第30話閑話 典薬の助side


「じゃいじょーぶよ?ぼくはやさしぃからひどいこちょはしにゃいよ?(訳:大丈夫だよ?僕は優しいから酷い事はしないよ?)」


「ですが、二の宮様の手を煩わせる訳には」


「じゃいじょーぶ!わるいこに、めっ、するだけにゃの(訳:大丈夫!悪い子に、メッ、するだけなの)」


「分かりました。二の宮様、御無理なさいませぬよう」


「ん!」


「おい、貴様!なにを言っておるんじゃ!!!」


「静かにしろ!二の宮様の御言葉だ。貴様の処罰は二の宮様直々に下される」


はっ!罰を与えるのが二の宮様?

ははははははは!!!これは愉快!愉快!蔵人の中将は正気かのぅ?

じゃが、これはいい。皇子といえども二の宮はまだ三歳のわらし

何ができる。大した罰ではなかろう。


「もうひじょとわるいことができにゃいようにしてあげるね(訳:もう二度と悪い事が出来ないようにしてあげるね)」



ざしゅ!!!!……ぼとり。



なんだ?何が起こった?


「ちゅまらぬものをきってしまっちゃ(訳:つまらぬものを切ってしまった)」


二の宮を見ると、小刀を清めている。


何かを切ったのか…何を?

あれ?

儂の下に落ちとるのは…儂の…儂の…。


「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!ああああああああああ!!!!!」


突如襲ってきた猛烈な痛み。


「ひゃ、あ、あ、ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


この世の地獄とはこの事か!

儂がこんなに痛みにもがいているというに…何故、誰も助けんのだ。

ああ、痛みで気が遠くなりそうじゃ……。


「くぅぅぅぅぅぅ……」


気を失う直前、儂が以前、女房達が汚物を見るかのように見下ろしてやがる。

女の分際で生意気な…。

あとで…おぼえてろ…。



めを…さまし…た…ら…。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る