第20話 情報網

「ところでどうして海戦の打ち合わせに私がいるのですか?」


陸海両指令と今王都不在のフェリテの執務室にいる。


「まだ2ヶ月以上の猶予はあるとはいえ、あらかじめ戦略と2ヶ月後の作戦を考えておきたい。そうなると、今後予想される植民地を通り抜けた陸伝いの侵攻にも備えなければいけない。」


「西部の国境ですか?」


「そうだ。それに、西部の海岸に見張を立てて、敵の現在地を知る手段も構築したい。」


「ただの騎馬では駄目ですか?」


「これはあくまでも僕個人の予想だが、一度も休まない戦列艦と休憩を挟む伝令が大差なく着くと思う。意外と軍艦は速いんだ。」


「そんなにですか。なら途中で馬を変えて…」


「それをするぐらいなら初めからなんらかの信号でやりとりした方が早い。」


「狼煙でもあげるんですか?」


「何で知ってるの?…まぁそんな感じ。昼なら旗とか、夜なら光の方が詳細を遅れると思うけどね。」


「しかしそれには塔を各地に建てる必要がありますが…」


「殆どの建物の屋根が完成しているだろう。」


「はい。兵舎と倉庫以外は壁がありませんね。」


「壁は作らずに明後日には殆どの建築関係の人を塔の建造に行ってもらう。」


「しかし誰も塔を建てた事がないと思いますが。」


「隣りの塔が見えれば良いだけだから、近くの木を使った櫓でも用が足りる。資材まで運ばせると時間がかかりすぎるのもある。」


「それが建ち次第何人かずつ配置すれば良いですか。」


「そうだ。やっぱり君を呼んで正解だっただろう。それにそのうち合同演習をしようと思っている…ずっと一緒に筋トレさせているけどね。」


「というと?」


しばらく聞いていた海軍司令が促す。


「伝令が来てから如何に早く出撃準備ができるか。今回は夜襲をする予定だからおそらく急ぐ必要性は無い。でも、万が一午後に着きそうになったら?」


「なるほど。昼頃に着きそうなら、夜明け前におそらく遠い停泊地まで行って沈めなければいけないから分かり次第すぐに出航しなければ間に合わない。」


「その通り。考えたく無いが、その場合にはかなり長い航海になるだろうから、帆を張って見えない範囲まで近づいて、最後に攻撃する前にマストごと外して潜航する。これはこれでかなり練習がいると思う。帰りも帆を張りたいしね。」

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農奴王国技術顧問兼非常勤国王 @RubrumDragonfly

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