32話 ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の証言②
兄が初めて地下のスタジオのライブに出演する日には、私も客席に招待された。
本当は両親も招待されていたが、仕事があるので初めて私1人で東京に行くことになった。
遅れては困ると思い、開始時間より随分早くライブハウスに辿り着いてしまって
人生で初めて1人でハンバーガーショップに入って時間を潰したが
そんな些細な事にもドキドキしたのを今でも鮮明に覚えている。
地下に降りるシールが沢山貼られた階段を恐々降りた先で
その日私は運命の出会いをした。
ステージの真ん中で初めてのライブとは思えない程堂々と踊る兄の横で
辿々しいけれど一生懸命に踊る黒い衣装の男の子から目が離せなくなった。
レンと自己紹介していた彼は、ダンスは緑と黄色の人よりは少し上手かったけれど
それでも全然下手くそで、歌もかなり拙かったけれど
それでもガラガラの客席に向かって、他が見えなくなるほど眩しい笑顔を向けていた。
―――それが、私が彼を見付けた瞬間だった。
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