農奴王国技術顧問兼非常勤国王

@RubrumDragonfly

第1話 異常な学校生活

「なあ、今度のハロウィンはまたファイヤーボールを出すのか?」

「どうだろうね?お楽しみに!」

いつもと変わらぬ陰キャ気味の二人によるテンション高めの会話。

自分にとっては少し変わっているだけの事が他人に評価されるのが面白くてつい試験勉強そっちのけで製作してしまう駄作の数々。

念の為言うが、ここは異世界ではない。

全て愛されるべき科学と工学に基づいた「装置」だ。

「今年は何か新しい事もするのか?」

彼は自他共に認めるオタクだが、僕の作品には興味があるようで、よく学校では一緒にいる。

因みに彼が使う二人称代名詞は全て「お前」だ。

「透明化ぐらいはできるようになりたいけど…制御装置がなぁ…」

「あー、お前プログラミングできないんだっけ?」

「設計はできる。」

「語彙がなけりゃ一緒だ。暗記嫌いにもほどがあるだろ。」

「世の中覚えるべき事はそんなに無い。仮説を基に演繹を繰り返せば大抵正解に辿り着く。」

「そんな事できるのはお前ぐらいだよ。」

「もし居なかったらいつまでも僕の彼女が見つからないんだよな〜」

「だから居ないだろ。」

「…豪快なブーメランだな!」

『はははは…』

「でもあいつとかはお前の厳しい基準を突破しそうだな。」

「あいつって誰…見当はつくけど、多分隣のクラスの9番の人かな?」

「お前ってよくそんなところは覚えているよな。」

「名前よりは覚えやすいだろ?」

「は~」

「不思議なオーラを持っていて、優秀すぎて変な男としか付き合ったことが無いから男性不信にそろそろなりそうなんだよな…」

本人から諦め気味の声のトーンで聞いた事で、少し気掛かりではあった。

「お前がまともな人1号になれば?」

「教室、しかも先生の眼前でファイヤーボールを放つ奴がまともか?」

「そうだったなお前は阿呆だったな。」

「言い方!」

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