21話 マネージャー 灰崎の証言
【アスタリスク マネージャー 灰崎の証言】
「あれは3ヶ月…いやもっと前、コウは体調を崩しました。世間には公表されていませんが、数日入院した程です。
コウには気管支の持病もありましたし、本当は精密検査を受けるべきだったんですが、そんな時間はとってあげられませんでした。
そこからは薬で騙し騙し仕事をしていたんですが、限界が来てしまって…メジャーデビューしたばかりで慣れない仕事も多かったし、コウは責任感が強いから、そのプレッシャーが余計病状を悪化させてしまったんでしょうね。
とうとう治らない大きな病気に悪化してしまいました。
薬が強いものになっていくにつれ、コウは食欲が無くなると言っていました。倦怠感が酷かったみたいですし、眠気もあって、そこだけを切り取って見れば【やる気がない】様に見られても仕方がなかったかもしれません。
灰崎さんはこちらをチラッと見て咳払いすると続きを話し始めた。
「でも真相は違った。ヒロが言ってる女性とは友人関係以上のことは無く、アイが言う様に痩せたりボーッとする事が増えたのも治療薬の副作用ですし、セイが言う薬物は…ふふっ…全くの勘違いですよ」
灰崎さんは一度出てしまった笑いを抑えきれない様子で、ずっと肩を揺らして居る。
「いやすみません。口に出してわざわざ否定すると、何だかおかしくなって…」
それでも込み上げる笑いを必死で飲み込み、話を続ける
「アイツらはそもそも…問題があるんですよ。
アイはやる気はあるけれど、性格が致命的にアイドル向きじゃない。それに向上心はあるけど卑屈で、悪い方に思い込む癖がある。
セイは確かに優秀で洞察力は高いけれど、実際の能力以上に自分が賢いと思っているから、自分が間違った方向に進んでいても気付かない。
ヒロに至っては問題外。まずアイドルとしての自覚がない。モテるためにアイドルになったんだから遊び歩いて当たり前だろ?と逆にこちらに説教する始末でしたからね」
「だからいい機会なんですよ。コウの引退は。
彼等はこれからコウの偉大さを噛み締めながら、更に成長して、コウは伝説のアイドルとなるんです」
それが、僕が思い描くこれからのアスタリスクです。
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