29話 メンバーカラー黒 レンの証言④
もう3ヶ月以上前、コウが入院した。
グループを結成した当時から、コウはあまり身体が丈夫ではないとマネージャーから聞かされてはいたんだ
でもコウは自分から体調の事を話すことはなかった。
コウが隠したいのならと俺達は全員知らないふりをする事にした。
ずっと体調は良くなさそうだったけれど、3ヶ月前から容体は急激に悪化した。
それでも他のメンバーが庇える所は庇って、助け合ってやってきたつもりだったけれど
入院した時には、もう限界だったのだろう。
俺はセイが隠した薬の件があって以来、メンバーが何かを服用しているのか、気になるようになった
注意して見ていたけど、市販の喉の薬とか、栄養ドリンク程度で毎日何かを服用している人は居なかった
コウだけが何かの薬をほぼ毎日飲んでいた。
コウは最近どんどん痩せたし、苛立ってる様子を見せることもあった
そうかと思えば、やる気がないと思える程怠そうにしている事もあった
最初は失恋が原因かと思ったけれど、違った
でなければ麻薬かとも思ったけれど、それも違った
――もう治らない程重い病気だったんだ。
アイツは真面目だったし、メジャーデビューも出来て人気も出てきた所なのに
こんな所で夢を諦めるのは死ぬより悔しかったと思うよ
その気持ちはよくわかる
でも何も分かってあげられなかった
コウはこの部屋から飛び降りたんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます