないような国です。
そのような所に如何にもな豪華な馬車で行けば、襲ってくれと言っているようなものですわよね。
これで同盟を断る良い材料が出来ました。
今回の視察の同行者や護衛は、希望した者に行かせました。
インタレント国の内情も知らない使えない王派の大臣から出ているのです。
あの会議の時の宰相の発言を鵜呑みにする馬鹿は、私達の陣営にはおりません。
インタレント国が安全?と首を傾げた者ばかりでしたわ。
「空いた席はいくつかしら?」
私の質問に、ネイサンが指を3本立てます。
「財務と祭事のトップ、財務の中の王族担当ですね」
まあ!視察先でも散財する気満々だったようですわね。
今までの不透明な出費は、これでなくなるでしょう。
「そういえば、王太子のお金が無くなるけどどうしましょう?って問い合わせが来てましたよ」
「あら、次の支給日まで3ヶ月もあるのに?」
王太子が自由に使えるお金は、年度が変わる時に支給されます。
フローラと子供の生活費もここから出されています。
フローラが王太子の世話をしている分、少し金額が上乗せされておりますが、あまり意味は無かったようですわね。
彼女は自分や子供の食事にも、お金が掛かっているという自覚はあるのでしょうか?
無いでしょうね。
最初はメイドと同じ食事をしていたから無料だったのですが、フローラは不満だったようで、すぐに王族と同じ食事に変更されました。
子供が大きくなると、食事代も衣料品代も増えます。
しかもフローラが働いている間は、シッターが面倒を見ています。
勿論、そのお金も掛かります。
彼女の子供は王族ではありませんので当然ですわね。
実は王宮内には、メイドの子供を預かる保育所があります。
そこならばお金は掛からないのに、彼女は個別のシッターを頼んでいるのです。
「王太子の子供だから」だそうですわ。
本人には言えないのに、何の意味があるのでしょう?
「参加するパーティーも無いのに、またドレスを注文したのがトドメだったようですね」
ドレスなど買っても、一人では着られないので意味が無いでしょうに。
壁に掛けて、眺めて楽しむのかしら?
それなら宝石の方が後々換金出来るから、まだ買う意味があるわ。
「餓死されても困りますから、メイドと一緒の物の提供に戻しましょう。それからシッターの方は次の勤め先を紹介してさしあげて」
「シッターの方は大丈夫ですよ!大分前から辞めたいって言われてましたから」
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