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扉の奥は、小さな箱のようになっていた。


目を見張ったのは、蓋にあたる部分の天井に、満天の星宙が映し出されていた事。


プロジェクターか何かで映し出されているのかと思ったが、どうやら本物らしい。


目の前には、大きなスクリーンがあった。


何か、機会を巻くような小さな駆動音と、埃っぽい香りが、この空間を支配している。


席に座ろうとした僕は、星の淡い輝きの下に、見知った姿がある事に気付いた。


「やあ。待ってたよ、紫苑」


「菖蒲…、何で、ここに」


「とりあえず座りなよ。ほら」


菖蒲が、自分の隣の席を軽く叩く。


促されるままに、僕はその席に腰をかけた。


「僕が、頼んだんだ」


「頼んだ?何を」


菖蒲が、僕の方を見て、微笑む。


「君と、卒業式がやりたいって」


スクリーンが、モノクロの点滅を繰り返しながら、


ゆっくりと、動き始めた。

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