~藤壺の章~

第93話数年後

パンパンパ~~~~ン。

子育てに仕事にと大忙しの日々を過ごしていたら、あっという間に四年が経った。

あれから僕は二児のパパ!

四歳になる大姫と一歳になる中姫がとっても可愛い!

どっちの娘も葵の上によく似て美少女だ。

そんな中、頭の中将が「残念だな、源氏の君に似た娘ならさぞかし美しかったというのに」とケチを付けるような事を言い放ったため再度、四の君の調教が始まった。


任期を終えて播磨から戻ってきた蔵人の少将は、右大将に昇進し『明石の大将』と呼ばれている。

摂津に建設した貿易都市『福原』は西日本を繋ぐ一大交流地点となった。

因みに『福原』と命名したのは僕だったりする。

言っとくけど、他意はない。

偶々、中心都市が史実の『福原』だったせいだ。平清盛が出来なかった夢を僕がする!と言いたいところだけど僕に貿易や経済の知識なんてない。こんな風にしたいな~~と適当に現地責任者に言って丸投げだよ。儲かっているみたいだから現地の人よっぽどやり手なんだろうね。

 


「今度は東の方に赴任したいものです」


明石の大将が怖い言葉を放つ。

東ってどこ?


「もしかして『鎌倉』とか考えてる?そんでもって坂東武者を支配下に置こうかと思ってるの?」


「おお!流石、源氏の大臣ですな!都に居ても北から南、西から東へと全国の内情を良く御存知だ!できれば蝦夷の事も詳しく聞きたいですな!」


あかん。墓穴ほった?

前に北海道蝦夷の事を話したら物凄く食いつきが良かったんだよね。行動派の明石夫婦の事だ。北に行くぞ!なんて言えば家臣を引き連れて討伐に向かいかねない。


「まあ……それはおいおいに。蝦夷よりも先に東北の安定化だよ」


「それは心得ております。まだまだ若輩の身ですが、いずれは東北に都にも劣らない大都市を築き上げたいものですね!」


「福原のように?」


「福原とはまた違った都市にしたいものです!その時はなにとぞお力をお貸しください!」


「うん」


明石の大将夫婦よ……君達、この国をどうしたいの?

この分じゃ、近いうちに「東北に向かいます!」とか言いだしそう。

それで『鎌倉』造って『平泉』も造ってそうな勢いだ。


僕も『内大臣』に昇進したからね。国政にも色々と口を出せる立場だったりする。

明石の大将の父君である元内大臣は『太政大臣』に昇進している。本人は隠居したがっていたけどそこは引き留めた。一人だけ楽をしようったってそうはさせない!不幸は分かち合うもんだ!




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