36話 告白①

レンは私の問いに答える気もなさそうに、ただ何も乗っていないテーブルを眺めていたが

聞き取れない程小さな音量でポツポツと語り始めた。


「あの日突然コウに家に来ないかと誘われた。

俺はてっきりDmをリークした事を責めるか、脅すかするつもりなんだろうと思ったよ。


でも家に行くと最近猫を飼い始めたんだと、黒い子猫を見せて来ただけで一向に本題を話そうとしなかった。

けれど何か言いたそうなソワソワした空気で

焦ったくなって俺は自分から聞いたんだ。


「あの電話の事、分かってるんだろ?」って

コウはその時は本当に分からなかったけど、後から報道が出た時全てを理解したと答えたよ。

多分それは本当だろう。


その後すぐ彼らの後番組のレギュラー番組に俺達が決まったから

アスタリスクのためにやったんだろ?と感謝をされたよ」

そう言ってレンはどこか情けない感じに眉を下げて笑った。


「そう言われて気づいたんだよ。レギュラー番組の初収録の時、アイが自分がリークしたと嘘を吐くプロデューサーと揉めた時何故あんなに怒ったのか。

あの時アイは「仲間だったんじゃないのか?」「恥知らず」と裏切りを責める言葉で罵倒したから、それが俺に向けて言われてるかのようで居た堪れなかったんだ。


コウはあの時、俺のために怒ったんだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る