40話 笑顔
「兄の本当の名前は「緋絽」なんです。でもメンバーの中に公英が居た。正直兄の読みはヒロしかないけれど松浦の方はヒロヒデだからヒデでも良かったはずです。何よりセンターは兄で、実力も人気も兄の方が上だった。
でも兄は自分の本名を明かす事もなく彼に名前を譲ったんですよ。
松浦本人は未だにそのことを知りもしないでしょうけど」
「浅葱だってそうです。兄は彼の実力を本当に認めていた。だからいつまでも彼に指導を仰いだ。
なのに卑屈に捉えて勝手に兄を嫌った」
「柳はある意味1番最悪ですね。自分が勝手に始めた薬物使用を兄のせいにしようとしたんだから」
「灰崎さんも無罪ではない。貴方を守るためとはいえ、身分を隠してさっさと葬儀を済ませて、全てを隠蔽しようとした」
「何故私が通報しなかったとかと聞きましたよね?
それは、貴方が私の推しだからですよ。
どんなに一瞬でも、ブレていても私にはわかりますよ。毎日見ている顔だから
兄とテレビ電話をしていたら推しが映って、兄が転落した。
そしてそれを全て隠すように一方的に指示され、家族だけの小さい葬式を無理矢理挙げさせられた。
そして推しのグループは突然解散し、兄は失踪したと報道された。
それが私の身に起きた出来事です。
私はどうしても知りたかったんです。
貴方が兄を殺す理由を」
「殺してない。あれは事故だ」
「じゃあなんで、あの時の貴方は
――――笑ってたんですか?」
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